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深海ソリティア  作者: 井石 知将
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イチャつく

話も終わり、俺は家に帰ろうとしていた。すると………

「阿賀〜飲みに行かねぇ?」

笠谷に声をかけられた。

笠谷は酒が好きだ。だから仕事が終わるたびに俺に「飲みに行こうぜ!」なんて言ってくる。しかも俺より酒に弱いから、いつも俺が家に送ってやってる。……面倒この上ない。

「そう言わずにさぁ……!」

心を読むな!何もんだ?こいつ?

「笠谷だ!」

「心を読むな!」

ふぅ……どうせ俺がこいつを家に送って行くことになる。しかも深海に行く人を決める日も、もう近い。ここは帰って勉強するべきだな。

「悪い。もうすぐだしな、あれ決めるの」

「そうかぁ………なら仕方ねぇか……」

と、考えていたが、あまかった。

なぜなら………

「二人ともどっか行くのぉ?」

最強の先輩、多々和野理恵(たたわのりえ)に見つかったからだ。

はっきり言ってこの人は『謎』としか言えない。

まるっきり謎だ。

全体的にスレンダーな体型(まぁ、赤羽を見て育ったのだから、大体の人をそう思ってしまうのだが)だ。

「いえ、そろそろ帰ろうかと話してたことです」

この人は異様に酒に強い。もし、飲みに連れて行ったら、何が起こるかわからん。

「え〜残念だなぁ。しょうがないから『タニタニ』連れてくね」

「しょうがないからって……酷いって」

タニタニとは笠谷のことだ。

突然だが、この二人は付き合っている。

もし世界七不思議を新しく作り直すなら、これは絶対入ってる。しかも、多々和野先輩から笠谷に告白したのだ。

世の中の不条理を感じる光景だな。

「んじゃ、カップルの邪魔出来ねぇから帰るぞ」

「まっ………待ってくれ!助けろよ!Help me!!」

何がヘルプミーだ!羨ましいぞ!

二人のイチャイチャに関わると悲しくなるので俺は帰ることにした。

その後、居酒屋で泥酔した男と、けろりとした女性が朝まで飲み歩く姿を多くの人が見たという。


「俺も彼女とか欲しい………」

駅に向かう前にあった赤羽にそんな話をした。

「今………なんて……?」

「?彼女が欲しいって……」

……なんて奴!私が高校の頃からかアピールしてるのに、それに気づかず、他にも多くの人の心に気づかないで何人も諦めさせた博人がそんな事を思ってたなんて…………。

「どうした?黙りこんで」

俺、なんか変なこと言ったか?

「別にぃー」

明らかに怒りながら、プイっと顔を背けてしまった。

やはり何かしたらしい…………

とりあえず謝っとくか。

「なんかごめん」

「自分がどんな悪い事をしたか考えてから言ってね。その言葉は」

ばれてーら。つっても実際、何かしたか?俺?

「………博人見てると悲しくなってくる……」

「何故に!?」


「ただいまぁ………」

真っ暗で静まり返った部屋で俺は一人呟いた。

「………………」

親父……あんたが出来なかったこと、俺がやってやる。

俺はさっそくマニュアルや、プロジェクトについての資料を読み始めた。

「………ゴホッ……………………………」


チュンチュン………。

実際にそう聞こえたわけではないが鳥の囀りが聞こえた。

「あ………さ………か………?……って!」

いつの間にか寝ていたらしい。

昨日は深夜3時までの記憶しかない。普段は5時ぐらいまで出来るのだが……。

急いで支度をすると、(リン)を鳴らした。


そしてついに、ついにその日がやってきた。


「おはようございまーす」

「ついに、今日だね。がんばって」

朝1番に弁当先輩にそんなことを言われた。

そう。今日はついに、潜水士を決める日だ。

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