薄暗い部屋
初投稿・初連載です。
お手柔らかにお願いします。
2020/8/20 改稿
「うっ…」
頭の痛みで意識が浮上する。
地面からは固い感触、どうやら倒れているらしい。
目を開けてゆっくりと身体を起こす。
辺りを見回すが薄暗い。夜なのだろうか?
目を凝らしてみるがどこまでも薄暗い空間が広がっている。
「ここは…どこだ…?」
意識が戻る前の一番最後の記憶を辿ってみる。
確か学校帰りにいつものように近所の神社で野良猫を撫でていたはず。
その後は…
「確か別の猫が咥えて持ってきたものを受け取って…」
どうにもそこからの記憶が曖昧だ。こんな場所に見覚えはないし、来たこともない。
――拉致とか何か事件に巻き込まれた?――
嫌な想像が頭に浮かぶ。
――助けを呼んでみるか?――
しかし、犯人が近くにいると危険かもしれない。
「そうだ!スマホ!!」
ズボンの後ろのポケットを探るが、入れてあったはずのスマホがない!
それどころか持っていたはずのカバンも見当たらない。
手足は縛られていないようだが、かなり広い部屋に閉じ込められているようで、どれだけ目を凝らしてもドアも窓も見当たらない。
「そもそも窓も照明もないのになんで真っ暗じゃないんだ…?」
――こんなところ早く出て家に帰らないとっ!――
パニックになりそうな心をなんとか落ち着けようとしたとき、
「お目覚めかな?西田 信人君」
声に振り返ると、薄闇の中にその男は立っていた。