第1章:終わりの始まり
翔太は、厨房の中で最後の仕事を終わらせると、意識が遠のくような感覚に襲われた。料理人として働いていた彼の日々は、毎日が戦場のようだった。
「これでいいか…」
深夜、まだ薄暗いキッチンの中で、翔太は一息つこうとした。しかし、目の前には上司が冷たい視線を向けて立っている。
「おい、翔太、何ボーっとしてるんだ。料理を出せ、今すぐにだ。」
その声に、翔太は疲れた体を引きずりながら再び仕事に取り掛かる。だが、手が震えてうまく包丁が握れない。もう何日もほとんど眠れていない。目の下にはクマができ、集中力も欠けていた。それでも、声を荒げて上司が指示を出す。
「遅い!こんな料理じゃ客が満足するわけがないだろ!」
翔太はひたすら耐えていた。家に帰っても、またすぐに出勤しなければならない。仲間や友人もいなかった。仕事だけが彼の全てだった。しかし、心の中では次第に限界を迎えていた。
「もう、限界だ…。」
翔太は心の中で何度もそう呟いた。しかし、逃げることもできず、毎日を繰り返していった。
だが、そんなある日のこと。
突然、翔太は厨房で倒れ込んだ。手が冷たく、体も動かない。疲労と過労が限界に達し、ついに体が音を立てて壊れたのだ。周囲の声が遠くなり、意識が薄れていく中、翔太はただ一つだけ思った。
「この世界に、もう帰りたくない。」