表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/126

第0話 プロムナード

 私は廊下を歩いている。

 ――てく、てく。


 朝の時間だが、外は雨雲に覆われているらしく薄暗い。雨音も聴こえる。

 ――しと、しと。


 灯りを点ける。

 ――ぱちっ。


 電球色の光が廊下を照らし出す。

 同時に、壁に掛かる二枚の絵画がひっそりと浮かび上がる。

 それらは黄金の門を背景にした少女の絵だった。いつ見ても嫌味なぐらい美しい絵だ。


 二つの絵は鏡写しのような構図で、同じキャンバスサイズで、同じ色使いで、同じ紙に描かれている双生絵だ。にも関わらず、それぞれが全く別物のような存在感を放っている。


 ……なんて皮肉なのだろう。


 この絵を飾ってから早一年。今も“あの日”を克明に思い出す。

 “あの日”のことは良い思い出なのか、悪い思い出なのか、今もわからない。どちらでもないのかもしれない。しかし、“あの日”と呼んでしまうほど特別な日であったことは確かなのだ。


 絵を見ていたせいで私の足音は消え、いつの間にか雨は上がり外も静かになっていた。

 無音の世界で、私の思考は過去へと巻き戻る。


 これは、“あの日”に至る物語。


 私と彼女と、彼とあいつ。

 双子と双子の組曲(展覧会)

 プロムナードから大門まで。


 調律が終わり、天使が通り過ぎた静寂の中、運命のタクトが動き出した瞬間へ遡ろう。


はじめまして。るねこ院600です。略してるねこです。

とりあえず0話から3話は本日連続投稿します。プロローグはポエムなので聞き流してください。

以降はストックが尽きるまでは毎日投稿予定です。

お付き合いいただけますと幸いです。


この物語は、ムソルグスキーの調べに乗せてお送りします。


※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ