第2章 月浦香織 ルート ハッピーエンド
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『 ねぇ、はぁ〜るぅ〜くん♪おねぇさんといいことしよう?ね、? 』
猫撫で声で服が少しはだけた、香織先輩が言う。
『 突然どうしたんですか? 』
俺は先輩に床ドンされながら、聞き返した。
『え〜、だって春くんとぉ〜イチャイチャ〜したいなぁ〜って、思ってダメ? 』
耳に髪の毛を乗っける仕草をしながら、香織先輩が答えた。
『 イチャイチャって、何をするつもりですか!? 』
『イチャイチャって、もちろんこう言う事だよぉ〜 』
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「うわぁ! 何をしてるんですか! 先輩! 」
俺は、慌てて人がいないのにも関わらず人を退ける仕草をしながら、起きた。
「俺は、なんと言う夢を見ていたんだ、 」
額に手を当てながら、指と指の隙間から見える時計の時間を見た。
「なんだ、まだ9時か寝てられるな、 」
俺はそう言うと寝に入ろうと思った矢先。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「こんな時間に誰だ? 」
ドアアイから外の様子を伺ったが、そこに立っているのは、香織先輩だった。
「こんな時に流石にまずい、 」
先ほど見ていた、夢を思い出す。
だが、わざわざ来てもらった〔勝手にやって来た〕人に対して、帰ってもらうのは何か人としてダメな気がすると俺は思った。
そして、俺はドアを開ける。
「春くんおはよぉ〜、昨日はお疲れだったねぇ〜」
ニコニコしながら、いつもの様に話している香織先輩がやけに怖かった。
「どうしたんですか? こんな休日に 」
俺は、ドアの縁に手を当てて、体の半身を隠すように質問した。
「それはねぇ〜ないしょだよぉ〜 」
そう言って香織先輩は俺に向けてウィンクをしてみせる
「女の子には、男の子に言えない秘密がいっぱいあるんだから」
「そうなんですか……」
質問を混ぜっ返されたような気がしないでもないが、面倒なので取り敢えず俺は頷いておく。
「それで」と香織先輩は腰に手を当ててわざとらしく頰を膨らませた。
「こんな玄関先に女の子を立たせたままなんて、お姉さん的には男の子としてどうかと思うな?」
「すみません」
ようやくさっきの夢の余韻も落ち着いて来たところだ。俺はドアの陰から身体を出して香織先輩に言った。
「それじゃ、立ち話もなんですからうちに寄って行きませんか?」
待ってました、と言わんばかりの態度で香織先輩は「うん! そうする!」と頷いた。
どうも香織先輩の思うままに状況を転がされたような気もする。先輩は場の雰囲気を自分のペースに取り込むのがうまいのだ。ただ、俺はそんな先輩の持つ独特なオーラというかなんというかが嫌いではなかった。
そして香織先輩は今俺の部屋の、俺のベッドの縁に腰掛けている。
「あのぉ、香織先輩? 」
俺は、自分の部屋のように平然と腰をかけた先輩に話しかける。
「なぁ〜にぃ? 春くん、あと、 私と2人でいる時は、 香織先輩は禁止ぃ〜わかったぁ〜? 」
人差し指の腹をこちらに立てながら俺に対しての無茶振りを言ってきた。
「え!?じゃ、何て呼べばいいんですか? 」
「それは〜、おねぇちゃんで〜」
キラキラ目を輝かせながら答えていた。
「却下です、おねぇさん系以外でお願いします 」
「それじゃ〜香織だけで〜 」
「それはちょっと……」名前で呼ぶのは抵抗があるというか、恥ずかしい。
「香織さんじゃダメなんですか?」
「それじゃ〜つまらないからダメ〜」
香織先輩は断固として交渉の気配を見せない。「もしかして春くん……」
にやりと意地悪で、けれどどこか意地悪になりきれないような表情を浮かべる香織先輩に嫌な予感を抱きつつ俺は言った。
「なんですか」
「ーーもしかして、女の子のことを名前で呼ぶの恥ずかしいんでしょ?」
「そ、そんなこと」
そうは言ってみせたものの、香織先輩のその指摘は図星だったため、その先に続けるはずの反駁の言葉が出てこなかった。
香織先輩はあえて何も言わずに、依然意地悪な表情で俺を見つめている。
そうして俺がまごつき、香織先輩が俺を見つめるという構図が出来上がった。
数十秒、そんな居心地の悪い時間の続いたのち、
「そんなこと、なに?」
と香織先輩はさっきとは一転して柔和な表情と口調で言った。その優しさが逆に威圧的で怖い。
「ほら〜、シャルの事もシャルって呼んでますし」
あわたわしながら、俺は答えた。
「シャルちゃんはぁ〜幼馴染なんでしょ〜? 」
「それは、そうなんですけど…」
「さんはい!」
どのみち俺がここでごたごた言っていては、堂々巡りの終わりが見えないのだ。言うしかあるまい。ええいこうなりゃやけだ!
俺は体育祭の応援団よろしく肺いっぱいに空気を吸い込み、
「……かおり」と、そう今にも消え入りそうな情けない声で言ったのであった。
しかし、それでも期待には答えられたようで。
香織先輩もとい香織さんは満足気に笑った、だがしかし……結局、その日は一日中香織先輩の名前を呼び捨てで呼ぶ練習に当てられたのであった。
そして「もう暗い時間だから」と先輩を最寄り駅まで送っている途中だった。
「春くん」ふと香織さんは立ち止まって言った。「明日からは、ちゃんと名前で呼んでくれるよね?」
「それは……」俺は口籠った。
そんな俺の様子を見て、「ふふ」と香織さんは微笑んだ。けれど、先輩のその微笑はどこか寂しげに俺の目には映った。
「冗談だよ。これからも春くんが呼びたいように呼んでくれればいいから。それに、春くんに名前で呼ばれちゃったら、私のほうが持たないもん」
「いや」
その先輩の表情を見て、俺は衝動的に口を開いていた。
「確かに名前で呼ぶのはちょっと恥ずかしいですけど、その、二人きりの時だけなら……呼んでも、いいっていうか……」
瞬間、香織さんは今までの付き合いの中で見たこともない、大輪の花の開いたような無邪気な笑顔になった。「春くん、ありがとう!」
その笑顔に俺は胸の締め付けられるような、なんとも形容しがたい感覚に打ちのめされていた。この感覚はーー多分……
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翌日、俺はいつも通り眼を覚ました、だが、いつもと違うのは気持ちが浮ついていた。
ピンポーン
いつもの時間にインターホンが鳴る
「もうそんな時間なのか!? 」
俺はが浮かれていると時間が早く経っていた。
案の定、シャルなんだが、流石にパジャマのままでは、シャルを家に入れることは出来ない。
「少し待っていてくれ! 」っと俺は大きな声で叫び、急いで制服に着替えドアを開ける。
「お待たせ! 」
「やけに息切れしてるわねっ、」
「やっほ〜、 春くん」
ドアを開けた先には、シャルと香織さんだった。
香織さんっ!? いつもより、早く来ていた香織さんに驚くあまり、なにも言えなかった。
「春くん大丈夫? 」
「大丈夫〜? 」
ふたりが俺の目を覗くようように見入ってくる。
「大丈夫、大丈夫 」
「本当に?熱でもあるの〜? 」
俺は、目の前でなにが起こってるのか分からなかった。
「あれ〜熱ないねぇ〜 」
香織さんは俺のおデコに自分のおデコをくっつけて熱を計っていた。
「な! 」
シャルは変な奇声を上げていたが、それを気にせずに香織さんはおデコとおデコをくっつけていた。
流石に、顔と顔との間が近かった、あと数ミリ動けば唇と唇が触れ合うレベルで近かった。
「あの、香織さん? 」
「ん?なぁ〜に? 」
おデコに頭をつけてもう10秒以上が経っているのにまだおデコをくっつけている、シャルも放心状態で俺もだんだん変な気持ちになって行った。
「おまじないをかけてるんだよ〜」
そう言うと香織さんはおデコを退けてうふふっと笑っていた。
そして、放心状態のシャルの肩をポンっと叩いたと同時に「早く準備してね〜」っと言いながら、ウィンクしてドアを閉めた。
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その後、俺たちは学校に登校しいつも通り香織さんは、自分のクラスに行くために俺らと別れた。
だが、微かに残る香織さんとの先程の一件を思い出して、少し恥ずかしい気持ちになってしまった。
「ねぇ〜?春くん?どうしたの今日ボーッとしちゃって 、保健室でも行く? 」
俺の顔を覗くようにシャルが言う。
「大丈夫」
「そう?」と言った感じでシャルは首を傾げながら俺たちは教室まで行った。
『俺はこないだから、香織さんもとい香織には、ドキドキさせられてばっかりだ、これが年上って言うものなのか? 』俺はそんなことを心の中で思いながら、授業を受けていたがシャルに毎回授業が終わる度に「保健室に行きましょ! 」っと言われるが毎回断っていた。
その理由が香織にドキドキさせられて、何も手がつかないなんて言えないからであった。
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お昼になるといつも通り、香織が俺たちのクラスにやってくるが、少しいつもと違かった。その理由は何故かお弁当を2つ持って来たからであった。
「春くん〜今日はお弁当を作って来ましたぁ〜!」
胸を張りながら香織は言った。
「あ、ありがとうございます 」
あれは驚きながら答えた。
だがしかし、その弁当を開けるとかなり豪華なつくりをしていた。そして、一口頂いた、「美味しい」また一口、「美味しい!」俺はあまりの美味しさで、すごい勢いでお弁当をたえらげた。
「春くんが〜喜ぶと思って〜作って来たんだよ〜」
不敵に笑いながら、こちらを見ていた香織は可愛かったが、その隣に座っていたシャルはぷくっと顔を膨らませて、こちらを見ていた。
シャルは何を思ったのかわからないが、メモを取り始めた。
「春くんがぁ〜もしよかったら〜明日も作ってくるよ〜? 」
俺は「またお願いします」と言い、明日もあんなに美味しいお弁当が食べれるのかと思い嬉しかった。
シャルもまた、メモを取るのをやめた。
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あの日からほぼ毎日のように香織は俺の家に早く来るようになり、ほぼ毎日お弁当を作って来てくれた。
そして、俺と香織との遊園地デート当日になったーーー
待ち合わせ場所は駅前の広場、流石休日と言わんばかりの人の数ーーー
時間が丁度10時になると遠くから、見覚えのある人影がこちらに近づいてくる、その人影とは香織だった、「ハァハァ」っと息遣い荒く膝に手を当てて、俺に「おはよう春くん〜」っと言っているがいつも通りではなく疲れたように言った。
「おはようございます!か…かお…香織…さん 」
俺は少しぎこちなく挨拶を交わした。
「て、香織さん大丈夫ですか!? 何もそこまで急がなくても 」
俺はそっと彼女の前に手を出した。
「 大丈夫だよ、ハァー ありがとう春くん〜」
香織もまた、俺が差し伸ばした手を取りシャキッと立った。
「行きますか! 」
俺は元気よく香織に掛け声をかけ香織は「うん! 」っと元気よく答え2人は、遊園地へと向かった。
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電車に乗り、遊園地の最寄り駅で降りそこから数分歩きやっと遊園地に着く。
「やっと着きましたね! 」
「そうだね〜 」
「まずは、何から周りますか? 」
「そうね〜お化け屋敷とかどう〜? 」
「お化け屋敷ですか、いいですね! 」
そう言うと、俺と香織はお化け屋敷へと向かった。
やはり、お化け屋敷に昼間から行くお客は少なくすんなり入れた、中は冷んやりと冷たく薄暗い。
このお化け屋敷のモチーフは洋風で人骨の模型や人の皮膚が腐りきったゾンビみたいな人やとても気持ちの悪い人の目玉などが置いてあった。
「かなり、凝ってますね」
「そうね〜怖くなったら、お姉さんの胸に飛び込んで来てもいいのよ〜 」
「多分、大丈夫かと思います 」
俺と香織がそんなことを言いながら歩いていると……
上から吊るされていると思われる人型の人形が俺たちの目線の高さに突如として、落ちて来た、その顔はやはりゾンビのような腐った皮膚で、口を大きく開けてこちらを威嚇してるかのような顔だった。
「きゃっ! 」
俺の隣を歩いていた香織が俺の胸元に入り込むように俺に抱きついて来た、抱きついたと同時に俺の胸元にとても柔らかく弾力のあるような感触がむにゅっと当たっている。
「だ、だ、、、大丈夫で、でで、ですか? 」
それは突然のこと過ぎて、俺はたじたじになりながら香織をなだめた。
「大丈夫だけど、怖いよ〜春くん、 」
俺の胸元に香織が喋るとその喋った言葉の振動が伝わってくる。そして、俺の目下に居るせいなのかいつも香織が通ると香る女の子らしい匂いが凄いする、そんなことをふっと考えてしまった俺の心臓の鼓動が早くなって居るのが俺にも分かった。『俺、こんなところでなんでドキドキしてるだ、でも、香織にはわからないようにしなくちゃ』っと俺は考えながら、香織の肩をがっしりと片方の手で抱きしめてそのままお化け屋敷の中を進んだ。
毎回俺は、香織に「大丈夫ですか? 」や 「俺がついてるんで大丈夫ですよ! 」などの声かけをしながら、やっとお化け屋敷のゴールが見えた。暗がりから差す光が異様に神々しくも感じられたが切ない気持ちにもなった。それはきっと、香織ともっとこうしていたいと思ってしまったのかもしれない。
「やっと外に出れますよ! 」
俺は香織に声をかけた。
「 ねぇ〜春くん? 」
俺の問いには、反応せず疑問を抱いたかのように俺の名前を呼んだ。
「なんですか? 」
「春くんって案外ウブなのね〜ふふふ 」
香織は俺の腕を振りほどきながら、顔を見せず不敵な笑いをしながら後ろに手を組みながら俺の目の前を数メートル歩いていった。
そして、香織は振り返った。
「私も楽しかったよ春くん〜 」
いつも見せる笑顔ではなくとても輝いた笑顔でこちらに笑いかけた。
俺たちはその後も色々と遊園地のアトラクションに乗り、気がつくと日が沈みかけていた。
「大分、日も落ちて来ましたね」
「そうねぇ〜最後にあれに乗ろうよ〜 」
香織が指を指したその先にあった乗り物は観覧車だった。『確かに乗っていないアトラクションは観覧車のみだったが、流石に異性が乗ったらまずいのは分かる。敢えて避けて来たのに何故そのチョイスなんだ! 』っと俺は心の中で叫んだが、香織の無邪気な笑顔を見ると何となく許してしまった。俺はため息をつきながら、香織に腕を引っ張られながら、観覧車に乗った。
「ねぇ〜春くん〜 」
観覧車の窓の景色を見ながら香織は俺に聞いて来た。
「どうしたんですか? 」
「さっき、ドキドキしてたでしょ? 」
俺は、お化け屋敷の出来事を思い出してしまった。『まぁ、確かにドキドキしてしまったのは認めます 』 っと俺は心の中で思ったーー
「……」
「図星なんだ〜 」
少しおちょくる様な言い方だった。
俺は確かに図星だった、『こんな綺麗で胸の発達した女性にお化け屋敷と言う暗がりであんな風にされてしまえば、誰だってドキドキしてしまうだろ』 だが、そんなことは言えずにいた。
「そ、そんなことない……ですよ? 」
少し遅れたタイミングで俺は答えた。
「嘘だぁ〜だって〜私の胸に振動伝わって来たよ? 」
そう言うと香織はあの大きく発達した胸に手を当てて、思い出を思い出すかの様に目をつぶりながら言った。
「でも、実を言うと私もドキドキしてたんだよ? 」
いつもとは違う落ち着いた口調で俺の目の中にもぐりこむ様に言た。また、俺の心臓の鼓動が早くなるのが感じた。
そして、気がつくと観覧車はてっぺんに達していた。
「わ〜綺麗だね〜 」
先ほどとは違う声色ではしゃいでいる香織は、とても無邪気でとても輝いて見えた。これがギャップ萌えと言うものなのか、だがいつもの表情をしている香織も可愛かった。俺はそんな彼女の笑顔に見惚れてしまっていた。
「ね〜春くん〜? 何をぼーっとしてるの? 」
「あっ、ごめんなさい。それにしても、景色綺麗ですね! 」
っと俺は香織のご機嫌をとるように言った。
そんなこんなをしているうちに観覧車での楽しくてドキドキした時間はあっという間に終わりを告げてしまった。
「ねぇ〜春くん、また来ようね〜 」
そう、香織は俺の目の前に出て言った。
「はい!またいつか絶対来ましょう! 」
そして、俺たちは遊園地から出て駅へと向かった。
駅に着くと辺りはすっかり真っ暗だった。
「流石に真っ暗ねぇ〜 」
「そうですねぇ、」
初デートの時の別れ際のようにぎこちない会話を交わしながら、俺たちは駅前に出た。
「そうだ!今度修学旅行の買い物一緒に行きましょう! 」
俺は唐突に言った。
「いいよ〜でもなんで急に〜? 」
ビクッと肩を震わせながら、いつもの調子で香織が答えた。
「急に思ったんですよ、行くのあと1ヶ月後なんですけどね、 」
俺は最後に「あはは」っと笑いながら、俺は呆れたかのように言った。
「じゃ〜来週はダメだから〜再来週が良いかなぁ〜」
「再来週また、駅前集合で! 」
俺はまた、香織とのデートの約束をした。
その後俺たちは香織を家まで送って今日のところは解散した。
帰路についた俺はお化け屋敷の時の高鳴りを思い出していた……
きっと昔約束を交わした俺も胸の高鳴りを感じていたのだろうかーー
そんなことを思いながら俺は家路に着いたーー
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翌日、俺は朝早くコンビニに行き雑誌を読んでいた。窓越しから、ひょこひょこと動く見覚えのあるツインテールが見えた。
俺はそのひょこひょこと動くツインテールに見つからないように雑誌で顔を隠していたが、何やら、ひょこひょこ動くツインテールが俺が立っている窓辺まで近づいて来た。
そして、こちらをじーっと見た後にきゅいっと方向転換して店内にいる俺の隣までやって来た。
「先輩ここで何してるんですか? 」
ひょこひょこ動くツインテールの正体はルナだった。
「ルナおはよう、コンビニで暇つぶししてたんだよ」
「そうなんですか、先輩この後って時間ありますか? 」
「あるけど、どうかした? 」
「あのちょっと、お話でもしましょ? 」
ルナが言うと俺たちはすぐさまコンビニから出て駅前のカフェのような場所に来たーーー
「ここが私の1番お気に入りのお店です! 」
ルナがお店の方に指をさしながら言った。
そのお店の外観はヨーロッパにでもありそうな形や色をしてある。
「結構いい外見をしてるんだな、 」
「そうなんですよ、しかもこのお店の色と形が良いんですよね、ではさっそく中に入りましょう! 」
ルナがお店のドアを押しながらお店の中に入ってたーー
ガチャ〜
「ここは、すごいな 」
俺は中に入って唖然した。
木造りの茶色いカウンターに適度に降り注ぐ窓から射す光が絶妙なバランスでとても神秘的に見える。
「良いカフェなんですよ! 先輩ならこの良さが分かってくれると思ってました! 」
そうルナが笑顔になると神秘的に見えるカフェのカウンター席が更に神秘的に見えたーーー
そして、俺たちが話しをしていると気がつくと辺りはすっかり夕暮れだった。
「今日はありがとうございます!先輩 」
綺麗なお辞儀をして俺たちはお店から出たーーー
「1人で帰れるか? 」
俺はお店の前でルナに聞いた。
「ちょっと怖いので先輩も一緒に来てもらえると助かります 」
ルナは震えた声で言った。
「分かった。家の近くまで送るよ 」
「ありがとうございます、先輩! 」
ルナはさっきの表情とは違い、笑顔で問いかけに答えた。
そして、俺はルナを無事に家まで送り届け俺も家に帰ってた。
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俺が学校に行く身支度をしているといつも通り俺の家にインターホンの音が鳴り響く。
俺はいつも通り、シャルと香織と3人で学校に向かった。
お昼休みには、いつもと違い新メンバーのルナが今日から加わり更にお昼時が騒がしくなった。
そして、そんな事が毎日続きやっと休日がやって来たーーー
今日はなんと!ルナのライブだ!っと俺はウキウキさせながら、身支度をしていた。
「あの曲を生で聴けるなんて最高だ! ふんふふーん♪ 」
俺は1人鼻歌を歌うくらい上機嫌だった。
ピンポーン
「こんな時にいったい誰だ? 取り敢えず出てみるか……」
ガチャ〜
そこには、いつもとは違う雰囲気を身にまとっているルナの姿があった。
その身にまとっている雰囲気は、まるで輝かしい程の光を浴びた天女の様だった。
「先輩、迎に来ましたよ!」
ニコニコしながら、俺の手を引っ張りながら俺を無理くり外に出した。
その後ルナのマネージャーさんが運転する車に乗りルナが出演するライブ会場へと向かったーーー
ライブ会場の前は大勢の人が長蛇の列で並んでいた。
「これは、凄いな……」
俺はあまりの人の量にたじたじになってしまった。隣に居るルナの顔を見ると慣れて居るのか平然としていた、それも当然かなんて言ったて小林月子ことルナは超人気アイドルで今時をかける人のルナにとっては慣れてしまったのかもしれないーーー
そんなことを考えて居ると車は立体駐車場に駐車していた。
「先輩は私の楽屋で待っててくださいね! 」
それだけ言い残すと楽屋の鍵と楽屋の場所まで描かれた地図を渡されニコッと笑いながら、俺は置いていかれた。
「はぁ〜、1人で楽屋に行くのかよ……」
俺は肩を落としながら深くため息をついた。
そして、楽屋に向かう途中テレビでしか見たことのない顔ぶれが何十人といた……
俺はその人らから逃げる様に楽屋へと向かって小走りをしながら走っていった。
ドンッ「きゃっ 」
鈍い音と共に女性の甲高い声が聞こえた。
「すいません。 」
俺は反射的に謝った……
「いたたたぁ〜もう春くん 」
当たった人から聞き慣れた声が聞こえたーーー
「香織さん!?どうしてここに」
「いや〜だって、月子ちゃんに誘われて〜 」
「もう全く、何をやってるんですか会長……って、春くん!? 」
遅れてシャルが香織の様子を見に来たようにこちらにやってきた。
「なんで、2人ともルナの楽屋付近にいるんですか? 」
俺は2人に問いかけた。
「ルナちゃんからチケット貰って春くんより30分前に着いたからだよ〜 」
「そう言う事だったんですね 」
俺は軽くうなづいたーーー
俺たちはその後ルナの楽屋の中でルナとマネージャーさんが合流し、そのままライブの座席に移動した。
うぉぉおーー!!
っと言うルナのファンであろう人たちの歓声が彼方此方で聞こえてくる。
「すっ、凄いわね……。 」
俺の隣に座って居たシャルがあまりの迫力にタジタジになる。
「うわ〜うるさいねぇ〜春くん、シャルちゃん 」
そして、耳を軽く抑えながらシャルとは反対側の俺の隣に座っている香織が答える。
俺はそんなことより早くライブが始まらないかとワクワクしていた。
そして……
うぉぉおーー!!ふぉぉーーー!!
先ほどよりも更に大きいファン達の歓声が上がる。その歓声と共にルナの一曲目の曲の前奏が流れ始め、ルナの歌声が間近で聴こえるーーー
あっと言う間にステキなひと時は終わりを告げ俺たちは再びルナの楽屋に居た……
俺たちはルナのパフォーマンスの話や余りにも迫力があるファン達の話などをして居たらルナとマネージャーさんが戻ってきた。
「お疲れ様〜 」
ドアが開いたと同時に香織がルナに声をかけた。「ありがとうこざいます」とルナが疲れながら答えた。
その後俺たちはルナが楽屋から出る準備を手伝い、来た時と同じようにマネージャーさんが運転する車に乗り駅まで送ってもらった……
「今日はありがとうこざいました。」
俺は車を降りるときにマネージャーさんに挨拶をした。そのマネージャーさんの隣に座って寝ているルナを起こさないようにそっと言った。
俺たち3人はそこから、歩いて自宅まで帰って行った……
そして、帰り際に香織から「来週楽しみにしてるね〜」っと耳打ちをされた。
投稿遅れてすいません。
予想以上に書くのに手語りました笑笑
一度、香織ルートをストップして、ルナルートを次回から書く予定ですのでよろしくお願いします。