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光の国  作者: 幸鈴
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私のはじまり

初投稿です。

よろしければ、読んでください。

かなり短めです。ちょっとシリアスです。

ー薄暗がりの中私は目を覚ました。


じっとりと体中に嫌な汗をかいている。頭を振って先ほどまで見ていた夢の名残を追い払い、呼吸を整えてゆっくりと立ち上がる。


はっきりしてきた頭で思い返す。木の下に座っていただけのつもりだったのだが、どうやら眠ってしまっていたようだ。ここ最近の疲れが出たのだろう。


それにしても嫌な夢を見た。もう、あんな思いをするのは二度とごめんだ。


私一人だけが生き残ってしまった…。何故、私だけ……。


しかし、いつまでも引きずっている場合ではない。私には今やらねばならぬことがたくさんある。そう、私はこの国の王なのだから…。


私の名は鈴瀬みゆき。今の肩書きは光の国の女王である。


この国は王を決める際に、血筋は関係なく、只々、実力その一点のみで、決定される。


とは言っても、その決定を下すのは、元老院と呼ばれる5人の爺さんだけどな。私が王になったのも、彼奴らに仕組まれていそうだが…。恐らく、扱いやすいとでも思ったんだろう。言いなりになってやるつもりはこれっぽっちもないが…。



それはさておき、何故私が王などになったか、説明しよう。


それは、私が4歳の時に遡る。私はあの日、とある場所にいた。何故そこに居たのかは正直思い出せない。


それ以前の記憶が無いのだ。医者には、ショックによる記憶喪失だろうと言われたが、本当のところはどうだか分からない。誰かに記憶を操作されている可能性もある。


話を戻すが、私は、両親と共にそこに居た。私の記憶はそこから始まっている。


そこで、私達は襲われた…。黒いドロリとした形を持たない塊に襲われたのだ。それが生物なのか、何者なのかは分からない。


私達は普通の人間だったはずだ。


何故私達を襲ったのか、それとも、誰でも良かったのか…。それすらも分からない。



両親は、その黒い塊に飲み込まれた。



私だけは、両親が盾となって逃がしてくれた。だから、私は両親がその後どうなったのか、知らない。



助けられた後に、飲み込まれて死んだ、と聞かされただけだ。遺体すらなかったらしい。


逃げている間にも、黒い物体は私を取り込もうとした。何とか逃げていたが、転んでしまい、体の大半が飲み込まれ、もうダメだ、と思った。


だんだんと意識が薄れていき、ぷっつりと意識が飛んだ…。



気がつけば、見知らぬ場所で、ベッドの上に寝かされていた。私が起きたことに気づいたらしい人は、私の状態を説明した。


その人の言うことには、私は彼らの仲間に助けられたそうだ。


私を襲ったのは恐らく、彼らと敵対しているものだろう、という事も…。



そして彼は、驚くべきことを言った。自分達は"精霊"であると。


"精霊"、それは、自然の全てに宿り、それらを司るもの。例えば、水、木、火、土、雷など…。その他にもこの世界のありとあらゆる自然に宿っているそうだ。

さらに、"精霊"は光と闇で対になるらしい。つまり、水、木、火、土、雷などの一つものに対して必ず2人いるそうだ。


光と闇で敵対しているのか、と聞くと、


『光と闇は対になる存在ではあるが、敵対はしていない。私達が敵対しているのは、人が堕ちたものだ。奴らは人を喰らい、喰われた者は同じく堕ちる。そして、また、人を喰らう。鼠算的にどんどん増えていく一方だ。世界は光と闇と邪気と呼ばれるものでできている。大半が光と闇であり、それらは拮抗している。しかし、奴らによって、今世界の均衡が崩されかけている。故に、奴らを狩らねばならんのだ。』と、


普通なら、4歳の子供に理解できるはずもないことを言った。しかし、何故か、私は理解できてしまった。


そして、さらに彼は言った。

『お前の体の中には精霊がいる。お前は飲み込まれて死にかけていた。こんなことは普通しないのだが、お前を助けるために、精霊をお前の心臓として取り込ませた。そうすることで、邪気を祓うこともできる。』


そう言われた瞬間、目が覚めてから感じていた違和感が何だったのか分かり、すっきりした。それと同時に、何故こんな話を理解できてしまったのか、という事も何となく分かってしまった。


だから、私はある矛盾点に気がついた。


先程、奴らに喰われれば同じ存在に堕ちると言っていたのに、何故、黒い物体に飲み込まれて死にかけていたのか。

理由は分からないと言われた。奴らではなかったのかもしれない、と。


そして、私が最初から気になっていたことを聞いた。


両親はどうしているのか、と。




ーー亡くなった、と聞かされた。ーー




その時ばかりは何を言われているのか分からなかった。


さらに彼は『あと少し、間に合わなかった。お前を助けるので精一杯だった。本当に、すまない…。』


それを言われて漸く理解した。


私はその時初めて、年齢に見合った態度をとったと思う。


何でなんだ、と彼を問い詰め、詰り、泣き喚いた。彼はすまない、と何度も謝りながら私の背中を撫でてくれた。





漸く落ち着いて、泣き止んだのはいつだっただろうか…。とても長い間泣いていた。泣き止んだ後は頭がボーッとして、そのまま、また寝てしまった。

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