悪食スキルの内見
俺は昨日ステータスにあった、[悪食]を使いたいと思う。
とりあえず、マヤさんに俺のスキルのことを伝えてから試すか。
「マヤさん、伝えておきたいことがあるんですが」
「どしたの?コバヤシくん」
俺はスキル[悪食]のことを彼女に伝えた。
「見たことないスキルだと思ってたけど…そんな能力だったんだね。じゃあ、僕の持ってるコボルトの革も食べていいよ?」
「えっ、本当にいいの?」
「うん、あれ高く売れないし。…ただコボルトの革を食べるなんてこと聞いたことないけど…、大丈夫?お腹壊したりしない?」
「[悪食]は何を食べても消化、分解できる能力でもあるらしいから、大丈夫です。多分…」
そうして、俺はマヤさんからコボルトの革を1枚貰い受けた。
■ □
■ □ ■
「じゃあ…まずはゴブリンの魔石から食べるか…」
俺は、石にしか見えないそれを、マヤさんに出してもらった水で洗い、口に放り投げた。
「うん、石!」
[悪食]の効果なのか噛み砕けたはしたが、口の中が砂利だらけになった。
俺は水を飲み、砂利を胃に流し込む。
鑑定は…多分鑑定したい物を想像すればいいんだよな。
「鑑定、っと」
[名前] 小林敬斗
[年齢] 16
[職業] 冒険者
[レベル] 3
[体力] 120
[魔力] 146
[攻撃力] 102
[防御力] 115
[俊敏性] 140
[スキル] 悪臭、鑑定、悪食、空気操作
よしっ!出来た!
頭の中に俺のステータスが浮かび上がった。
取りあえず…[職業]は無職じゃなくなってる!
あとレベル上がってて…魔力だけ大幅に強くなってるな。
これは…多分魔石を食ったからだよな。
「どうだった?なんか変わってる?」
マヤさんが俺にそう聞いてきた。
「はい、魔力が俊敏性を上回りました。あとレベルが2つ上がりました!」
俺は鑑定を止め、マヤさんに返事をした
「そう、初めはすごくレベルが上がりやすいからね。」
まだ俺魔物2体しか倒してないのに…、ゴブリンとは言っても上位種なだけあって、経験値量多いんだろうな。
じゃあ、次は…コボルトリーダーの革か、不味そうだな。
そんなことを思いながら、俺は革に齧り付いた。
獣臭いし、硬い。
俺は心を無にして革を噛み千切り、これも胃に流し込んだ。
「また鑑定っと」
[名前] 小林敬斗
[年齢] 16
[職業] 冒険者
[レベル] 3
[体力] 120
[魔力] 146
[攻撃力] 102
[防御力] 115
[俊敏性] 140
[スキル] 嗅覚鮮鋭、悪臭、鑑定、悪食、空気操作
よしっ!新しいステータス付いてる!
嗅覚鮮鋭か、どんなスキルなんだろう?
俺は、嗅覚鮮鋭の部分を鑑定した。
[嗅覚鮮鋭]
常に嗅覚が鋭くなる。
このスキル、使えるのかな…
犬の魔物を食ったから、嗅覚が鋭くなったのか。
じゃあ、スライムとか食ったら分裂できるようになるのかな?
「どうだった?何か変わったことある?」
そんなことを考えていたら、マヤさんが俺にそう聞いてきた。
「嗅覚鮮鋭っていうスキルが身につきました、常時発動らしいです」
「嗅覚鮮鋭…獣人の種族特性だね。しかも常時発動って…本当にスキルなの?」
「スキルとして身についたみたいですね。あと、このスキルって便利でしょうか?」
「うーん、常時発動ね…人の捜索とかには使えるだろうけど……、アンデット相手には最悪かな。」
人の捜索…そんなこと滅多にしないだろ…
というか、前マヤさんに聞いたんだけど
「俺たち、7階層で重点的にレベル上げするんですよね。ここの7階層って…」
「うん、君にとっては地獄だろうね。今のうちに鼻栓でも作っとく?」
最悪だ、コボルトの革なんな食わなきゃよかった。
「はい、残ったコボルトの革で作っておきます…」
「それがいいよ、僕もあの匂いだけは全然慣れないんだよね。」
マヤさんは俺にそう言った。
そういえば、マヤさんって…ステータスどんなんだろ?
俺は興味本位で、マヤさんのことを鑑定してみた。
[名前] マヤ・ライヘム
[年齢] 14
[職業] 魔法使い
[レベル] 103
[体力] 606
[魔力] 767
[攻撃力] 586
[防御力] 582
[俊敏性] 689
[スキル] 水魔法、炎魔法、土魔法、氷魔法、雷魔法、聖魔法、爆発魔法、睡眠魔法、回復魔法、解毒魔法
、蘇生魔法、体力吸収、毒霧、毒抵抗(中)、身体強化、アイテムボックス
本当に魔法使いだったんだな…スキル多っ!
あと全体的にステータス高くね?俺がレベル53になっても、こんなステータスにはならないだろ。
体力吸収は…ゴブリンリーダーの顔に触れて使ってたやつか。
そういえば、何で睡眠魔法を戦闘の時に使わなかったんだ?
「マヤさん、睡眠魔法って戦闘に使えないんですか?」
「うん、僕が使うと魔力の6分の1くらい使うからね。寝たら回復するけど」
そんな負担大きかったんだ。
「それに、僕は魔力の回復が人と比べてかなり遅いから、なるべく使わないようにしてるんだ」
そうなんだ…今日からは自力で寝るようにしよう。
「そういえば…お手洗いってどこですか?」
確かダンジョンの中にもトイレあるって言ってたよな。
「あの扉の奥だよ」
ああ、壁にある扉って…トイレの扉だったんだ。
「じゃあ…行ってきます」
■ □ ■ □ ■
「嘘…だろ?」
ボットントイレに…ウォシュレット機能があるって…
ダンジョンのトイレは…異様に綺麗だった。しかも自動で…ウォシュレットまでしてくるんだ…。
廃棄物を吸収する量を増やすためにやってるんだろうけど…すごいな。
俺はトイレから出たあと、マヤさんに水を出してもらって手を洗い、毛布を借りて寝た。
「一応寝れたけど…疲れはあんまり取れてないな」
俺はマヤさんに起こされ、今水で戻した干し肉と黒パンを食べている
「じゃあ、2階層に行くよ!」
そうして俺達は2階層に入った。
■ □ ■ □ ■
「ゴブリンの数、ちょっと多くない?」
「うん、2階層だからだよ。3階層はもっと多いよ。」
マヤさんと俺は順調に2階層を進んでいた。
俺は魔物を固定した後攻撃し、マヤさんには、俺に近づく魔物を倒してもらっている。
ドロップ品を拾い終え、俺たちが曲がり道を曲がろうとした、その時
「マヤさん、あれ宝箱じゃないですか?」
俺は片方の道に宝箱を見つけた。
「あっ、見逃してた!ありがと」
「じゃあ、開けますか」
「ちょっと待って、宝箱に罠があったらどうするの?こういうのは遠くから、罠があるかないか確認するんだよ」
「遠くからって…どうやって?」
「見ててね、それっ!」
バン
「これで大丈夫!罠は…無かったみたいだね」
「ちょっと待って、今何したの?」
宝箱が爆発したように見えたんだけど。
「何って…魔法だよ。開けちゃダメなら壊せばいいんだよ。もちろん中の物を壊さないように、手加減はしてるよ。」
結構脳筋な方法なんだな
「このやり方する人あんまり居ないんだよね。わざわざ罠がないか探すなんて面倒だよ。じゃあ、中身見に行こっ?」
俺達は蓋がバラバラになった宝箱を確認しに行った。
「中身は宝石か…ただ、数は少ないね」
大きさが5mmくらいの、色付きの宝石が5粒あった。
日本だったら、結構すると思うんだけど…
異世界だし、意外と安く買えるんだろうな。
とりあえず鑑定したところ、サファイアが2粒とルビーが2粒、エメラルドが1粒らしい。
宝石をマヤさんのアイテムボックスに入れてもらい、俺たちは元の道に戻っていった。
■ □ ■ □ ■
「ここがボス部屋だね。魔物の数は……………、30体だね」
俺たちは2階層のボス部屋の前まで来た。
「あと、あの大きなオークが見える?あれがオークジェネラルだよ」
マヤさんが指を差した方には、オークより一回り大きくしたような魔物が2体いた。
あれ、俺じゃ絶対倒せないな…
「さっきみたいに毒霧は使えないの?」
「まだ溜まってないかな。だから頑張るしかないね」
毒霧って、溜めて使うものなのか…
その時、ふと、あることを思いついた。
魔物の頭の上の空気、固定したまま下に移動したら、魔物全員の体勢を崩せるよな。
俺はボス部屋の天井の空気を固定し、下に動かそうとした。
やばい、空気圧がかかって、先に天井が壊れそうだな
天井の固定をドーナツ型にし、それを強めに下に動かした。
バキッ……グシャッ
30体の魔物の内、ドーナツの穴が空いてる部分にいた6体以外は潰れ、原型をとどめていなかった。
潰れている死体がオークジェネラルなのかゴブリンリーダーなのか、全く見分けがつかない。
「「……………………」」
マヤさんは、状況を理解するまでの間唖然としていて、その後ゆっくりとこちらを見た。
一方俺は、自分が作り出したばかりの地獄を見つめたまま、あんぐりと口を開けたまま固まっていた。
■ □ ■ □ ■
「君、あんな力を隠していたんだね…」
「いや俺も…あんな事ができるなんて、想像もしてなかったですよ」
あの後、俺たちが冷静になるまで数十秒はかかった。
マヤさんがこっちに走ってくる魔物に気付き、俺に声をかけるまで、俺は固まっていた。
あんな事があったばかりだから、マヤさんも魔物の動きも精彩を欠いていたよ。
勿論俺はパニクっていて、結局一体も倒せなかった。
「僕以外の前では、もうあれはしない方がいい。もし国に知られたら…多分軍事力として利用されるよ」
「へっ?待って、俺スキル以外そんな強くないんですけど…」
「だからだよ!Sランク冒険者とかは、実力があって抵抗されるから、国も無理に軍事力として利用できない。ただ君は…」
分かります、俺雑魚ですよね。簡単に拘束できますよね。
「けど、あれくらいなら軍事力には…」
「いや、君のスキルは、空気を「自由自在」に操れるってあった。それに…あれ、あるSランク冒険者が使った魔法に少しだけ似てるんだ…」
マヤさんは、俺にSランク冒険者「軍の狗」について俺に話した。
「軍の狗」は対魔物が専門の冒険者にもかかわらず、軍に入って凄まじい戦果を挙げて、国から称号と爵位を与えられた現貴族だそうだ。その容姿、立ち振る舞いと強さから、貴族の女性からの人気が異様に高いらしい。
少し話が脱線してしまった。
その「軍の狗」が10年前に参加した戦争の際、彼は指揮官を任されていた。
その戦争は大詰めを迎えていて、敵国の王とその兵士たちを海の側まで追い詰めていた。
まもなく総力戦という時、「軍の狗」は突然司令部から移動し、敵軍の近くの高台に移動した。
その場に雨が降り出すと共に、「軍の狗」は敵軍上部に杖を向ける。
拠点の中にいた敵兵、王とその側近、将軍は、皆穴だらけになった状態で発見された。
敵軍の拠点も穴だらけになり、屋根は崩れ落ちていたらしい。
「そうして「軍の狗」は単独で、半刻にして、一切の物資・兵員を消費をさせず、万を超える兵を壊滅させたんだ」
「とにかく、その時に使った魔法は多分水魔法の応用で、雨粒の落下する速度を速めたものなんだ。君のスキルでやったことは…、規模こそ小さいけど、それの上位互換だ。手の内が知られても対策のされようがないし、天気に関係なく行える…」
「だから、君のスキルは…知られちゃいけないよ」
そうだ…確かに、[空気操作]には凄い応用性がある。
例えば、凄い威力の空気鉄砲も作れるだろう。
なんなら「自由自在」なんだから、大抵のことは出来る気がする。
「コバヤシ君、セーフゾーン行こっか…」
「はい…分かりました」
俺は嬉しいような怖いような、複雑な気分でボス部屋の奥へ行った。
■ □ ■ □ ■
「ここでも半日寝ていくよ」
俺達は2階層のセーフゾーンへ行き、休憩を取っている。
ちなみに広さは1階層のセーフゾーンとそこまで変わらないが、人の数は増えていた。
ふと、俺は1階層のセーフゾーンで魔石を食べて魔力が上がったことを思い出した。
宝石…食べたらどうなるんだろ…。
勿論勿体なさすぎるから、試しはしないけど。
俺は水で戻した干し肉に齧りつきながら、そんなことを考えていた。
そういえば、マヤさんが持ってきた食料って、何で干し肉と黒パンなんだ?
保存が効くから…いや、アイテムボックスに時間経過があるなら、オークの肉は捨ててるはずだよな。腐っちゃうし。
本人に聞いてみるか
「そういえば、何で持ってきた食料って干し肉と黒パンなんですか?」
「…………………、あんま言いたくはないけど…、僕料理できないんだよね」
マヤさんが恥ずかしそうにそう言った。
なんだ、そんなことか。
「俺、料理できますよ?」
「そうなんだ、じゃあドロップ品のオーク肉でも料理できたりするの?」
「道具さえあれば」
「……………僕がそんなの持ち歩いてるとでも?」
それもそうか。
道具を使わずに料理か…
空中で…俺のスキルでどうにかできないかな…
そもそも、料理作ったところで皿はあるのか?
「お皿とかはありませんか?」
マヤさんは恥ずかしそうに、首を横に振った。
じゃあ…ダンジョンの中では黒パンと干し肉で我慢するか。
俺は干し肉を食べ終え、毛布に身を包んだ。
■ □ ■ □ ■
「じゃあ、3階層に出発するよ!」
マヤさん、なんでそんな元気なの?
俺はもう心も身体も限界に近いよ。
そういえば、空気操作って移動に使えないのかな?
自分の目の前の空気を前に移動すれば…出来るよな。
後で試してみるか。
俺はマヤさんのあとに続いて、階段を下っていった。
■ □ ■ □ ■
俺は3階層に降りてすぐ、マヤさんに話しかけた。
「マヤさん、俺試してみたいことがあるんですけど」
俺は、「自分の能力が移動に応用できるかもしれない」と伝えた。
「大丈夫?ちゃんと制御できる?僕さっきあれ見たから、不安なんだけど…」
「とりあえず、やってみたいです」
「いいよ。ただ、危険そうだったら無理にでも止めるからね」
俺は、一本道のトンネルの中で、目の前の空気を2m×1m程前に動かした。
なんか…吸い込まれてるみたいだな。
少し力を強くして、もう少し前に動かそう。
バタッ
俺は、顔を思いっきり地面に打ち付けた。
痛い…凄く痛い…あと多分鼻血出た。
「待って!…コバヤシくん大丈夫!?生きてる?」
俺の様子を側で見ていたマヤさんが、焦った様子でそう言った。
「生きてるけど…凄く顔が痛いです」
「もう…蘇生魔法使うことになるかと思ったよ…」
マヤさんに回復魔法をかけてもらい、顔を水で洗う。
これ、ジャンプしてから[空気操作]すべきだったな…
あっ!あと自分の体の周りの空気を前に動かせば倒れないな。
「もう一回やってみます」
「待って!?ほんとに大丈夫?あと回復魔法も結構魔力使うんだよ!?」
「多分、次は失敗しないよ。……失敗したら、ごめんなさい」
「……もう、仕方ないなぁ」
マヤさんに立たせてもらい、俺はさっきの場所に戻った。
次失敗したら…申し訳ないな。
よし、次で決めるか。
俺は、ジャンプしたあと、自分の周りの空気(顔以外)を固定した。
「浮いてない?今これ浮いてないですか?」
「えっ…すごいっ!浮いてる!浮いてる!」
よしっ!まずはうまく行った。
次に、この空気をゆっくり前に動かして…
うん、動いてる!
「すごいっ、動き方気持ち悪いけど、すごいよっ!」
待って…動き方、気持ち悪いの?
俺は今の自分の様子を想像してみた。
体を一切動かさないまま前に動いてる様子か…キモっ。
俺は固定を解除し、マヤさんのところまで戻った。
「これでダンジョンを探索しません?」
「……、見てる分には凄かったけど、うん……………早く移動したいし、背に腹は代えられないか。ただ、魔物を見かけたら止まってね!」
マヤさんは、渋々ではあるが俺の移動方法を採用してくれた。
俺たちは、魔物が出てくると逐一固定を解除し、逐一倒していった。
常に全力疾走してるくらいの速さで動けるから、魔物に遭遇するペースも高くなった、
ちなみに、俺は今、[空気操作]でゴブリンリーダーを壁に叩き付けて倒している。
これが一番返り血を浴びないやり方なんだよな。
3階層入ってすぐの頃は魔物に空気を突き刺して戦ってたんだけど、あれ、解除した時に血が飛んでくるから。
マヤさんみたいに返り血を避けるなんて芸当できる訳もないし。
そういえば、まだゴブリンリーダーは食ってないな…。
食うとしたら、殺したら死体消えちゃうから、生きてるまま食うしかないんだろうけど…
流石にそれはやだな。
あとゴブリン食ったところでスキルは身につかないよな、そうだよな。
俺はゴブリンを倒し、ドロップ品を拾い終えた。
■ □ ■ □ ■
「コバヤシ君、ちょっと止まって」
俺は3階層を移動している最中、マヤさんに止められた
「どうしたんですか?」
「さっき通り過ぎた部屋まで戻って?」
このトンネルの中には時々部屋があり、魔物がいたりする。さっき通り過ぎた部屋もその一つだ。
マヤさんの言う部屋の前まで戻ると、部屋には大きめの宝箱があった。
空き部屋だと思って通り過ぎかけたなり
「マヤさん、気づいてくれてありがとう」
「いやいや、さっき僕も……見逃しかけてたんだし…」
あっ…、あれ気にしてたんだ。
「じゃあ、宝箱壊してみていいですか?」
「うん、ただ…中身壊さないように力加減はしてよ」
首を縦に振りながら、俺は壊し方を考えた。
マヤさんは爆発で壊してたな…[空気操作]で似たようなこと出来ないかな…
うーん…空気を縮めて、解除すれば…
それじゃ風が起こるだけだな…。
蓋だけ切断…空気で斬撃を起こす…
これが良いな。
俺は刃を想像して、それを前に動かした。
バキッ
「うん、うまくいったみたいだね」
「罠は…ないですよね」
「発動しなかったってことは、そういうことだね」
俺は、蓋の壊れた宝箱を見に行った。
「なんだ?これ…」
中には、禍々しい雰囲気の杖が入っていた…
「見るからに危なそうな見た目だね…」
「ちょっと鑑定して見ますね」
[呪われた杖]
この杖を使用すると、あらゆる有機物を腐敗させることができる、
この杖を装備している間は、装備者の体力、防御力が1となる。
また、この杖を装備していると、装備者は魔法を使えなくなる。
一度装備すると、決して外すことはできない。
「呪われた…杖でした」
「えっ、聞き間違えじゃないよね…?」
「もう一度言います、呪われた杖です」
「………………!」
「ちなみに、装備すると二度と外せなくなって、装備者の体力、防御力が1になるそうです、あと、この杖を装備していると、魔法が使用できなくなるらしいです。」
「……、ハズレどころじゃないね…………」
「ただ、この杖、どんな有機物でも腐敗できるらしいですよ?」
「けど…腐敗って…ゾンビ作るくらいしか出来ないよ…置いてく?」
「いや、一応持っていきましょう」
これもアイテムボックスに入れてもらい、俺たちは移動を再開した
■ □ ■ □ ■
「ここが…ボス部屋だね、敵は…………………、35体だね。オークジェネラルも5体いる。どうする?さっきみたいに潰せる?」
「はい、ただ、今度は一カ所に纏めてから潰したいです」
さっきはドロップ品集めるの大変だったんだよ。
俺は、マヤさんに作戦を説明した。
「なるほどね、それならかなり楽にドロップ品を集められるんじゃない?」
マヤさんも問題なさそうって言ったから、始めるか。
■ □ ■ □ ■
まずは、ボス部屋とトンネルの間の空気を固定する。
そしてそれを移動して、解除して、すぐにボス部屋の形に沿って固定する。
これを繰り返せば、少しずつ魔物をボス部屋の奥に押し出せる。
ボス部屋の奥は今、満員電車のよりも混み合っている。
最後に、ボス部屋の壁に向かって固定した空気を力いっぱい押す。
メリッ…バキッ…ボキッ……………グシャ
こうして、ボス部屋の奥はまたも地獄絵図となった。
「やっぱり…君…おかしいね。」
「やっぱり回収が楽になりましたね。」
俺たちは、魔物のドロップ品を回収するのに3分もかからなかった。
さっきまでは15分くらいかかってたからな…だいぶ早く済んだよ。
「じゃあ、セーフゾーンでご飯食べよっか」
俺たちは、セーフゾーンに歩いていった。
■ □ ■ □ ■
このセーフゾーンもまあまあ広いな。
テニスコート2面分位の大きさだ。
あと、ここにも屋台はあったが、売ってる物はポーションみたいだ。
俺とマヤさんと同じ場所に座り、食料を受け取った。
そういえば、マヤさんに頼みたいことがあったな。
「マヤさんに、お願いしたいことがあります」
「どうしたの?そんなかしこまって?」
「3階層の宝箱で出た呪われた杖…あるじゃないですか…」
「うん、それがどうしたの?」
「あれ、食べてみたいんです」
「………………は?」
「あっ、あの呪われたの杖を食べてみ「いや聞こえてはいるよ!」」
「言ってる意味は理解出来るけど…、呪われたの杖を食べるって…完全に常軌を逸してるよ、君が呪われるよ?」
「でも…俺の想像が正しければ、たぶん俺が一番あの杖を安全に有効活用できるんですよ」
「俺のスキルは、コボルトの革を食べたら嗅覚が鋭くなって、魔石を食べたら魔力が上がったんですよ。なら、スキルを持った物を食べたら、そのスキルが身につくんじゃないですか?」
「うん、そうだね。」
「呪いの杖を鑑定した時、説明欄には、「装備している間は体力、防御力が1となる」ってあったんですよ、ただ俺は呪いの杖を装備していない、食べるだけだから、このデバフを負うことがないんです」
「つまり、俺の想像が正しければ、俺はデバフを負うことなく、呪われた杖の能力を使えるようになります」
「…………、なるほど…でも、木の棒を食べるなんて発想によく至ったね…」
「ありがとう」
「いや褒めたわけじゃないよ…」
「あと、勿論代金は「お金はいいよ。どうせ買い取ってくれないし。」」
「えっ…良いんですか?」
「うん!それに、コバヤシ君が持ってこうとしなければ、僕置いて行ってたよ。」
じゃあ、お言葉に甘えて
「ありがとうございます!頂きます!」
「じゃあ、結果は僕に教えてね。」
分かりました。
俺は、呪われた杖を観察した。
うん、お世辞にも美味しそうとは言えないな。
俺は持ち手の方を水洗いしてから、齧り付いてみた。
うん、木!
無味で、割り箸みたいな食感だ。あと松と檜の香りを足して、それを薄めたような香りがする。
呪われてるからって、味が酷いわけではないみたいだな。
ただ…食べるのは苦痛だ。
俺は杖を細かく噛み砕いて、水で胃に流し込んだ。
結果はどうなった?体力、耐久力は無事だよな?
俺はまた自分を鑑定した。
[名前] 小林敬斗
[年齢] 16
[職業] 冒険者
[レベル] 18
[体力] 180
[魔力] 206
[攻撃力] 158
[防御力] 164
[俊敏性] 196
[スキル] 腐敗、嗅覚鮮鋭、悪臭、鑑定、悪食、空気操作
計画通り…!
俺は、[腐敗]の部分を鑑定した。
[腐敗]
あらゆる有機物を腐敗させられる
大成功!
「マヤさんマヤさん、成功しました!」
「本当?これで君、ゾンビ作りたい放題だね!」
マヤさんがからかうようにそう言った
「はい、マヤさんのお陰で宝箱を見つけられたんですから、マヤさんにも沢山お渡ししますよ!」
じゃあ、早速腐敗スキル使ってみるか!
ラノベ三話です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。




