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光の国  作者: 幸鈴
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お礼

前回に引き続き短めです。

話の筋が通っていないところもあるかもしれません。

拙い文章ですが、宜しけれ読んで頂けると幸いです。


再び目が覚めると、彼はそこにいた。



私が起きたことに気づくと、ゆっくりと起こしてくれた。


『少しは落ち着いたか』


柔らかい声で聞かれて、ノロノロと頷いた。まだボーッとする頭で先程言われたことを思い出す。


沢山のことを一度に言われて頭は軽くパンク状態だ。



何よりショックだったのは、両親が亡くなった、ということ。



やはり、精霊のせいで、下手に理解力でも上がっているのだろうか、だんだんと頭の中が整理されて言われていたことを冷静に受け止めている自分がいた。

その時、少し怖いと思った。両親の死すら受け入れかけている自分に…。

そして、私だけが生き残ってしまった罪悪感に押しつぶされそうになった時、それを感じ取ったのか、


彼は『大丈夫だ。安心しろ。お前は生きてて良いんだ。寧ろ生きていてくれてありがとう。』と。


それを言われて、ほんの少しだが、心が軽くなった気がした。



私はそこで聞いてみることにした。


私の年齢に見合わないこの冷静な判断力は何なのか、と。


すると、彼は驚いたような顔をした。


ぶつぶつと『そうか…。やっぱりおかしいのか…。いや、しかし、俺は子育てなんかしたことねぇしな…。こんなもんじゃねぇのか…?』なんて事を言い出した。終いには『まぁ、良いんじゃねーの?』



…軽っ!軽いよ、軽すぎるよ。そして、一人称変わってたし。


流石に彼も軽すぎると思ったのか、『まぁ、念のため精密検査しておくか。精霊を取り込ませるなんて、前代未聞だからな。何かあっても困るし…。』


そうそう、何かあったら困るし…、っておい!前代未聞な事ならなおさらちゃんと精密検査までやって!!


すると、いきなり彼が吹き出した。


ギョッとしていると、私の表情がコロコロ変わって面白かったそうな…。


知らんわなそんなこと…。ていうか、そうさせたのはあんただろうが。



ひとしきり笑い終えると、『何はともあれ感情はちゃんとあるようで安心した。』と言って、私の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。



頭を撫でられただけなのに、私にとってはとても嬉しかった。



彼はそこで初めて自分の事について語った。語ったと言っても、本当に大したことは言わなかったが…。


名前と自分が精霊の中でも浮いた存在であるということ、そして、彼は一定の場所に留まらずあちこち放浪していること。


私はかねてから気になっていたことを聞くことにした。


歳はいつくなのか、と。



髪の毛はボサボサで少し長めな為、無造作に後ろで束ねてあり、無精髭を生やしている。しかし、よく見ると顔はかなり整っており、特に目は、一見深い緑に見えるが、光の加減でエメラルドグリーンのように光り輝く。とても不思議な目をしていた。

髪色も一見暗い灰色だが、時折、海の底のような、グレーと暗い蒼が混ざったようにも見える。パッと見はおっさんに見えるが、よく見ると年若くも見える。所謂、年齢不詳というやつだろう。

まぁ、彼は精霊だそうだから、精霊とはそんなものなのかもしれないが…。


返ってきた答えは、『203歳だ。』


…人間の尺度に直してください。


私が余程不満そうな顔をしていたのか、彼は補足してくれた。精霊はおよそ千歳くらいまで生き、二百歳は人間の二十歳とおよそ同じくらいらしい。


精霊の一人前は、およそ百三十歳あたりで、そこから練習を積んで今の彼のように具現化できるようになるそうだ。精霊の具現化は、見た目は普通の人間である。髪色や目の色が変わってはいるが…。

精霊は一人前になるまで結構時間がかかるようだ。



そして、やはり彼は若かったのか…。と思ったところで、ふと思い至った事があった。



なぜ年若い精霊が放浪なんぞしているのか…。それも先程言っていた、精霊の中では浮いた存在ということだからなのだろうか…。



疑問に思うことはあったが、根掘り葉掘り聞くのもいかがな事かと思い、心のうちに留めた。




彼は自分のことを喋り終わると、今度は私に振ってきた。

お前の名は何だ、と。

そう言われて、初めて私が名乗っておらず、さらには、助けてもらったお礼すら言ってないことに気がついた。


お礼どころか、暴言吐きまくりながら号泣してたしな、私…。


慌てて、自分の名前とお礼を言ってないことを詫び、お礼を言った。

彼は気にするなと言ったが、何だか少し申し訳ない気分になった。

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