7 シルの手柄はゴルのもの
なんか、納得いかない。私が狩ってきた獲物なのに、ゴルの手柄になっている。
ギルドに行くと受付嬢に微笑まれ、冒険者達には,肩を叩かれる。
「よう、期待の新人。今日も大物だな。俺たちと組まないか?」
「あら、可愛い妹さん。危ないから置いて行きなさいよ。代わりにアタイと狩りに行こうよ。」
これまで一人で、森まで行って、大きいのを捕ってきてたけど,この間からからゴルと一緒に行くことになった。あのゴリラは,
「こんなに稼げるなら,俺も行く」と言って付いて来たのだ。まあ、荷物持ちには成るか。
私だと、獲物はギルドで受け入れてくれないし仕方が無いけれど、やっぱりむかつく。
もう少し稼いだらゴリラの装備を買わないと危ないかな。剣と木製の盾だけだと、心許ない。私は、怪力の影響なのか少々ぶつけられても平気の平左だ。
稼いだお金の管理は勿論私だ。彼奴は元貴族だから、お金の感覚がずれている。
1年頑張れば、家が買えると思っている。馬鹿も休み休み言え。ゴリラが小さいと言っていた家はかなり大きいし,結構な値段だ。
親からかなりのお金を貰ってきているみたいだが、其れは取っとけ。何時何があるか分からないんだぞ!
大体私たちが泊まっている宿も贅沢すぎる。
もっと安くて良い宿を見付けないとあっという間にすっからかんだ。
私の狩りはシンプルだ。闇の魔法で獲物に近づき、拳で獲物の眉間をゴンと一突きすれば終わりだ。
でも、血抜きをしなければだめなのは知らなかった。其れはゴリラにやって貰う。
死なない程度にゴンッとすれば良いだけだ。死んで仕舞うと血抜きが旨く出来ないらしい。
ゴリラは貴族だったから剣の扱いが上手いけど、獲物を結構傷つけてしまって,買い取り価格が下がってしまう。だから仕留めるのは私。血抜きと買い取りに持って行くのはゴリラにやって貰う。
結構な稼ぎになった。これから違う場所にも行ってみよう。その前にゴルの防具を誂えなきゃ。
「へい。いらっしゃい。何をお探しかな。」
「えーと。この人の身体に合わせて防具をあつらえて欲しいんだけど。」
「嬢ちゃんのはいいのかい?」「いいや。俺は良い。シルに作ってくれ。」
なんか、話が進まない。面倒だから私も簡易防具を作る事にした。
ゴルには,ドワーフのおっちゃんにお任せで作って貰う。
お金は持っているからとゴルは自分で払った。防具の分のお金が浮いちゃった。
私の防具は、ドワーフのおっちゃんに選んで貰った。戦い方を言ったら、革のグローブ、革の軽鎧、脛当を進められた。必要ないと思うけど、ゴルがうるさいので買って貰った。
着けてみたら、案外身体にフィットしたから、まあイイッか。
ゴルのはライトアーマーだと言っていた。。未だ出来ていない。
武器が片刃の刀という武器だそうだが、皆が使っているのとは違う気がする。ドワーフのおっちゃんも興味津々で見ていたし。
これで、安心して北の山まで行ける。彼処には飛竜がいる。飛竜を倒すのは未だ速いが、卵を捕ってくれば、高値で売れるらしい。巣の中に6個くらいあるが、必ず一つは残しておかないと親飛竜にバレるらしい。一個でも残っていれば分からないんだとか。魔獣には数の概念が無いみたいだ。
卵は冒険者ギルドには持って行かない。飛竜便屋に売りに行く。何時も品薄らしいから、直ぐ買ってくれるらしい。
野良の飛竜は色んな処に被害をもたらすので、積極的に数を減らすように言われているが減りすぎてもまた困ると言う事だ。飼い慣らせば、あちこち行ける足代わりになる。生れる飛竜には個体差があって、大きいのも小さいのもあるという。同じ親から生れるのに,変わった魔獣だ。