予言が君を殺すまで・1
「…? なにこれ」
松嶋 雫は自身のスマホを見つめながら、眉をしかめた。
自分のスマホなのに、見覚えのない真っ黄色のアプリがインストールされていた。
"…不正インストール?それともウイルスかな?"
物騒なこの世の中、突然現れたアプリが安全なものという確証がない限り開けないほうがいいと考えた雫は、
削除しようとアプリを長押しようとした。
が、誤ってワンタップしてしまいアプリが開く。
"やばっ"
真っ白の画面が広がる様に焦ってアプリを閉じようとしたとき、画面に文字が浮かび上がる。
『あなたは予言を信じますか?』
その下に、『はい』・『いいえ』とかいてありこちらが選択できるようになっている。
新手の詐欺か?と思いつつも、予言者という非現実的な言葉が雫の興味をそそる。
…押してみたい、そんな気持ちが湧いてきて、少しの間、画面を見て考えた。
"まあお金の請求ってなったら認証が必要だろうし…"
考えた結果、少し躊躇はしつつも、好奇心に勝てずに『はい』の選択肢を押してみる。
画面の文字は消えて、新たな文字が浮かび上がる。
『預言者になりたいですか』
下には先ほどと同じ選択肢がある。
先ほどよりどこか馬鹿げたような質問の内容に、思わずふふっと笑ってしまう。
笑いが出て気が緩んだことと、一度選択肢を押してしまっているので"二度目も変わらないだろう"という
楽観的過ぎる考えが頭をよぎり、先ほどよりすんなりと『はい』を押した。
画面が再び真っ白に染まったあと、よく見るネットニュースの一覧に酷似した画面が広がった。
"…ネットニュース?"
先ほどの質問により刺激された好奇心により、
どんなアプリなのだろうと内心とてもわくわくしていたのに、
出てきたのがよく見るネットニュースの画面で、雫はガクッと落胆した。
ただのネットニュースであったアプリへの興味はすぐに薄れていき、
それと同時に、質問に答えてしまったせいで何かウイルスに感染していたり、不正利用などが行われてしまっていないか
アプリを開く前の疑念が再び現れだした。
"とりあえずアプリの中を確認してみて、何もなかったら消そう"
アプリに怪しい部分がないか、自分の個人情報が抜かれたりしてないか、
その確認だけをしようとアプリ内を少し見て回る。
しかし、アプリ内はニュースの内容が『政治』『スポーツ』『社会』『エンタメ』等のジャンルごとに分かれていて、
そのジャンルタグをタップで選べる仕様になっているだけで、他にマイページや設定ページはなかった。
怪しい画面は特に見当たらないので、最後に適当に選んだニュースをタップし本文を開く。
『9月9日、東北地方でM5.1の地震 最大震度4』
大きく書かれた見出しの下に本文が続いており、被災地域が書き連ねてある。
怪しいところはこのページにもない。
ただ他のネットニュースのアプリやサイトとは違って、このネットニュースには広告がなかった。
本文と参考資料の画像やニュースに関連する写真やイラストが載ってあり、
ニュースの内容に関係のないものはこのページには存在しなかった。
"広告がないからかな…?"
怪しいところはなく、何となく感じる違和感は、広告がないせいだ。
そう思うのに、まだ何か違和感を感じる雫。
先ほど軽く読んだニュースの内容をもう一度、今度はじっくり読み直す。
何度か読み直して、はっと違和感の正体に気づいた。
"日付だ!"
違和感の正体は、地震発生の日付。
今日はまだ9月8日で9日は明日だ。なのにこのニュースは明日の日付で記載されている。
それに9月に入ってから震度4の地震は起きていないはず。
テレビでもSNSでもそんなニュースは見かけていない。
"…フェイクニュースとかかな?"
少し前にSNSで話題になっていたフェイクニュースをすぐに疑った。
しかし、雫はフェイクニュースをわざわざ直近の未来の日付にするものなのか?と疑問を抱く。
どうせフェイクニュースで日付を操作するなら、わかりやすいくらい先の100年後とかの日付にすのでは?
そう考えるもフェイクニュースと本来のニュースの区別がつかずに話題になっていたのだから、
これもその類のものなのかもと雫は考えた。
が、さっきみたニュース一覧のニュースの数はとても多かった。その全てがフェイクニュースなのか?
そもそも全てのニュースの日付は全部未来の日付なのだろうか。
疑問に思った雫は一つ前のページに戻り、ニュース一覧の画面を見る。
そこに並ぶ全てのニュースの見出しの一番右側に日付が書いてある。
上から順番にその日付を確認した。
"全部未来の日付じゃん"
明日から明後日の日付のニュースばかりだった。
その全部がまだ雫の耳には入ってきていない内容のニュースであった。
なによりフェイクニュースにしてはすべて記事の内容が丁寧であり、現実味のあるないようであった。
"なにこのアプリ…"
見れば見るほど訳の分からないアプリ。
いったい何なのか、何をするアプリなのか、考えても考えても答えは出ない。
う~ん…とスマホを見つめながら眉をひそめ、首を傾げて考えあぐねる雫。
「なに難しい顔してんの」
雫の背後から、ふっと優しく笑い問いかけてくる声が聞こえ、雫が振り返る。
「颯真!おかえり」
声の主は一緒にルームヘアをしている、栂瀬 颯真。
雫とは高校からの友人で、同じ大学の同じ学部に通っている。
大学入学と同時にルームシェアを始めたから、一緒に暮らしはじめて3年目だ。
"そうだ、颯真に相談してみよう!"
雫にとって颯真は誰よりも雫のことを理解してくれて、大事にしてくれる大切な親友だ。
もちろん雫も颯真のことは誰よりも理解していて、とても大事にしていて、誰よりも信頼している。
この訳の分からないアプリについても颯真なら聞いてくれると思い、
雫はアプリのことを颯真に話し、颯真の見解を聞いてみることにした。
Pixivにも載せてます
https://www.pixiv.net/novel/series/15236319




