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考察①勇者候補について

2020/8/20 改稿

 ソフィアさんがイリスの部屋に入っていったので、一人の時間となった俺は、イリスに家に誘われた際に考えていたことの再検証と考察、これからの行動計画について考えることにした。


 まずは再考。

 

 ソフィアさんやイリスの言う通り、こちらで厄介になるかどうかは別にしてやはり街に滞在することを前提に考えた方がいいだろう。少なくとも一人では野営の際の見張りもままならない。


 クリーチャーが来ないのなら木の上で寝るのも有りだろうが、あれだけ木々の間を飛び移るクリーチャーがいたんじゃそれも不可能だ。つまり冒険者として路銀を稼ぎつつ戦闘技術を身につけていくしかない。




 次にあの自称“神”との会話を思い出し、疑問点やそれに対する推察や考察をまとめることにする。


 俺はアイテムボックスからこの世界に転移した際に着ていた高校の制服を取り出す。内ポケットを探って入れっぱなしにしていた手帳とボールペンを取り出して、思い付いたことを箇条書きにしていく。



 ❮勇者候補について❯

 ①今この世界に勇者候補は何人いるのか?(何人生き残っているか?)

 ②俺より先に転移したのは何人か?

 ③勇者候補達の現在の強さは?

 ④こちらの世界の住人で勇者候補の協力者はいるのか?

(そもそも異世界人だと伝えることは出来るか?

 出来たとしてどうやって信頼を得るか?)

 ⑤俺以外で勇者候補全員で協力しようと考えている奴はいないのか?


 とりあえず思い付くままに書き出したことを眺める。


 あのとき奴は「13人の候補に勇者の欠片を()()()」と言った。()()()。つまり過去形だ。


 問題はその13人がいつこちらに転移したか、だ。あの時点で13人を同時に転移させた可能性ももちろんあるが、すでに何らかの事故か病気で最初に勇者の欠片を埋め込まれた候補者が死んで、俺が補充要員だった可能性もある。


 奴の様子からあまりにアンフェアになるようなタイミングでの転移であれば、もう少し戦力が均等になるように転移時点で戦闘技術も与えられるような気がする。少なくとも今の時点では、俺が一番弱い可能性が高いと思っておいたほうがいいが、追い付けないほどの差ではないということか?


 こちらの世界の住人やクリーチャーに殺されて、欠片が取り込まれている奴がいる可能性もある。クリーチャーが取り込んでいる場合、少なくともフェルガント大陸で大河の森のクリーチャーならば『大移動(スタンピード)』が発生する可能性が高い。西側であればすぐにわかるし、東側で発生した場合もすぐに伝わる可能性は高いので、情報はこまめに収集することにしよう。


 現地協力者がいる可能性はどうか?少なくともこちらの世界の住人に異世界人だと告げることが封じられているような感じはない。


 ならば魔王や勇者候補のことを伝えて協力を得ることは可能だろうか?いや、少なくとも異世界人や勇者候補であることを証明する方法がないと難しいか?


 今日街を歩いて見た感じ、多くはないが別に珍しくもないくらい黒髪黒目の人間がいた。容姿から異世界人だと訴えることは難しいだろう。かと言って勇者の欠片も勇者候補もステータスカードには表示されない。

 表示させることが出来れば、勇者候補という立場を利用して国とかに他の勇者候補の捜索を協力してもらうことも出来るかもしれないが、こちらが戦争等に利用されるリスクだってゼロじゃない。これは今のところ保留だな。


 俺以外で勇者候補全員で協力して魔王を倒そうと考える奴がいるか。いたとしても他の候補者を説得する方法が思い付かない。俺が他の12人の願いを叶えてもらうよう願うことは可能だが、12人の中に誰かを殺すことを願ったり不幸にすることを願う奴がいないとも限らない。そもそも俺が他の12人の願いが叶うことを願っても「それが本当に受理されるのか?」という問題もある。


 もっと限定的に「12人の中で真っ当な願いだけを叶える」とかにしてみるか?それだって受理されるか分からないし、願いが叶えられなかった奴は協力するだけ損だ。

 この際、俺が代わりに12人全員の願いを叶えるよう願うと言って欠片だけ集めて、魔王を倒したあとに真っ当な願いだけを叶えてもらうように願うか?しかし、そんな騙すようなことはしたくない。


 第一あの自称“神”が真っ当だと思う基準が分からない。復讐だって時代によっては真っ当な行いだ。奴がそれを肯定する可能性だってある。


 ダメだ。この辺は実際の為人を見てみないといい説得方法が分からない。最悪、人を不幸にするような願いの奴は屈服させて欠片を譲渡させるしかないかもしれない…。俺にそれが出来るだろうか…?


 とにかく当面の目標は、『俺自身が殺されない程度に強くなること』だな。


 俺は堂々巡りになりそうな思考を断ち切って、勇者候補に関する考察を打ち切った。


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