ここまでのあらずじ②
※連続で読み進めている人は読み飛ばして下さい。
───第一章
異世界に転生したシュートは“運命の人”を求めて彷徨っていた。彼は探し求めていたのだ、人類の夢、“真実の愛”を!
それが苦難の道のりである事は理解していた。彼は自覚しているのだ、自分が魔法の使えない欠陥付きの底辺冒険者である事を……!
だが、彼は悲観などしなかった。何故なら彼が無能である事など、彼の目的を阻む障害には到底なり得ないのだから!
“真実の愛”を育むのに必要なのは、魔法の才能か? 美しい容姿か? まさか金だとでも言うのか??
そんなものじゃないだろう!!
そしてある日! 彼の目の前に絶世の美女エルフが現れた!!
彼に対し、超絶美麗エルフは突如求婚する。エルフが底辺冒険者に求婚する理由とは、なんだ……詐欺か? それとも宗教の勧誘か?? 疑えばキリがない。出会ったばかりの得体の知れない異種族、きっとロクでもない事を企んでいるのだろう。想像に難くない。
だがその認識は間違っている!
『真実とは、経験という試練に耐えるものの事である』
───アルベルト・アインシュタイン
真実とは確かめるまで分からないものだ。シュレディンガーの愛。求めるなら自らその目で確かめてみろ……そういう事か。俺は決めたぞ!!
そうして迎えた結婚初夜。
「……ぶら下がってる?」
衝撃の事実!!! なんと超絶美麗エルフは性別を偽る“男の娘”だったのだ!!!!
「結婚詐欺じゃねぇかああああああああああ!!!!」
絶叫するシュート!! 彼の“運命”や如何に!?
───第二章
詐欺師と結婚した俺は、迷った。離婚するか、否か───いや、本来そんな事迷う様な事じゃない。即決で別れるべきだ。
詐欺師など犯罪者、関わっても百害あって一利なしなんだから。
でもそうは問屋が卸さない。
『シュー君は、“国”と戦えるかにゃ?』
猫耳少女の意味深な発言。
男のエルフにはそれだけの価値がある。リアムと一緒にいれば俺には更なる災厄が降りかかるだろう。しかし、奴と手を切って敵対するなど考えるのも恐ろしい。
だったら奴を懐柔して、強大な未知の敵への“予防線”にするしかない。
そう判断して手渡した指輪。
───え、心読まれた?
降り掛かる最悪の災厄! 俺とリアムは指輪を通して思考を共有する関係になってしまった! これじゃあリアム相手に駆け引きできない!!
そんな状態の俺に、畳みかけるように最悪が詰め寄せる。
傍若無人なドワーフのパーティ、イカれた薬屋のエルフ、ドM変態騎士、そして歴史の彼方に消えたはずの幻の異種族・魔族。
どうなってんだこの世界は!?
こうなったら、全部まとめて相手してやる……俺の前に立ちはだかるなら真っ向から返り討ちだ!!
見せてやるよ。“魔王”の実力ってやつを!




