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裂け目②

「ここが試練の空間ねぇ。ん?なんか居るなあそこ。しかも2体」


独り言を呟きながら謎の空間を歩く俺の視界の先には、2体の変なやつがいた。

一体は本を読みながら椅子に座り、一体は鍵を指でくるくるしながら虚空を見つめている。

あれが………


「あれがこの天輪の主か………と言いたげな顔だな浅羽詩音」


「っ!あんた、なんで俺の名前知ってるんだ。」


本を読んでいた方は小さくため息をつきながら本を閉じ、ゆっくりとこちらに近づいてきた。


「我々はランダムに主を決めるわけではない。魂の共鳴具合やその者の人生、性格、価値観や生き様など、様々な要素を加味し主人となるべき人間を決めている。つまり、我々は選んだ人間の全てを知っていると言っても過言ではない。理解したか。浅羽詩音、プレイヤーネーム:エルよ」


淡々と選定の方法を語る本を読んでいた“X”は、俺のゲームのプレイヤーネームまでも言い当てた。というか、やっぱ知ってんだ。

というか試練っていつ始まるんだよ。こいつら今の所座ってるかストーカーまがいのことを自慢げに語るかの二つしかしてないぞ。


「まあ、何はともあれ我々は主人として君を選んだ。よって君に力を授けよう。」


「………なああんたら………名乗ってくんないとどうしようもないんだけど」


俺がそういうと俺の目の前で語っていたやつと、奥で座っている二人が同時にハッとしたような顔をして、二人ともさらに俺に近づいて(奥で座ってたやつは一気に俺の目の前まで)来た。


「私の名前はクレアシオン。分類は“概念“だ」

「俺の名はアーセナル。分類は“再現“。よろしく頼む」


「クレアシオンにアーセナル、了解おぼえた。じゃあ早速だけども試練の方をよろしく。外がどうなってるかもわかんないし」


⭐︎★⭐︎


簡潔に言おう、二人の試練は超簡単だった。

クレアシオンの試練は

「敵を倒せる武器をイメージできるか」だったし

アーセナルに至っては

「武器の名前を10個言えるか」というはたしてやる意味があるのかすらわからない試練だった。


二つの試練をあっさりとクリアした俺に、二人はひとつずつスキルをくれた。


第一スキル『概念』“創造(クレアシオン)“レベル1

スキル使用者(浅羽詩音)がイメージできる物(生物は対象外)をMPを使い作り出すことができる。ただし、サイズが大きいほど使うMPは大きなり、最大MP量を超える物は作り出せない(現在の浅羽詩音最大MP“307”)。作り出した物にも性能や品質に差があり、制作工程や材料をしっかりとイメージできていればいるほど良い品質・性能のものになる。また、少しでも素材や制作工程を理解していなければ、物を生み出すことはできない。


第一スキル『再現』“武器庫(アーセナル)”レベル1

スキル使用者(浅羽詩音)及びスキルの主人(アーセナル)が登録した武具を自在に取り出し、扱うことができるスキル。登録にはスキル使用者(浅羽詩音)の最大MPの10%(レベル1現在)を使い登録する。召喚に必要なMPは、現代の地球で主に使用されている銃火器や剣・刀・斧等の、何の効果(スキル・バフ)が乗っていない武具を1、そしてその1を基準にスキルが自動で後から登録された武具の召喚に必要なMPを設定する。


そうして、スキルの説明を終えた二人は、最後にと言いながらいくつかのアドバイスをくれた。


「いいか。スキルの使用に特別な動作はいらん。ただただ第何スキルを使うか口に出し、イメージすればあとは勝手にシステムが発動させてくれる。そしてだ、恐らくお前にサービス開始記念のログインボーナスが配られているはずだ。攻略者に選ばれなかった一般人(パンピー)は低ランクの使えないアイテムだろうが、攻略者に選ばれたお前のような連中には何かしらのレアアイテムが配られている。武器だったら速攻で登録しろ。回復アイテムだったら大切な相手に使ってやれ。それ以外は取っておけ。アイテムは裂け目のクリアでひとつランダムに手に入るし、自分の怪我や病気、デバフはレベルが上がれば回復する。あと、アイテムは手に入れたらインベントリに入るがお前の場合武器庫に入れといたほうが——」


「クレアシオン、貴様話が長い」


ありがとうアーセナル。こいつ母ちゃんかよってくらい喋るな……まあ俺母さんいないけど!


「とりあえずありがとうね二人とも!俺行ってくる!」


手を振りながら入ってきたゲートに向かって走る俺を、二人はただひたすらに見守ってくれていた。


⭐︎★⭐︎


黒百合……内臓が傷ついてるのか?とりあえず回復アイテム飲ませなきゃ。

俺は隣家に住む幼馴染、白仙黒百合に回復アイテムを飲ませ家族に預け、他の場所に出現した怪物の処理に当たり始めた。

というかログインボーナスで出たアイテムは、Aランク回復アイテム『春風の回復薬』という名前からして回復用のアイテムだった。

てかよくよく考えるとサービス開始のログインボーナスとか、スキルとか、アイテムとか、全部まじのゲームみたいだな。


「スマホの電波はつながってないか。やっぱりこの騒ぎで電波塔もイカれたのか?俺と同じメッセージが届いてたカイチョーも攻略者になってる可能性が高いし、連絡取りたいのに!ま、できないことはしゃーない」


そう一人口ずさみながら、リングから出ると同時に視界に表示された3つのウィンドの内容に従い、移動していた。


『チュートリアルクエスト“初討伐“』

攻略者に最も近い裂け目から出たモンスターの撃破

報酬:コイン100


『チュートリアルクエスト“都市防衛”』

神奈川県内に出現したモンスター35体の撃破

残り21体:残りプレイヤー(神奈川県内)7人(全7人)

報酬:貢献度に応じて変化


『第1章ゲームスタート“1stクエスト”』

神奈川県内の攻略者全員が一箇所に集合

報酬:なし


なんで最初っからミッションが3つもあるんだよ。まあもう一つはクリアしてるから良いか。てかコインってなんだ?

俺がそう疑問を持つと、新たなウィンドが現れた。


『チュートリアル“コインについて”』

コインとは、アイテムショップでのアイテム購入のほかにも、レベルアップステータスとは別枠で上げることのできる“コインステータス”を上げるためのアイテムです。是非集めてご利用ください。


なるほど、疑問に思ったことなら基本情報くらいは教えてくれる感じね。ま、とりま残り21体倒しますか。その道中で他の攻略者にも会えるかもだし。

俺は“マップ“というアイコンをクリックし、恐らくモンスターであろう赤い点を目指した移動を始めた。


⭐︎★⭐︎


「第一スキル『概念』“創造(クレアシオン)”(レベル1)」

イメージするには相手を貫く巨大なランス!


「はあっ!」


スキルを使って空間に生み出した巨大なランスは、神奈川県内に出現した最後のモンスターの体を貫き、モンスターと共に消えていった。


「皆さん大丈夫ですか!?怪我をされた方がいればこちらに!包帯くらいは渡せるので!」


とは言っても、今人数分の包帯なんて作ったらMPがすっからかんになりそうだな

(現在のMP29/339)

レベルアップの恩恵でステータスアップしてMPの最大量が増えてなきゃキツかったな。

なんて思っていると2枚のウィンドが目の前に現れ


『チュートリアルクエストクリアおめでとうございます』

報酬は倒したモンスターの数で変動いたします。攻略者:浅羽詩音様は4体のモンスターを討伐なさりましたので、Dランクのアイテムをひとつ、インベントリに送りました。後ほどご確認を。


『アップデートについて』

チュートリアルクエストクリアに際しまして、攻略者の皆様の身体の最適化を行います。

最適化には数日かかることもございますのでご了承ください。

なお、最適化に最中は意識がない状態となりますのでご注意を。


「は?おいちょま!」

俺の意識は、待てと言い切る前にブツリと途切れてしまった。


「あ、あの……あの!…………意識がない!誰か救急車を!」


ー数分後ー


「今到着しました!重症の方を優先で運びます!誰か優先に知る方!」


「彼をお願いします!外傷はないですがさっきまで変な化け物と戦ってました!変な力で俺たちの手当てをしてくれて!えっとそれで!手から槍とか包帯をでしてて!ええっと……!」


「落ち着いてください。皆さん!ここから先、真っ直ぐ400mほど進んで左に曲がると仮設医療所があります!動ける方はそちらへ移動をお願いします!それじゃあこの子を()()()へ送るぞ」


「了解」




こうして、世界を襲った未曾有の災害の最初の波が終わりを迎えた。

これからの未来では、さらに大きな波が襲ってくるだろう。

果たして世界はどうなるのか。


「絶対に、()()()()……」


一人の…槍を携えた少年が詩音が搬送される救急車を眺めながらつぶやいた。

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