灰の灯

生きることが、ただ痛かった。

都市の片隅で、葵は静かに心をすり減らしていた。
何をしても楽しくない。何のために働くのかもわからない。

それでも朝は来て、パソコンを開けば世界は同じ色をしている。

けれど、ある日。
画面の隅に――“灰色の光”が揺らめいた。

それは誰にも見えない、葵だけに見える“異質な何か”。
灯るたびに、現実は少しずつ歪み、夢と現の境が崩れていく。

この世界は、ほんとうに“生きる”ことを許しているのだろうか。

生きる意味と、死んではいけない理由を探す――
一人の青年の、静かな幻想譚。