第2章 月泉シャルロット ルート ハッピーエンド
…………修学旅行前のある日…………
今の現状を、打破するために、強力な助っ人を呼んでいた。
その助っ人とは、この月見高等学校の生徒会長で、ありながら、学校随一のコミュ力の塊とも言えるべき存在の、月浦香織先輩。
そして、この月見高等学校1年生ながらも、学校1の人気者で、あの超有名アイドルである、ルナこと小林月子だった。
その2人を待っている俺は、かなり、淀んだ表情を浮かべていた。
あまりにも、シャルに無視されていたせいか、俺の精神は限界に来ている。
気がつけば、ため息を吐き、ふっと空を見上げると、シャルの事しか考えられないでいた。
ことの発端と言えば、俺がルナのライブが行く事を、事前にシャルに伝えていなかったのが原因だった。
「早く、来てくれ、2人とも、はぁ〜」
俺はまた、ため息を吐き、1人で4人用の席に座っていた。
勿論、ソファーの方ではなく、椅子の方に座って。
「ごめ〜ん、遅れちゃったぁ〜」
「先輩、待ちました?」
2つの聞き慣れた声が、俺の背後から聞こえた。
その2つの聞き慣れた声とは、少し、語尾全体が優しくなっているのが香織先輩だ。
そして、少し小悪魔っぽい言い方をしているのが、ルナだった。
「え〜!?なんで、ここに月子ちゃんがいるのぉ〜?」
「それは、こっちのセリフですよ!?なんで、こんな、巨乳な生徒会長があるんですか?先輩?あと!ル!ナ!」
俺が挨拶もする、間も無く、2人は会話を始めていた。
2人が顔を合わせると、2人の目から火花が散っているように見えた。
「2人に来てもらったのは、俺が今、唯一、信じられる人達だからなんだ。」
俺が座っていた、椅子から勢いよく、立ち上がり、2人の前で頭をもの凄い角度で下げた。
俺が、頭を下げると、2人は火花を散らしながら、座ろうとした。
「じゃ〜、私は、春くんのとぉ〜なぁ〜りぃ〜」
そう言って、香織先輩は、俺がわざわざ、座らなかった、ソファーの席には、座らず、俺の隣に座った。
「にゃっ!?」
ルナから、聞いたこともない、声が聞こえた。
「な、ななな、なんで!あなたが座ってるんですか!?先輩の隣に!?」
「え〜、だってぇ〜、春くんの隣がぁ〜、空いてたからぁ〜、座ろうかなぁ〜って」
「ダメです!!先輩の隣は、私が座るんです!」
2人とも、なんで、俺の隣に拘っているんだ?
それとも、2人ともソファーが嫌いだったのか?
確かに、ソファーだと、トイレ行くときに少し、面倒だしな。
「じゃぁ〜2人とも、ソファー嫌いだったのか、だったら、俺がソファーの席座るから、2人は椅子の方に座りなよ?」
俺は2人を気遣いながら、俺は2人に言った。
2人は、少し不機嫌そうな顔で、席に着いた。
俺は2人に、今日は何故?集まったかの理由を、説明した。
そうすると、2人は、ため息を吐いた。
「先輩って人はダメダメですね?まぁ〜私のライブのせいでって、言うのが少し気にくわないですけど!ですが!どうしようもないくらい、しょうがない先輩ですね♪私が全力で手伝いますよ〜」
ルナは、俺に罵倒をしていたが、協力してくれるらしい。
「もぉ〜、全くぅ〜、春くんはぁ〜ダメダメねぇ〜、私も手伝うよぉ〜」
あまり、罵倒はされなかったのが、逆に怖い。
だけど、香織先輩も俺に協力してくれるらしい。
「ありがとう!2人とも!」
「それでぇ〜、いつシャルちゃんと仲直りするのぉ〜?」
「修学旅行中に仲直りしたいと思います!」
「修学旅行中にねぇ〜、修学旅行はいつだったけぇ〜?」
「あと、1週間後です。」
「それなら!余裕ですね先輩♪」
ルナは、香織先輩に対して、勝ったと言わんばかりのドヤ顔をしていた、ぐぬぬっと言わんばかりの表情を香織先輩はしていた。
「それで、場所はどこなんですか?」
「場所は京都だ」
「京都ならぁ〜、去年もぉ〜行ったからぁ〜分かるよぉ〜」
「ルナも知ってますよ!」
「では、2人とも是非!教えて下さい!」
その後、2人の協力の下、京都の有名なスポットやどうやって、シャルと俺を2人っきりにするかの作戦を考えた。
俺は、ルナと香織先輩にとても、感謝した。
そして、2人と別れた。
…………修学旅行当日…………
ついに、この日が来た。
駅の広場の前には、月見高等学校の生徒が集まっていた。
シャルの姿が見えた。
だが、俺が手を振ったところでシャルからは、返事がないのはこの2ヶ月でよくわかっていた。
俺は、クラスの男子と一緒に行動をして、京都まで行った。
…………3時間ほどが経った…………
京都に着くと、直ぐにクラス別行動に移った。
俺は、クラス別行動でも、シャルに無視されていた。
「おいおい、春鳥さんよぉ〜、分かるぜ、その気持ち、彼女と別れると気不味いよな〜」
俺の肩にポンっと手を置く、俺と同じクラスの男子。
「俺、彼女なんて、居たことないぞ?」
えっ?と言った表情で俺は答える。
「いやいや、そんなことないでしょ?うちの学年1可愛い、月泉シャルロットお嬢様と付き合ってたでしょ?毎日登下校して、毎日お昼食べてって、付き合ってるんじゃなかったのか?」
「いやいや、本当に彼女じゃないぞ?」
「それ、本当か?だったら、お前なんでいつもみたいに、登下校したり、一緒弁当を食べてないんだ?ここ2ヶ月、分かった。お前シャルロットお嬢様に振られたんだな?」
「いや、全くと言って、告白した覚えもないぞ?」
「じゃーなんでだよ」
俺はこの男子生徒に全ての事情を話した。
また、俺の肩をポンっと叩き、「がんばれよ」と言って、去って行った。
この日は、シャルと何も会話も出来ずにホテルへと向かった。
コンコン
俺の部屋のドアにノックする音が聞こえた。
「はぁーい」
開けると、複数の男子生徒が何やら、今から戦争に行くかのような、服装で立って居た。
「おい、春鳥、今から女湯に乗り込むぞ!お前も来るよな?」
「えっ!?俺はって、ええぇえー!」
俺の答えをよそに複数の男子が俺の背中を押しながら、女湯の方へと駆けて行った。
「よぉ〜し!今から、女湯を覗く!皆、準備は良いかぁ〜!!」
「おぉー!!」
掛け声とともに複数の男子生徒が大きく拳を空に掲げて居た。
俺はあまり、乗る気では、無かったが、これも皆んなが元気のない俺を、元気付けたいと言う皆んなの思いの現れだと思った。
だが、色々とその作戦には、欠陥があり過ぎた。
例えば、男湯と女湯は普通に考えて、隣には無いし、女湯は、男湯の上にあったのだ。
男子生徒達はそれでも、諦めずに女湯の上の階の窓から見ようとするが、案の定、女湯は見えない。
男子生徒達は諦めて、女湯から出てきた、少し髪の毛が濡れた女子だけで我慢しようと、思い女湯の前で待ち構えて居た。
まぁー、確かにいつもと違う女子の姿が見れたのは良かった。
そして、ある程度見て、満足した、男達は各々の部屋に戻って行った。
「俺も帰るか。」
俺が部屋に戻ろうと曲がり角を曲がろうとした時
バンッ
「すいません。お怪我はありませんか?」
「大丈夫ですよ。そちらこそ、お怪我はって!?」
ぶつかったのはなんとシャルだった。
俺たちは暫く目と目が合い、シャルの顔が次第に赤色に染まって行った。
「春くんのバカ!」
そう言って、シャルは、女湯の方へと駆けて言った。
あの様子から見ると何か物を脱衣所に置いて行ってしまったようだった。
俺は、少し、シャルと話そうと思い、シャルが脱衣所から出て来るのを待っていた。
少しするとシャルがため息を吐きながら、脱衣所から出てきた。
「なんで、前みたいに春くんに、素直になれないのかな?私って、なんで!まだ、春くんがいるのかしら!?」
シャルは、凄く驚きながら、赤面でこちらを見ていた。
「あのぉ、シャル?ちょっと話しをしたいからね少し良いか?」
「まぁー、いいけど」
プイッと顔を背けてシャルは答えた。
ホテルの外にある、ちょっとした、休憩スペースまで歩き、そこで話そうとした。
最初に話しを切り出したのは、シャルからだった。
「で、春くん話しって何かしら?」
俺に質問して来た。
「あの、シャル、この間はごめん。」
俺は2ヶ月前、シャルと修学旅行の買い物に行く約束をしていたのにも関わらず、ルナのライブに行ってしまったことを謝った。
「はぁ〜、、全く、春くんは困った、幼馴染ね」
ため息を吐きながら、答えた。
「そのことは、もういいわ、私こそ、2ヶ月も無視して悪かったわね。…………もっと、私が素直だったら、こんなことにならなかったのかしら?私もダメね…………」
「ダメなんて、ことないよ。俺も悪かったし、でも、また、こうやってシャルと話せて良かった。」
「私も嬉しいわ!春くん♪」
その後も、シャルと話しながら、ホテルの部屋へと帰って行った。
「よし、風呂に入って寝るかぁ〜」
俺は1人で風呂場へと向かった。
「ふぅ〜、いい湯だな」
風呂場にいたのは俺だけだったため、風呂を一人で満喫していた。
今日は、シャルと仲直りできて、本当に良かったと思い。
夜空を見上げる。
だが、シャルと仲直りしてなお、俺はまだ、シャルのことを考えていた。
きっと、俺はシャルのことが好きなんだ、彼女のツンツンしたところも可愛いと思うし、たまに間違えて、顔を赤くするところも可愛い、もっと、シャルの色々な表情が見たい!
俺はそう思い、ある決意をする、この修学旅行中にシャルともっと仲良くなりたいっと。
俺は風呂から出る。
…………翌日…………
2日目は、班別行動だった。
俺は、下のロビーで待っているであろう、班員のところに行った。
「みんな、おはよう!」
俺は、班のメンバーに挨拶をした。
もちろん、そこには、シャルもいた。
そして、班員が揃い全員で行動を始めた。
最初は、金閣寺へと向かい、そこで、事件が起きた。
金閣寺を出た後、俺とシャルは班のメンバーから逸れてしまったのだった。
そこで、ふっと思い出す。
あの時の作戦会議の時に出た案のことを。
…………修学旅行前のある日…………
俺たちは、会議の途中だった。
そして、ルナが名案を出す。
「先輩たちが、2日目の自由行動の時に2人っきりで行動すればいいんですよ!そこで仲直りです!」
「それは、いい考えねぇ〜月子ちゃ〜ん!私も賛成よぉ〜」
「月子って呼ばないでください!このデカ乳」
「そんなことないよぉ〜」
「確かにその意見は中々いいな!ありがとうルナ、でも、どうやって2人っきりにするんだ?」
「ふっふっふ〜、先輩はだめですねぇ、班のメンバーに言えばいいんですよ!2人っきりにしてくれぇ〜って」
俺の目の前で、得意げにルナが言った。
「明日、班員に言ってみるよ!」
…………金閣寺出口付近…………
「まさか、このタイミングで消えるとは、なんとも、仕事が早い奴らだ。」
俺がそう、呟いているとお手洗いから帰ってきた。
「ごめん。みんな、待った?って!皆んなはどこ言っちゃったの!?」
「俺も、さっき気がついたんだけど、皆んな居なくてさぁ」
「じゃー、しょうがないわね、次の目的地に着けば、会えると思うし、次の目的地まで向かいましょ?」
「そうだな!一緒に行こう!まず、最初は何処に行くんだっけ?」
「何よ、忘れたの!?映画村よ!」
食いつく様に答えるシャルに俺は、圧巻された。
多分、シャルが1番楽しみして居た、場所なんだと思った。
……………………映画村……………………
「やっと!ついたわね、春くん!映画村よ!映画村!あれ!ジャパニーズきもぉーの!」
シャルは、変てこな日本語英語を使い、とても目を輝かせていた。
確かに、これは誰が見ても興奮するだろう、まるで、江戸時代や安土桃山時代にタイムスリップしたかのような、建物とその時代の着物や髪型をしているキャストさん達が沢山いるからだった。
だが、映画村に似合わない、制服姿をしている人達やカラー付きの壁紙もちらほら見えた。
俺たちもその中の1人だった。
「なぁ〜!シャル、着物、着れるみたいだぞ?」
俺は、着物屋さんのような外見をした、所のカラー付きの壁紙を指を指して、シャルに示す。
「本当だわ!でも、着物を着てら、他の皆んなと合流できないじゃない?」
残念そうな表情をしていた。
「なぁ〜、シャル!俺と今度の夏祭り浴衣着て、一緒に行こうぜ!」
「えっ!?本当に!春くんっと浴衣で、ででで、デート〜」
えへえへと、だらし無い顔をしながら、妄想にふけていた。
「シャル?大丈夫か?」
俺はシャルの顔の前で手を振る。
「大丈夫よ!それじゃ〜約束よ!絶対、絶対、ぜぇーったいに、約束よ」
はっ!っと気がついたようにシャルが答え、前かがみになりながら、俺に言って来た。
「わかったって、」
俺はシャルの迫ってくるような言い方にタジタジになっていた。
「約束だからね!」
最後につき加えるように、言葉を残して、次の目的地である、清水寺に向かうのであった。
…………………清水寺……………………
俺たちは清水寺の正門である仁王門の前に居た。
「流石、清水寺正門って言っても中々の迫力だな」
「そうに決まってるわ!だって、清水寺よ!き!よ!み!ず!で!ら!」
俺の顔の前に人差し指を突き出しながら、シャルが俺に言った。
俺たちはシャルと一緒に清水寺の本堂へと向かいながら、歩いていた。
「ここがいわゆる、清水の舞台から飛び降りってやつか、いやいや、流石にここからは、飛び降りれないでしょ!」
俺は、清水寺の本堂の手すりから、ガクブル震えながら、見ていた。
「そんなにかしら?私も見て、って、私も無理だわ、流石にここまでとは、清水寺おそるべし」
シャルも足をガクブル震わせながら、答えた。
俺らはそこから、誰も1人では持ち上げられないであろう鉄の塊みたいな物を持ち上げようとしてみたり、清水寺を満喫していた。
清水寺の本堂から坂を下りると音羽の瀧が姿を現した。
そこから、流れる水にはそれぞれ、健康、恋愛、学業、っと言った効能があると言われていた。
特に、その中で1番観光客が飲むと言われているのが、恋愛の水だそうだ。
シャルは胸を張りながら、長々と俺に説明してくれた。
「なぁ〜、シャルは、どの水を飲むんだ?」
俺はシャルに聞いた。
「私は、も、ももも、もちりょん、恋愛の水だけど!?悪い!?」
少し、噛みながら、答えた、シャルは顔を赤らめながら答えた。
「悪いとは、言ってないぞ?」
「じゃ〜、春くんはどの水を飲むのかしら?」
「俺はもちろん、恋愛だけどな、、」
俺は照れ臭そうにシャルに答える。
「もしかして、春くんって好きな人いるのかしら!!」
シャルは少し、怒鳴りながら俺に質問して来た。
「今は、その、そのな?あの、、」
俺は恥じらいながら、答えられなかった。
改めて、考えると俺の好きな相手がシャルだったから、だった。
「まぁ〜いいわ、ほら次は私たちの番よ」
シャルは、頭の上にハテナがあるかのように首を傾げて答えた。
シャルは、綺麗に洗浄された、おしゃくを取り、水を入れ、シャルは唇を付けながら、水を飲んだ。
そして、自然にそのおしゃくを俺の手元に渡して来た。
「はい、春くん」
「ありがとう、シャルぅ!?」
俺は、渡されてから、気が付き、それに気が付いたシャルも顔を赤らめていた。
「使いたければ、使えば!?」
プイッと顔を背けて俺に言った。
「う、うん。」
流石に断らないと思い俺は、おしゃかに残った水を飲んだ。
「うぁぁー!」
赤面になりながら、シャルが叫んだ。
「おいおい、ちょっと、シャルここ一応公共の場だから!」
俺は、赤面になって、機会がショートしたかのように固まっている、シャルの手を引っ張りながら、おしゃかを元にあった場所に戻し、シャルをなだめていた。
「シャル?大丈夫か?」
「春くんのバーカ、バーカ」
俺に白痴のように答えていた。
「水でも、飲むか?」
「飲む、シャル飲む、お水飲みたい」
シャルは涙目になりながら、俺に答えた。
「わかった、ちょっと待ってて、買ってくるから」
俺が水を自動販売機まで買いにいこうとすると俺の服の袖を掴んだ。
「春くん、どこに行くの?どこにも行かないで、嫌だよ、嫌だよ」
「シャル?」
「やっと、また、一緒になれたのに、また、どこかに行っちゃうの?」
「シャル?大丈夫だから、俺は、どこにも行かないから」
「昔みたいに、一緒に遊びたいし、もっと、色んなところに行きたい。なんで春くんは、直ぐ、どこかに行っちゃうの?」
シャルはまるで人の話を聞いていなかった、昔みたいに、昔みたいに!?
俺は、少しずつ昔のことを思い出しつつあった。
「春くんが事故に遭う前もそう、私に絶対一緒にいるって言ったのに、私の前から居なくなっちゃった。」
俺は、思い出した、シャルと昔交わした約束のことを………………
『なぁ〜、シャル?」
俺は、ちょっとした、石階段の段差に座り込みながら、シャルに聞いた。
『なに?春くん?』
『今度、一緒に花火大会一緒に行かないか?』
『何よ、急にって!えっ!いいの!?花火大会だよね?』
シャルは、とても驚いたかのように、俺に聞き返して来た。
『ああ、俺はシャルと見たいんだ、花火、』
『本当に?本当?』
『あぁ、本当に本当だ』
『わかった、絶対、絶対、ぜぇーったいに約束よ?』
『あぁー、わかってるって、約束だ』
『うん、約束ね、私、絶対に浴衣着てくるわ♪』
『わかった、俺も浴衣と言うか、甚平着てくるよ』
…………俺とシャルは昔、同じような約束をして居たのを思い出した。
その約束の日に俺は、シャルと待ち合わせして居た、月帝公園に行く途中に事故に遭ったんだよな。
「本当に私、心配して、心配して、春くんが入院している時も私はずっと側に居たのに、春くんは私のことを忘れちゃって」
その時の記憶は、正直思い出せない、きっと、あれは、薬の副作用か手術後の後遺症だろう、はっきりと、記憶に残っているのは、冷たい風がすーっと病室のカーテンを揺らしながら、その揺れている、カーテンから偶に見える、満月だけを眺めているところからしか記憶がなかった。
そして、その月を見る度にあの幼く交わした約束を思い出す。
「『あなたは太陽、私は月、2人は表裏一体ここに永遠の愛を誓う』だったけ」
俺は、ボソッと呟く。
「えっ!?春くん!どうして、」
正気に戻ったのか、シャルは俺に驚いたかのように、質問してきた。
「ん?どうした?シャル」
「だって、だって、春くんは、昔のこと、殆ど覚えてないって言ってたじゃない?」
「いや、確かに殆ど覚えて無いけど、この言葉だけは、忘れちゃいけない気がして、」
「じゃ〜、その相手も覚えてるの?」
「いや、その言葉と満月の夜だったことだけしか、覚えてない」
「あっ、あら、そうなの」
「と言うか、シャルさっきは大丈夫だったか?」
「バカー!」
カーッと顔を赤らめながら、俺に罵倒した。
良かった、いつものシャルに戻ってくれたことにホッとした。
「春くん、清水寺にも班の皆は居なかったから次に行きましょ」
プイッと清水寺から外に出る方へと体を替えて、歩いて行った。
俺たちは、二条城や銀閣寺などの定番スポットに行ったが、結局班の人達とは逸れたままだった。
班の人達とは、合流したのは、宿泊している、ホテル付近だった。
「ありがとう、ルナ、香織先輩、2人のお陰で俺はシャルと仲直りすることができて良かったよ」
俺は、1人心の中でそう呟き、自分の部屋へと入って行った。
そんなこんなが、あって、俺は露天風呂に入った、 まるで今日一日の疲れを癒すかのように温泉が身に染みる。
「はぁ〜、今日は色々なことがあったな」
俺はふっと夜空を見上げる。
「あと少しで満月か、」
俺はそう呟いて、風呂を後にし、自分の宿泊している、部屋へと戻った。
俺が部屋に戻って少し後のことだった、突然、俺のスマートフォンが鳴った、その鳴った相手とは、シャルだった。
「もしもし?シャルか?どうした?」
「ちょっと、外まで来てもらってもいいかしら?」
「えっ、うん、わかった。」
少し会話をして、俺はシャルの元へと向かった。
昨日も来た、ちょっとした、ホテルの広場にシャルは1人ベンチに座りながら、待っていた。
「シャル?どうした急に?」
「あっ!やっと来た!ちょっとこれを見てちょうだい?」
シャルは自分の胸元に突然手を入れて、月の形をモチーフにした、ペンダントを見せて来た。
「それは!」
「どう?何か思い出した?」
俺は、あの時の記憶が再び、流れるかのように思い出す。
あの時居たのは、確かに満月の月帝公園、そして、俺は女の子と待ち合わせをしていた、その女の子こそ、シャルだったのか!?
「あと、この中の写真」
ペンダントを開くとそこには、幼い、俺と思いしき少年とシャルの姿があった。
「シャル1つ聞いてもいいか?」
「なに?」
「昔、俺たちはとある、満月の日の月帝公園で約束を交わしたか?」
「えぇ、そうよ」
まるで、俺の中で何かのスイッチが入ったかのように、記憶が全て蘇った。
そして、俺は思い出した。
『俺は、昔から、シャルのことがいや、月泉シャルロットのことが大好きだったのだと』
あの、花火大会でなにを言おうか決めていたことも全て、何もかも思い出した。
「やっと、逢えたな、シャル」
俺はやっと言えた、今まで言えなかった、一言を1番大切な人の前で言えた、だけど、こんなものではまだ、足りない、だけど、この場では1番言いたい言葉は、言えない、あの場所でなければいけない。あの場所であの満月の夜の日にしか、言ってはいけない気がした。
私は春くんの言葉に衝撃を受けた、まるで、突如、突風が吹き荒れたかなような感覚だった。
本当に春くんは、私のことを思い出してくれた、これからは、春くんともう一度、やり直せる、私の本当の気持ちを伝えられる、だけど、あの場所で、あの満月の夜にでしか、答えてはいけない。
それが、本当の約束だから。
そして、その約束の日はあと少しで来る。
私はもう一度、春くんをあの場所に呼ばないといけない、そんな気がしていた。
「戻ろっか?春くん」
私は、春くんにそう告げて、私は春くんに宿泊して居る、部屋の前まで送ってもらい、2日目の夜が終わった。
…………………3日目……………………
今日は、修学旅行最終日、初日同様、クラス全員での行動だった。
私は、直ぐに春くんの近くに向かい、春くんといつも通り、行動を共にした。
そして、あっという間に高校2年生の最初で最後の修学旅行と言う一大イベントは終わり。
私は、いつも通りに春くんと一緒に帰った。
その別れ際に明日の夜に月帝公園に来るように春くんに告げて、帰った。
……………………次の日……………………
『今日、念願待った日、しかも、学校は修学旅行の振り返り休日で、私は、いつも以上におめかしをしていた。
そして、少し、恥ずかしいけど、白のワンピースに白のハイヒールを履いて、準備をしていた。
「今日は、春くんもわかって居るはず、今日が、どれだけ、待ち遠しかったことか、これで、やっと春くんとでへへへへへぇ〜」
私はよだれを垂らしながら、だらしない笑みを浮かべていた。
いけない、いけない、私がこんなんだと、また、春くんがどこかに行ってしまう。
私がしっかり、しないと、春くんに嫌われちゃう、私には、ライバルが沢山、居るんだから、生徒会長の月浦香織先輩、人気アイドルのルナこと小林月子さん。この2人はとても、強敵だわ!
でも、今日は、絶対に誰にも邪魔されない、邪魔なんてさせない!
私が、きっと春くんの彼女になるんだから!
いや!お嫁さんになるんだから!
お嫁さんにかぁ〜、春くんは何人子供欲しいのかしら、春くんが望むなら、サッカーチーム作れるくらい、産んでもいいわ!
でも、その分愛情も11倍にしないと、いや、12倍ね!春くんも入れなきゃ〜
そんな、こんなを考えて居ると、春くんと約束していた、時間になっていた。
「いけない!遅れちゃう、遅れたら、せっかく、なん10年も考えていた、作戦が台無しになっちゃう」
私は、足早に約束の場所《月帝公園》へと向かった。
今日は振り返り休日でしかも、シャルに今夜、月帝公園に呼ばれている、即ち、それは、あの幼き時に交わした、約束を果たすってことだよな?
記憶を取り戻した、俺は、口調も少し変わっているのがわかった、俺は、昔こんな口調だったんだと思い、とても変な感覚だ、自分なのに自分じゃないみたいだった。
俺の待ち合わせに、シャルに渡すための指輪すら無かった。
だから、俺は少し、遠出をして、指輪を買いに行こうと思い、東京へと向かった。
東京には、とても高いお店や逆にとても安いお店などわんさかあった、俺はできる限り、シャルに良いものをと思い中くらいのお店でお揃いの指輪を買った、そして、プロポーズによく使われる様な、指輪の箱に入れて下さいとお願いをし、1つは自分の薬指に付け、1つは箱に入れたまま、月帝の町へと向かった。
俺が月帝の町に着く頃にはすっかり、夜だった。
俺は、流石に女の子1人で夜中ポツンと立たせるわけに行かないと思い。
急いで月帝公園へと向かっていた。
その時。
ドンガッシャーン
気がつくと俺の体が宙に浮いていた、そう、俺はまた、惹かれたのか、また、シャルに悲しい思いをさせてしまうのか、また、俺はシャルにこの気持ちを伝えられずに終わってしまうのか、俺は…………俺は…………俺は……………………
「遅いわね〜、何かあったのかしら?」
自分の手元にある、スマートフォンを見て時間を見る、21時30分だった。
私が来たから、2時間が経つわね。
流石にここまで遅いと私も寒いし、電話でもしようかな?
プルルルルプルルルル
ガチャ
「春くん?いつまで待たせるの私帰るわよ?」
「こちら、月見里春鳥さんのご友人様ですか?」
聞き慣れない、大人びた声が聞こえた。
「ええ、そうですけど、春くん、いえ、月見里くんに何かあったんですか?」
「はい、その交通事故に遭いまして」
「うそ!今、月見里くんはどこですか!?」
「月帝中央病院の方に搬送中です。」
「分かりました、直ぐに向かいます」
ツーツーツー
『なんで、また、春くんは私の前から居なくなるの?なんで、なんでよ!」
私は号泣しながら、月を憎んだ、そう、古来から、満月の夜には、何かが起こると言う迷信があったことを思い出した。
私は、大急ぎで、春くんのおばあちゃん、おじいちゃんに電話を入れ、そして、私の両親に連絡して、月帝中央病院へと向かった。
……………………月帝中央病院……………………
私は、春くんが手術を受けている、集中治療室の前のベンチに腰をかけて、待っていた。
そして、集中治療室の重たい扉が開く。
「先生!春くんは!?」
「月見里春鳥くんですが、一命は取り留めました、ですが、脳に大きな衝撃があり、今は意識不明です。そして、気絶しながらも、この箱だけは、ずっと握りしめていました。」
先生がそう、告げながら、血だらけの指輪の箱を私に渡して来た。
「これって!」
私は、自分の顔の前に両手を置き、驚いき、涙が溢れ出ていた。
きっと、春くんは、私にこれを渡そうとしていたんだ。
きっと、気持ちを伝えようとしていたんだ。
しかも、律儀に月の模様と対になる、太陽の形をモチーフにしている、指輪だった。
少し、小さいが、ダイヤの様な透明な宝石の様な物も付いていた。
「時間はもう遅いので、一度帰りなさい」
先生の近くにいた、看護師さんが、私の方にポンっと手を置き、私をなだめてくれた。
私は、看護師さんに言われるように一度家に帰った。
その後、何ヶ月も春くんは意識を取り戻さなかった、春くんは、月帝中央病院では、もう処置の施しがないらしく、月帝の町から遠く離れた。
もっと、大きい病院に移された。
そして、春くんは、また、月帝の町から居なくなった。
更新遅れて、すいません。
書く内容が多くて、投稿するの遅れました。