収穫祭
祭りの初日、翔太の屋台は賑わいを見せていた。街中が秋の実りに感謝し、色とりどりの食べ物が並ぶ中、翔太の屋台もひときわ目立っていた。
「翔太、すごい!保存食がどんどん売れてるわよ!」エリスが翔太に声をかける。
翔太が屋台を見回すと、干し芋や凍餅が予想以上に売れていた。特に凍餅は、手軽に持ち運べて温かいタレをかけたものが、街の人々の鼻腔をくすぐり秋の味覚として絶賛されている。
「冬に備えて、目新しい保存食があるのはやっぱりありがたいんだろうね。こうして売れると嬉しいな。」翔太は、次々に注文をさばきながら、満足げに微笑んだ。
街の人々は凍餅を手に取ると、温かいそれを楽しみながら、買い物を続けている。魔法で冬を越せるようになっても、保存食がやっぱり必要とされているのだろう。
夕方になると、翔太の屋台の前はさらに賑わいを見せ、他の屋台とともに輝く灯りが街を包んでいった。
「やっぱり、1日目の盛り上がりはすごいな!」リーザが翔太の屋台に立ち寄りながら言った。「みのりへの感謝を込めて、この日は本当に大切なものね。」
翔太はその言葉に頷きながら、もうすぐ1番商品が売れる時間がくることを思い出し、気持ちを引き締める。
祭りの1日目の夜深くなると、街はさらに活気に満ち、若者たちが集まる広場では、音楽と共にお祭りの夜が深まっていく。翔太も屋台の片付けを終えると、少しだけ休憩を取ることにした。
「明日は魔道士の儀式があるから、少しは落ち着くかな。」翔太は疲れた体を休めながら、ふと広場の様子を眺めた。
その時、広場で若者たちが集まり、賑やかな雰囲気が漂っているのを見た。そこでは、出会いの場としても祭りの一環として賑やかな交流の場が提供されているようだった。カラフルなランタンの光が踊り、夜空の下で笑い声が響く。
「翔太、こっちこっち!」ミーナが手を振って呼んだ。翔太がその方向を見ると、若い男女が集まって楽しそうに会話をしている。昼は蒸しパンを売っていた屋台が、いつの間にかアルコール屋台に変身している。
「今夜は1日目が終わった後の特別な時間だよ。男の子と女の子が出会って、みんなで一緒に楽しむ日なんだ。」ミーナが説明する。
翔太はその言葉を聞きながら、祭りの熱気の中で、恋の予感を感じる人々の姿を見守った。あるカップルは、偶然出会ったその日に、楽しく会話を交わし、他のグループとともにダンスを楽しんでいる。彼らの笑顔が、祭りを一層華やかにしていた。
「こういう場所って、普段出会うことのないような人同士が、自然に交流できるんだな。」翔太は、どこか温かい気持ちを感じていた。
その夜、翔太は広場に立ち寄ったり屋台の片付けをしながら、祭りの空気に浸っていた。みのりへの感謝が街全体を包み込み、夜の宴が始まると、自然と人々はその熱気に引き寄せられていった。