腐敗スキル、実践!
スキルって…それを使った様子を想像して使うんだよな…ひとまず、コボルトの革で試してみるか。
俺はコボルトの革を床に置き、革を頭の中に思い浮かべた。
腐敗した様子…変な匂いがして、柔らかくデロデロになってる様子…
俺は俯きながらその様子を想像した。
「コバヤシ君、出来てるよ」
顔を上げると、そこには想像した通りに腐ったコボルトの革があった。
「よしっ!…こんな使い方でいいんだな」
けど…このスキル戦闘には使えなそうだ。
物が腐る様子を想像するのに時間がかかって、途中で邪魔されそう。
空気を操る想像の方が腐る想像より楽だし。
まあ、何かしら使い道はあるだろ。
「けど、どんなものでも腐らせるようなスキルがあるなんて…君の行動は全く予想がつかないよ」
腐ったコボルトの革を見ながら、マヤさんがそう呟いた。
「俺も、自分がこんなスキルを手に入れるなんて…想像してなかったです」
「………………やっぱり」
「どうしたんですか??」
「いや、何でもない」
何か違和感を感じながら、俺は毛布を被った。
■ □ ■ □ ■
「じゃあ…次は4階層だよ。出る魔物は覚えてる?」
「オーガとレッドオーガですよね」
「うん、あとその上位種も出るよ」
俺たちは、階段を降り、4階層に入った。
「トンネル、大きくなりましたね」
「うん、階層ごとに道の大きさは違うんだよ。」
4階層のトンネルは、6mくらいの高さになっていた。
その分、少し閉塞感が減って、少し気分が落ち着く。
「じゃあ、あの移動お願い!」
俺は、3階層で使った移動方法を使った。
■ □ ■ □ ■
「やばいやばい!あれは無理!倒せない!死ぬ!」
「何してるの!?コバヤシ君!?君にも倒せるって!」
俺は、美少女を置き去りにして、無様に逃げ散らかしていた。
あの移動方法を使い始めた後、俺はオーガを見かけたんだ。
俺は、大きめのオークリーダーみたいなものだと思ってたんだ…名前似てるし
まさか、3mはあるだろう「鬼」が出るとは思わなかったんだよ。
「鬼」の威圧感と動く速さは、オークとは大違いだった。
というかトンネルが大きくなったのってこれが理由かよ!
「コバヤシ君!君一人になったら本当に死ぬよ!」
「待って!せめて距離取らせて!死ぬから!」
オーガの攻撃に当たったら絶対死ぬって感じる!
「大丈夫!いい加減落ち着け!コバヤシ君!」
逃げ惑う俺に腹が立ったのか、マヤさんが俺の頭を思いっきり叩いた。
そうだ俺、落ち着け…今目の前のオーガは2体しかいない。しかも片方はマヤさんが倒しそうだ。
オーガの攻撃は速いが、俺もレベルアップしてるし、避けられないほどじゃ…
…いやこれ多分避けられないな!
けど…マヤさんはもう倒せそうだ。
オーガの攻撃を全て避けて足に執拗に攻撃し、両膝をつかせている。
大丈夫…俺にも倒せる!
俺は宝箱を開ける時に使った空気の斬撃を、オーガの顔に向かって飛ばした。
オーガの頭は、鼻のあたりから真っ二つになっていた。
よしっ!…一体は倒せた…。
あれ?これ落ち着けば余裕だな。
「ほら、見てよコバヤシ君!簡単に倒せたじゃん!僕より時間かかってないよ!」
「申し訳ないです…」
「本当に…何で君がオーガに怯えるんだか…」
「仕方ないですよ。俺は一撃もらったら死ぬんです。俺の体力、耐久力なんて、マヤさんの三分の一以下ですよ!」
「いや、君かもし攻撃食らっても即死はしないよ、少なくとも回復する余裕はある」
「え?金棒があんなスピードで当たったら、体抉れるんじゃないですか?」
「あの金棒太く見えるけど、中空洞だから」
「…そうだったんですね」
確かにオーガの金棒って、すごく太い鉄バットみたいな見た目だったな。
ちなみに、オーガのドロップ品は30cmくらいの角と魔石と革だった。
■ □ ■ □ ■
俺たちは、4階層のトンネルの中を移動している
「マヤさん、これ一旦止めていいですか?」
「うん、どうしたの?」
「……、疲れました」
「待って、僕たちこの階層ではそんな戦闘してないと思うんだけど?」
「長時間ただ立ち続けるのも、結構疲れるんですよ」
バイトと違って、結構な頻度で戦闘があるのも疲れの原因だ。
「………軟弱者め」
「すいませんね、まだFランクなもので」
確かに、この移動方法は確かに速くて安全だ。
体を固定しているため、罠も気にする必要がない。あと体を掻くのも思っていたほど面倒ではなかった。けど…疲れる!あと拘束感も強い!
「ただ…楽な体勢にするのは悪くないと思う」
「そうですよね!じゃあ寝っ転がっ「周りの状況が分かる体勢でね」」
流石にそうなるよな。
周りの状況が分かり、かつ楽な体勢か。
というと…椅子に座ったまま移動するのが良さそうだな、なんで思いつかなかったんだろう
?
俺は、空中に背もたれ付きの長椅子があることを想像し、固定した。
あとは、両端と背もたれの上に盾を作って…
多分…これで大丈夫。
「終わりました!」
「うん、どこにあるの?」
「あそこに、椅子の形になるように固定しました!」
そう言って、俺は空中に指を差した。
「うん、何もないように見えるところに座るの、まあまあ不安なんだけど…」
「じゃあ、先に触ってみたらどうですか?」
「……、確かに見えない何かがあるね。じゃあ座るよ」
マヤさんは躊躇なく空気椅子に座った。
「じゃあ、俺も座りますね」
空気椅子の座り心地は…悪くなかった。
背もたれも丁度いい角度で、何より拘束感がない。
「これからは、この体勢で移動しましょうか」
「うん、じゃあ移動お願いね!」
そうして俺達は、空気椅子に座りながらダンジョンを探索していった。
■ □ ■ □ ■
「そんな魔物もいるんですね!俺の世界でも聞いたことないです!」
「うん!あれは珍しい魔物で、僕もまだ見たことがないんだよ」
俺は移動中に、この世界にいるモンスターについて聞いていた。
「じゃあ……この世界には、スキル持ちの魔物もいるんですね!」
「そうだよ!スキルね…そういえば、君のスキルって生まれつきの物?」
マヤさんは真剣な顔で、俺にそう聞いてきた。
「いえ、寝て覚めたら身についてました」
すると、マヤさんはいきなり険しい顔をして、俺を見た。
「やっぱり…君」
「異世界から来たんだよね」
■ □ ■ □ ■
「えっ?どうして!?」
俺は驚くあまり、椅子の移動を急停止してしまった。
「危なっ!急に止めないでよ!」
マヤさんは…やっぱり綺麗に着地してた。
俺はマヤさんに手を借りて起き上がる。
「そんなことより、どうやって気付いたんですか?」
「………、まず、君は僕より年上に見えるのに、無職でレベル1だったよね。この時点で何かがおかしい」
すいません、できればもうちょっとオブラートに包んでください。
「まあ、それだけなら「厄介払いされた貴族の隠し子」って線もあったんだけど…」
「君は冒険者になろうとしているのに、冒険者としての常識も知らなかったし、なんなら「この世界」の常識すら知らないこともある。それに、コバヤシって名前も違和感を感じる」
「極めつけは君のスキルだ、強すぎる。まるで御伽噺の勇者だよ。あと、普通あんなペースでスキルを身に着けない」
マヤさんは、段々と俺に近づいているように見える
「それで、なんで黙ってたの?仲間には教えてもいいよね。それか…僕を信用してないの?」
マヤさんは、俺に訝しげな表情を見せた
「まあ、君は悪い人には見えないけど…、その事は言って欲しかったな」
いや…やましいことがあったわけじゃなくて…もっと単純に…
「……忘れてました」
「………………、え?」
「確かに…仲間になら話しても良かったですね…。思いつかなかったです」
「…………………………何してんの、コバヤシ君」
「ごめんなさい、今全部話します」
■ □ ■ □ ■
俺は俺のいた世界のこと、俺が転移してきた経緯を詳細に話した。
「成る程……、酷いところに飛ばされたね!」
「そうですよ!一応救済措置はしてくれましたけど!」
普通の異世界転移だったら、まず説明あるだろ!
「そういえば、この世界で「異世界」が存在することって、常識なんですか?」
「うん、異世界から来た勇者が主人公の御伽噺があるくらいだからね」
「あと、いつから疑ってたんですか?」
「コバヤシ君と買い出しに行った時からだね。やけに君常識がなかったから」
「けど、君が御伽噺…というか史実の勇者と同郷なんてね…夢を壊された気分だよ」
「夢壊されたって…そんなまずいことしました?」
俺そんな記憶ないぞ?
「年下に3度…53000モルもお金借りて、初日から仲間を長時間待たせて、呪われた杖食べて、空中移動しようとして顔打って鼻血出して、オーガ相手に逃げ惑って、仲間に自分の境遇を伝えるのを忘れて…、これくらいで十分?」
「ごめんなさい、してました」
やめてくれ…これ以上は俺の心が持たない。
「けど…スキルだけ見たら…勇者と同郷って言われても納得がいくよね」
スキルだけは…神様のせめてもの救済措置なのかな…
「それで…コバヤシ君はこの世界で何をしたいの?あいにくだけど、魔王はもう勇者に倒されてるよ」
「………」
何がしたい…か
こっちに来て急展開すぎて、忘れてたな。
俺は…
「俺は、この世界の美味しいものを…食べたいです!」
「そう、じゃあ、僕も協力するよ!料理には、、、あんまり興味ないけど」
「ありがとうございます!じゃあ、ダンジョンから出たら、早速料理しましょうか!」
「えっ?自分で作るの?できた物を食べるんじゃなくて?」
「はい!異世界の料理知識、総動員します!」
オーク肉がどんな味か、結構気になってるしな!
「そっちか…。じゃあ、これからもよろしくね!」
俺たちは、また4階層の中を移動し始めた。
「ここがボス部屋だね。中には…オーガ10体、レッドオーガ3体、オーガジェネラルが1体いるね。じゃあ、レベル上げも兼ねて、君が倒してよ」
レッドオーガは赤色で、3.5mくらいの鬼だ。オーガジェネラルは…身長が4mある、筋肉がすごい鬼で、このボス部屋で初めて見た。
「じゃあ、新しい技を使ってみます!」
俺は、移動中に思いついた新技を実践してみることにした。
■ □ ■ □ ■
まずは、内側に吸い込んで、上に吹き上げる感じの大きい竜巻をボス部屋に作る
よし、ここまでは大丈夫。オーガジェネラルの巨体も空を飛び回ってる。
じゃあ、竜巻の中に大きな刃を何個か作って…固定して…
成功!
オーガもオーガジェネラルもスライスになった。
ちょっとグロいけど…待ってればドロップ品になるからな。
竜巻を止めると、ボス部屋の中央にオーガスライスが積み上がった。
「もう突っ込まないよ。コバヤシ君に常識が通用しないってことは理解してる」
「俺に常識がないみたいに言わないでくださいよ」
「コバヤシ君は常識ないよ!いろんな意味で!」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ。オーガのスライス相手に怖気づいてるんですか?」
「君はオーガ相手に逃げ惑ってたけどね」
「そんなことより見てください!ドロップ品が出ましたよ!」
地面の少し上から、角と大きめの魔石が降ってきている。
「なんか誤魔化された気が…まあいいや」
ドロップ品が全て落ちるまで待ったあと、俺たちはそれを回収し始めた。
■ □ ■ □ ■
「4階層…攻略できましたね」
俺はセーフゾーンの中で、食事を取っている。
マヤさんは…なんか布を濡らしている。
「うん、これくらいかな」
マヤさんはそう言うと、腰からナイフを抜いて、拭き始めた。
ああ、手入れしてたのか。
濡らしたタオル…体拭きたいな。とりあえず干し肉食べ終えて…
「マヤさん、濡らしたコボルトの革下さい」
俺はコボルトの革を受け取ったあと、服の下から体を拭いた。
「じゃあ、お休みなさい」
俺はマヤさんの隣で横になった。
もちろん、すぐにマヤさんに蹴られたよ。
■ □ ■ □ ■
「蹴られたところが…まだ痛みます…」
俺は、腕を押さえながらそう言った
「いや、あれは全面的に君が悪い。いくらなんでも近すぎだよ!」
まあさっきは意図的に近くに寝たけど…
もしかして、マヤさんって口より先に手(足)が出るタイプ?
やっぱり恐ろしいな…
そんなことを考えていると、マヤさんが俺のことをジト目で見ていた。
「…?どうしました?」
「いや、君今失礼なこと考えてたでしょ」
「マヤさんって、「口より先に手が出るんだなー」って考えてました!」
「正直に言ったことだけは褒めてあげる」
マヤさんが俺の頭を撫でてきた。
意図してなのか、結構強く撫でてくる
「マヤさん、小手が当たって…ちょっと痛いです」
「…………♪」
「えっ?マヤさん?ちょっ痛い痛い!髪がっ!」
これ撫でてるんじゃなくて…髪掴んで頭揺らしてる!
俺はマヤさんの手を引き剥がそうとするが、微動だにしない。
痛っ!…どうにか…力強っ!…痛いっ…痛っ!
「ごめんなさい許してくださいすごく痛いです!」
「まあ…しょうがない、今回は許してあげる」
マヤさん…14歳なのは分かるけど…大人げないな
「じゃあ、次は5階層だね、ここでは…できるだけ魔物に近づかないでよ」
「どうしてですか?」
「やっぱり忘れてた…。この階層に出る魔物はね、全部毒持ちなの。しかも即効性の毒持ちもいるんだよ」
「そういえば、そんなこと言ってましたね」
俺は、宿屋での話を思い返す…
「とにかく、毒消しポーションは1本しか無いんだから、気をつけてよ!」
「あと…あのスキルで防御出来るんじゃないの?」
「俺の反射速度で防御ができると思いますか?」
それが出来るなら、魔物の攻撃も避けられますよ。
「じゃあ、常に防御してればいいじゃん」
「常に全身を防御してると、体が固定されて、動かなくなるんですよ」
実際に、一階層のボス部屋でそうなったからな。
「別に、体を覆う必要はないと思う。箱型に防御してれば動けるんじゃない?」
「……確かに!」
「まったく………じゃあ、防御の方は問題ないね」
「はい、大丈夫です!じゃあ、行きましょうか!」
そうして俺たちは、5階層へと進んだ。
■ □ ■ □ ■
「あいつらが毒持ちの魔物ですか」
「この階層にいる魔物は全部毒持ちだよ」
遠くに30cmくらいのサソリ、太さが50cmはありそうな白い毛虫と、大きい緑のヘビが1体ずついた。
「じゃあ倒そっか!」
そう言うと、マヤさんは魔物に向かって走っていった。
「えっ!マヤさん!?噛まれたらどうするんですか?」
俺の言葉が聞こえていないのか、マヤさんは一番近くにいたサソリに向けてナイフを投げた。
サソリに命中したナイフを回収して、マヤさんは毛虫とヘビの間に掌を向けた。
爆発が起こり、毛虫とヘビの体が吹き飛んだ。
トンネルの壁に…肉片がくっついてるよ。
少し時間がたったあと、死体はドロップ品になった
「マヤさん…なんであんな近くに寄れるんですか…。魔物に近づくなって言ったのマヤさんじゃないですか」
「僕には毒抵抗があるからね!毒霧と一緒に身に付いたんだよ!」
マヤさんによると、どちらのスキルもレベル52になったときに手に入れたらしい
「僕すっごく運がいいんだ!レベル上昇によるスキルを3個も手に入れてる冒険者って、多分この国でも僕だけだよ!」
「よかったですね」
「何でそんなに冷めてるの!?」
「いや、マヤさんは噛まれても大丈夫なんだなってわかって、心配して損した気分です」
「いや噛まれたら痛いからね!そんな人のことを化け物みたいに…」
「ドロップ品回収しましょう!吸収されちゃいますよ!」
「………、また誤魔化して…。今度は毛布貸さないからね」
俺たちは、サソリの毒袋、毛虫の毒袋、ヘビの毒袋と皮、そして3つの魔石を拾った。
「毒袋なんて需要あるんですか?」
「うん、毒を使えば簡単に魔物を倒せるから、冒険者に人気の品なんだ。僕も昔ナイフに塗って使ってたよ!」
「ああ、そういう使い方があるんですね」
「そうだよ。それじゃあ、移動お願いね」
俺は、コボルトの革が敷いてある空気椅子を近くに移動し、マヤさんと一緒に座った。
■ □ ■ □ ■
「本当に触れられないんだな…」
俺は、目の前のヘビが俺の箱型防御にぶつかる様子を見て、そう呟いた。
空気の刃を蛇の体に当て、ドロップ品になるのを待つ。
片手剣は使えないけど…空気で攻撃できるからいいか!
5階層初の戦闘で、俺はセコい手段を使って魔物たちを倒した。
「一方的…だね。魔物に味方したくなってくるよ」
「そんなこと言って、マヤさんの方が俺より早く、沢山の魔物を倒してるじゃないですか」
「君は…そのやり方だったら万に一つも噛まれないじゃん」
「まあ、いいじゃないですか!それより先に進みましょうよ」
「まあ、安全に越したことはないからね。じゃあ行こっか!」
■ □ ■ □ ■
俺たちは今、ボス部屋の前にいる。
道中、最初に戦った魔物に加え、ポイズンリザード、レッドキラーワスプとも戦ったよ
ポイズンリザードは体長2.5mくらいのコモドオオトカゲで、レッドキラーワスプは20cmくらいの蜂だった。
あと、2個の宝箱を見つけた。どっちも落とし穴付きで、中身は空だったけどな。
「ここがボス部屋だよ、魔物も結構いるね。あと…やっぱりポイズンアナコンダがいるね」
俺はボス部屋の中を見た。
「あの蛇…随分デカいですね」
中にはすごく大きいヘビがいた。
俺の足から臍までと同じ位の太さがあるな。
「うん、僕は手加減無しの爆発魔法を何発か撃つか、毒霧を使って倒してるよ」
あれを何発か耐えるって…あのヘビ結構生命力あるんだな。
「じゃあ、そろそろ毒霧使いたいんだけど、ここで使っちゃっていい?」
「もちらん大丈夫だけど、溜めなくていいんですか?」
「毒霧は溜められる」みたいなこと言ってたよな。
「溜め過ぎちゃうと、それはそれでまずいんだよね。昔溜めすぎて体調不良になったことがあるんだ」
「えっ?でもマヤさんには、毒抵抗があるんじゃないんですか?」
「毒耐性とは言っても「中」だからね。あと、僕の毒が強すぎるんだよ。多分…毒耐性のない龍なら殺せるよ」
「よくそんなものを体の中に溜められますね」
ほんとに人間なのか?
「不思議だよね、じゃあ毒霧出しちゃうね!」
そう言うと、マヤさんは掌から黒い霧を出した。
俺は、すぐさまその霧を固定し、アナコンダの鼻に近づけた。
アナコンダの身体が硬直し、力が抜けたように動かなくなった。
「やっぱり、効果すごいですね」
あの巨体が即死って…
じゃあ、残りも毒霧で倒しますか。
■ □ ■ □ ■
「うん、ドロップ品拾い終わったね」
マヤさんからの助言で、ドロップ品は全部手作業で拾うことになった。
毒袋が破けたら勿体ないからな。
■ □ ■ □ ■
「流石に5階層のセーフゾーンともなると、人も少なくなってきますね」
俺たちはドロップ品を拾い終えたあと、セーフゾーンに入った。
ちなみに、部屋の中には………14組のパーティーがいたよ。
「マヤさん、またお願いしたいことがあります」
「まあ…なんとなく予想はつくけど…何?」
「毒、食わせてください」
「やっぱりそうだよね、コバヤシ君、分かっていたよ」
「流石に3回目になると慣れてくるんですね。それで…食べてもいいですか?」
「もちろんいいよ。僕もコバヤシ君がどんなスキルを得るのか気になるからね」
「スキルを得るとは限らないけど…毒を食べたら何かしら変化はすると思います」
「君、この世界で美味しいものを食べたいんじゃ…」
「それとこれとは別です」
俺はそう言うと、マヤさんからそれぞれの種類のドロップ品を受け取った。
これ、一気に食べちゃってもいいかもな
俺はグリーンサーペントの毒袋、フォレストスコーピオンの毒袋、ポイズンリザードの毒袋、ホワイトポイズンキャタピラの毒袋、レッドキラーワスプの毒針と毒袋、そして…ポイズンアナコンダの毒袋を受け取った。
「ポイズンアナコンダの毒袋なんて一つしかないのに…ほんとにいいんですか?」
「うん、買取金額はグリーンサーペントの毒袋より低いくらいだよ。量だけは多いけど、同じ量のグリーンサーペントの毒と比べると弱いし、熱が加わったら何の効果もなくなるから、わざわざ煮詰めないように濃縮しないと使えないらしいんだ」
「そういうことなら、遠慮せずに頂いちゃいます!」
毒針の先端をナイフで切ってもらい、俺はこれらの毒袋、毒針を同時に口に入れ、噛み潰した。
「舌が…ピリピリします」
ブニっとした感触とともに多くの液体が口に広がり、強い苦味と辛味が俺の口を襲った。
「ほんとに大丈夫なんだよね?そういえば…早く飲み込んで!」
「??」
俺はマヤさんの言う通り一気に毒を飲み込んだ。
マヤさんの出してくれた水を飲み、口の中に残った毒も流し込んだ。
「コバヤシ君!君が自分のスキルの説明をした時、「何を食べても消化、分解できる」って言ってたよね!じゃあ胃袋に入るまでは影響が出るってことじゃないの!?」
「あっ、おえやあいかも!どくえしあして!(これやばいかも!毒消し出して!)」
「コバヤシ君!舌麻痺してるよ!早くこれ飲んで!」
マヤさんは俺に毒消しポーションを飲ませようとした。
「いょっとあって………ちょっと待って…これ、大丈夫かも…大丈夫です」
「えっ!?どうして…」
俺は自分のことを鑑定した。
[名前] 小林敬斗
[年齢] 16
[職業] 冒険者
[レベル] 23
[体力] 180
[魔力] 226
[攻撃力] 178
[防御力] 184
[俊敏性] 216
[スキル] 毒耐性(強)、腐敗、嗅覚鮮鋭、悪臭、鑑定、悪食、空気操作
やっぱり、新しいスキルがついてるみたいだな。
第四話です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




