ドラゴンの力
雷斗がそう叫ぶと同時にここまで進んできた道の天井から一つの大きな岩の壁が下りてきた
『なっ!なに!?』
唐突に塞がれ、脱出不可能となったこの事態に水希は驚きの声をあげた
しかし雷斗と大地は違った
『大丈夫。岩だって大地の一部なんだからお前なら操れるだろ?大地』
『おう!見てろよ』
そう言うと大地はパンッと手を合わせてから両手を勢い良く岩の壁に当てた
しかし岩の壁はビクともしない
『あれっおかしいぞ!?』
何度大地が両手を勢い良く壁に当てても壁はウンともスンとも言わない
『ふぉっふぉっふぉっ。やはり人間の驚き、戸惑う光景はなんとも滑稽じゃのう』
すると後ろにいたドラゴンが高笑いしながらそう言い、話を続けた
『この空間は今我の能力により完全に現実世界から隔離された空間となっている。脱出することは不可能だ』
『お前、能力を使えるのか!?』
雷斗がそう問いかけると
『当たり前じゃ。我らドラゴンはお前ら人間よりよっぽど知性が高い。能力の原点が脳の異常な発達であるのだから人間に持てる能力がドラゴンに使えないわけなかろう。』
『へぇ〜!スゲぇんだなドラゴンって』
雷斗が関心の目を向けてると水希が
『そんなことよりここからどうやって帰るのよ!ってかあなたは私達を閉じ込めてなにがしたいのよ?』
と不機嫌そうな顔で言う
『まぁ脱出方法が無いことも無いか。我を倒すか、この空間を破壊するほどの強力な技を一点に集中させることが必要だ。まぁこの空間を破壊できるほどならおそらく我など容易に倒せるが、お前達なら我が本気を出せばアッと言う間に食ってしまえるじゃろう』
とドラゴンがニヤつきながら言った瞬間雷斗達3人は戦闘態勢に入った
それも無理はない
ドラゴンのその不敵な笑みからは立ってることもままならない程の禍々しいオーラが発せられたからだ
(こいつは本気だ。本気でやらなきゃコッチがやられる)
そう瞬間に悟った雷斗は2人に
『こいつは本気だ!あのオッちゃんには悪いがこっちも本気で倒しに…』
そう言ってる最中にドラゴンの大きな翼が雷斗を壁に打ち付けた
『グハッ』
これにはいくら雷斗でも耐えかね倒れこみ苦しげな声をあげている
しかし流石は幼馴染と言ったところだろうか、水希達2人は雷斗がこれくらいではやられたりしないと分かっていてあえて、雷斗の方に目を逸らさずドラゴンへの攻撃を開始する
『別に部屋からでようとしなければ地面は操れる。くらいやがれ!俺の最大の力で硬化された大地の力を』
そう言って大地はパンッと手を叩き地面に触れると今度は凄まじい速さで板状となったが土が一部がドラゴンの胸元に向かっていく
『ガイアストライク!』
しかもただの土で出来た板ではなくコンクリート以上の硬さを持った鉄の板だ
(流石にこれを食らえばひとたまりもない)
しかし大地のその考えは技を繰り出してから1秒も立たずに打ち消される
『この程度で我を倒そうなど片腹痛いわ!』
そう言いながらドラゴンは巨大な尻尾でコンクリート以上の硬度の土の板を簡単に壊してしまった
『そんなっ』
自分の確信を意図もたやすく崩されて大地は動揺を隠せないでいた
そしてその巨大な尻尾はそのまま大地の方へと向かっていった
『クソッタレがぁぁぁ!』
大地はそう言いながら先ほど繰り出したような土の板を今度は4枚、自分の前に壁を作った
『ガイアガード』
バンッという強烈な破裂音のようなものと同時に両者の技が激突した
するとドラゴンの尻尾の攻撃がどんどん弱まっていくのを大地は感じた
(これならいける)
その大地の考えを悟ったようにドラゴンは
『これが本気とでも思っておるのか?』
とまた不敵な笑みを浮かべながら言う
『調子乗ってんじゃねぇクソジジィが!ぶっ叩いておいて無視とは良い度胸してんじゃねえか』
羽による攻撃で完全にキレた雷斗は驚異的な高さまで飛び上がり、ドラゴンと出会った時と同じぐらいの声量で怒鳴り散らした
そして指を鳴らし、莫大な量の電気をまとった拳を全力でドラゴンの背中に向かって振り下ろす
水希も雷斗を冷静にしつつ負けじと髪を束ねているリボンをほどき必殺技を繰り出す
『雷斗冷静に!』
『死ねぇクソジジィ。くらえエレクトロナックル!』
『あぁ…もう…まぁいいわ。大地、フォローするわよ!ハイドロカット』
ハイドロカットは水をマッハ2もの勢いでとばしどんな物でも切り裂くという水希の必殺技だ
『ほうほう、なかなかやるようじゃが…』
そう言ってドラゴンは一度大きく息を吸い込み
『まだまだ甘いのお!』
そう言って思いっきり足を踏ん張り大地の前にたたずむ4枚の壁をを用意に壊しそのまま壁に叩きつけた
そしてそのまま勢いを保ち、水希の必殺技を避けつつ翼でさっきよりも強烈な一撃を水希に決めた
そして雷斗には
『竜波砲!』
とドラゴンの口からとてつもない咆哮が繰り出され雷斗は天井に吹き飛ばされた
3人は痛みに耐えながらもドラゴンの圧倒的な強さに絶望するしか無かった