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転生先の新しい世界

翔太が目を覚ましたのは、広大な空が広がる場所だった。辺りには見たこともない植物や、空を舞う異様な生き物が飛んでいる。頭がぼんやりとする中で、彼は自分がどこにいるのか、まったく分からなかった。


「ここ……どこだ?」

ふと、手元に大きな体温を感じた。振り返ると、そこにはモモが、元気そうに尻尾を振りながら自分の目の前に座っていた。翔太は驚きと共に、モモの顔を見つめた。モモは、かつての愛犬の姿そのままで、翔太を守るように寄り添っていた。

「モモ…お前も一緒に転生してきたのか?」

モモは何も言わず、ただ嬉しそうにしっぽを振る。それに、翔太はほんの少しだけ安心した。どこかで、一人きりじゃないという気持ちが湧き上がってきたからだ。


翔太が周囲を見渡すと、目の前には小道が広がっており、そこに住んでいるであろう人々の姿が見える。彼は立ち上がると、その小道を歩き始めた。転生した世界での不安と、過去の辛い記憶が交錯する中で、彼は歩を進めた。


「おや、転生者さんか?」

突然、背後から声をかけられた。振り返ると、白いローブを着た中年の男性が立っていた。顔には親しみやすい笑みが浮かんでおり、手に持った杖を軽く振りながら近づいてきた。

「転生者だと?」翔太は驚き、思わず問い返した。

「この村では、転生者がしばしば来ることがあるんだ。君もその一人のようだね。」

男性はにっこりと笑い、翔太に手を差し伸べた。

「私はロリス、村の長老だ。君が転生してきたからには、何かしらの力を持っているだろう。」


翔太は何も答えられずに、ただその手を握り返した。どこかのんびりとした雰囲気を感じ、少しだけ気持ちが楽になった。それでも、過去の辛い記憶は頭から離れなかった。


「ここでは、君ができることをして村を手伝ってもらうことになる。」

「できること…?」翔太は疑問に思うが、ロリスがにこやかに続けた。

「まずは、食事の準備を手伝ってみるといい。君は料理人だったのだろう?」

その言葉に、翔太はふと自分の過去を思い出した。かつての料理人としての経験が、今の彼にとって武器となることに気づき、少しだけ心が軽くなるのを感じた。


翔太は、新しい世界での生活を始める決意を固めた。過去を忘れ、新たな人生を歩むために。

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