攻略者①
これは、一つの革命だ。
人類は産み出す力を得た。
これは、一つの革命だ。
人類は廻る力を得た。
これは一つの革命だ。
人類は護る力を得た。
これは一つの革命だ。
人類は知り記す力を得た。
これは一つの革命だ。
だが人類は渡る術をまだ知らない。
「皆んな、勝てよ」
一人の男が、黒き裂け目に飲み込まれながらそう願う。
「何度だって救い出す。長き苦痛に耐えようとも」
一人の男が、黄金の龍にそう誓う。
「全てを護る!今度こそ!」
一人の男が、亡骸を前に空へ叫ぶ。
「全てを継ぐまで、見守ろう」
一人の男が、桜がそびえ立つ泉でそう決断する。
「これは反逆だ。世界を壊したあいつらへの」
失った者が、心に宿す。
これは一つの革命だ。そう、数多の革命の、そのうちのひとつ。
⭐︎★⭐︎
チュートリアルクエストクリアから4日後。俺は今、神奈川県内の大学病院のベッドの上にいる。
「そのぉ……皆さんは同じ神奈川県内の攻略者ということでしょうか?」
目の前には顔馴染みが一人と知らない奴が3人
「そういうことだとエル。ちなみに、最後に起きたのがお前な」
「帝宮。こいつが最後か」
「炎堂寺さん、それ帝宮さんが言ったことと何も変わらない気が…」
「良いんだよ。炎堂寺さん脳みそ全部筋肉なんだから」
最初に喋った奴、こいつは同じ高校の生徒会長の帝宮アリス
炎堂寺と呼ばれている赤い髪に赤い目、そしてムキムキの筋肉を持った体感190cm以上ありそうな化け物
自身がなさそうでオドオドしてる奴
ひょうひょうとしてる黒髪ロングの青メッシュ入りのチョーカー付き美人
「個性豊かだなぁ……ん?ちょっと待って、神奈川県内の攻略者って7人じゃなかったっけ?後の二人は!?」
「一人は最初のチュートリアルで死んだ。メッセージが来てるはずだが、起きたばかりじゃ知らないのも当然だな。もう一人は——」
帝宮が何か言おうとした途端、病室のドアが勢いよく開いた。
「おお!ついに起きたか最後の一人!これでクエストが進むな!それに、日本全国の攻略者を集めたリモートの会議を行える!」
スーツをピチッと着こなし、はつらつとしながらもどこか上品さと真面目さを兼ね備えた雰囲気を持つ男、というかこいつテレビでよく見る
「直接喋るのは初めてだね浅羽詩音君!私は国会議員の日足圭介だ!攻略者同士、これからよろしくな!」
「へ?」
⭐︎★⭐︎
何でも日足さんいわく、日足さん本人が攻略者になってすぐに独断で全国の医療機関に
“攻略者と思しき人物を片っ端から県内一の病院に集めろ”
という指示をしたらしく、俺が最後の一体を倒した時に助けた人が、俺の力についても救急隊員に話したことでこの病院に搬送されたらしい。
「それでその……皆さんは何者ですか?日足さんとカイチョーはわかるけど、他の3人は…」
俺が気まずそうにそう聞くとカイチョーはスマホの画面を見せてきた。
そこに写っていたのは普段使っているゲームのチャット欄だった。
「ん?つまりドユコト?彼らはチャット欄なの?ワケワカメ」
「相変わらず鈍いなぁ」
いやお前が素直に伝えないからだ。
「つまりなエル、この赤髪の筋肉が“ホムラ”で」
「ようエル!リアルで会うのは初めてだな!」
「オドついてるのが雅」
「ふへへぇ。エ、エル君リアルでは初めましてだねぇ。雅だよぉ」
「美人がレン」
「よぉエル坊。思ったよりもイケメンだな」
んん…?
つまりなんだこいつら……
「うちのギルメンってこと!?」
「そういうことだ。ちなみに、他県のメンバーと連絡取ったが、豪山とマスターも攻略者になってる」
豪山さんにマスターのおっさんまでかよ。うちのギルドメンバー全員じゃねえか。
俺の驚きが収まらぬうちに、話は次の段階、被害の程と4日前に起きた事象の概要に移った。
日足さん曰く、被害は建物の破壊や一部インフラの一時的停止、軽傷者数約数10万人と重傷者約3万人人、死者9万8000人名、行方不明者約7000人の大事件らしい。
しかも、これは全部神奈川県内でのみの人数だ。全国で表すと震災の比ではないらしい。
俺の入院している大学病院の別室にも大量の入院患者がいるそうだ。
被害について話している最中、日足さんのスマホに着信が来た。
「はいこちら日足。はぃ?は、はい。わかりました。伝えた後すぐに向かいます。はい。失礼します」
何やらびっくり情報とかびっくり決定事項とかがあるみたい。
「みんなごめんね。ちょっと急遽招集がかかっちゃって、とりあえず伝えることは、全国の攻略者のリモート会議、あれ無し!各都道府県の判断に任せるとのこと、とりあえずみんな!5人で連携とって裂け目攻略しまくっちゃって!」
そう言い残し、日足さんは足早に病室を後にした。
次に俺たちは、互いのスキルの詳細と今後の攻略予定決めに移った。
「とりあえず、俺たち4人はスキルの情報先に共有してるがエルは知らんからな。」
カイチョーからの提案で、俺たち5人はスキルの共有から開始した。
「まあとりあえず、俺のスキルからかな。唯一誰にも教えてないしね。俺のスキルは二つあって——」
俺が続けようとしてみんなの顔を見ると、驚いたような変なものを見るような目…を……あ
「2つって、俺……だけ?」
みんなが顔を見合わせた後、一斉に頷いた。
「な、なるほど。まあと、とりあえず進めるね。一つ目は創造ってスキルで、簡潔に言えば物を作りだすスキルだね。二つ目は武器庫ってスキル。自分が手に取った武器を登録して、好きなように好きな数出して使えるっていうスキル。創造ら⭐︎4で武器庫は⭐︎2だよ」
改めて口に出すと本当に相性いいスキルもらったな俺。てかみんなのスキルがどんなのか気になるなあ。
「じゃあまず俺からだ。エル、俺のスキルは⭐︎5!最高ランクのスキルだ!」
炎堂寺のスキルは⭐︎5!マジかよ最強じゃん!
「第1スキルの名前は火炎化だ!内容はシンプル!体を火炎に変えたり、放出したりできるスキルだ!名は体を表すとはまさにこのこと!はっはっは!」
ゲームの中と一緒。ほむっさんは今日も元気。
俺がのほほんとそう考えていると、カイチョーがほむっさんの頭をベシリと弾いた。
「うるせえホムラ!ここには俺ら以外の患者もいるんだぞ!程々にしろ!」
ほむっさんがへこむと同時にカイチョーが続けて口を開いた。
「エル、俺も⭐︎5だ。スキル名は聖剣降臨。天輪の主人は騎士王スブリーム・エトワール。崇高なる星と呼ばれる存在だそうだ。内容は単純明快。様々な効果の乗った聖剣を一振り扱えると言ったスキルだ。」
「何それ俺の上位互換じゃん!ズル!」
はっ!つい思ったことが口に!
ま、ずるいのは確かだし、もう好きに言っちゃえ。
「カイチョーはカイチョー本体のスペックが高いのに俺のスキルの上位互換出されるとへこむよ俺」
「こればっかりは運だ。ブーブー喚くな」
互いに言い争ってる俺らの間にオドオドしながらも割り込み、今度はミヤビンが口を開いた。
「そ、そのぉ!ぼ、僕のスキルはみんなと違ってほ、⭐︎1です……よ、弱くてごめんねぇ」
「いいや雅。最低ランクってのは後々最強に進化するもんだ。気にすんなよ。それよりさ、ミヤビン。どんなスキルなの?今の所バク、バクってきてて程よいスキルを体が求めてるんだけど」
ゲームと同じ、普段通りに接すると、あちらもゲームと同じように話してくれた。
「え、えっとね、僕のスキルは感覚共有っていうスキルだよ。自分の感覚一つを10倍にして対象に与えるっていうスキル。へへ、あ、あんまり強くないでしょ。ふへへぇ」
た、確かに…割と弱いスキルだな。
「ま、そういうのは使い方次第だよミヤビン。例えばさ、敵に攻撃喰らって、死ぬほど痛い時に使えば相手はその10倍痛いってことでしょ。それ以外にもさ、ミヤビンも辛いけど相手にデバフと与えられるスキルでもあるし、結構いいんじゃないかな」
「そそそ、そうかなぁ。ふへぇ」
手をモジモジさせながらヘナヘナフニャフニャと笑うミヤビンの横から、レンがヒョイっと出てきて、説明と自己紹介をしてくれた。
てかこいつらほとんど自己紹介とか無しかよ。
「最後はあたしだね。エル坊。あたしの名前は氷川玲奈スキルは氷の弾弓ってので、氷で作った弓とか、弾を飛ばすスキル。3倍のMPを使えば矢とか弾を不可視にできるよー。ち・な・み・に、⭐︎3ねー」
ちょうど真ん中。シンプルで使い勝手よさそー。
「これで全員分確認完了。じゃあ次はどんな感じで攻略を進めるって感じの話し合いかな」
こうして、神奈川県の攻略者全員が知り合った事により、第1章"1stクエスト"が完了した。
ちなみに、チュートクエストでもらったDランクアイテムは「向こう見ずのダンディライオン」
効果は4秒間攻撃力が1.8倍されるが、4秒経つと防御力が7割減すると言った物だ。一体どこで使うのかな。
浅羽詩音:エル(現在レベル2)
HP<115>
MP<339>
攻撃<273>
防御<84>
速度<87>
知識<199>
運<7>
所持スキル
第1スキル『概念』創造レベル1
第1スキル『再現』武器庫レベル1




