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深海ソリティア  作者: 井石 知将
8/11

番外編 年越す

「……で、人数合わせの為に俺にその合コンに行けと?」

笠谷は手を合わせて頭を下げた。

「頼むって阿賀〜俺、お前でちょうどなんだよ」

「………わかったよ。行きゃいいんだろ」

別に用事もないので了承した。それが恐怖の一夜になるとも知らず。


「さ、どんな子がいるかな〜」

「てか誰がくるんだ?」

「赤羽先輩がさに頼んで可愛い女を連れてくるって」

「多々和野先輩は?」

「別に付き合ってるわけじゃねぇしいいだろ」

………この合コン(ゲーム)オチ(エンディング)が見えた……気がする。

店に入ると赤羽が手を振ってきた。

「おーいこっちこっち」

「笠谷………俺、逃げてもいいか……?」

「ここまできて何言ってんだ?さ、行くぞ」

あぁ、哀れな笠谷に合掌。

「タニタニ?私がいるのになにしてるのかなー?」

「え?………多々和野先輩………?」

そこには多々和野先輩がいた。笠谷は予想外の人物の登場で驚いてるようだ。

「ちょっといいかな?タ・ニ・タ・ニ?」

多々和野先輩はニコリと口元は笑っているが目が笑ってない。

「で阿賀、あなたもどうしてこんなとこに来たのかしら?」

「巻き添えだって巻き添え」

「阿賀さんも誘われたんですか?」

座席の奥の方から中山が顔を覗かせた。烏龍茶(もしくはウーロンハイ)を飲んでいる。

「赤羽先輩に誘われたってとこか?」

しかしだ。中山が来てるとは……て、それじゃ人数会わないだろ。

「人数あってないですよ」

「別にいいわよ。合わなくて」

いいのかよ。


「と、とりあえず何か飲もうぜ………阿賀…………」

来る時のライフを100としたら今は3だな。

「お説教は終わったか?哀れな贄羊(スケープゴート)笠谷」

「タニタニ、これで終わりと思わないでね」

さっきから変わらず、顔は笑っているのにすごく恐い。

「もう許してあげて下さい。笠谷のライフはもうゼロですよ」

実際は3ぐらいあると思うけど。

「あの……阿賀さん何か飲みますか?」

「あ、あぁそうだな………ビール」

「俺マッコリ」

笠谷。

「私もビールにしとくわ」

赤羽。

「私もビール!」

多々和野(怒)。


二時間後。

「阿賀〜助けてくれ〜王様ゲームで初キス消えるのなんて嫌だぁ〜…………」

「タニタニ、文句言わないの」

「いいじゃんか。そんな美人とキス出来んだから」

阿賀はてきとうに笠谷の世迷言をスルーした。

「阿賀さんは多々和野さんにキスされたいんですか!?」

「いや、そういう意味じゃねぇよ!中山、酒まわってる?」

「そんなことじゃ……ヒック…………ないですよ」

顔が赤いぞ。

赤羽はすでに寝ている。

「さ、あのバカップルはほっといてそろそろお開きにするか………ほら赤羽、起きろ」

「おい!待ってくれ慈悲を!俺に慈悲を〜…………」

その後、朝九時ごろにフラフラの男女が神社で初詣していたという都市伝説があるらしい。



帰りの駅まで俺と中山は一緒だ。ちなみに赤羽は俺がおぶっている。

「阿賀さん………」

「ん?なんだ?」

急に中山が話しかけてきた。

「今年、どんな年にしたいですか?」

「俺は…………『やるだけやった!』って思える年にしたい。中山は?」

「私はこうしね阿賀さんと一緒にいられる年にしたいです」

そう言う中山の頬が紅い。少し照れながら言うその姿に見惚れてしまった。

「じゃあ阿賀さん、さようなら」

駅で俺と中山は別れた。

今年も

「いい年になりそうだな」

俺はそう呟き、電車に乗った。

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