1 魔王の家
「さぁ!ここが私の家だ!入るが良い。」
「あぁ、遠慮なくお邪魔させてもらう。」
ルナは魔王に導かれて、魔王の家にやってきた。
魔王の家は天井が高く魔王の倍の大きさがあった。
そんなことを考えていると家の奥から誰かの声が聞こえてきた。
「あなた!帰ってきてたのね。いつもより早くてビックリしちゃった。いや、その大きさはまだ仕事中なのかしら。」
「いやすまん、新しい部下を連れてきてたからこの姿のままだったんだ。」
「魔王様それはどういうことだ?」
「私はいつも魔法で大きくなっていたんだ本当の姿はこっちだ!」
パチン!
魔王はかっこよく指を鳴らした。すると魔王の体が見る見る縮んでいき最終的に180cmぐらいの少し大きい魔族の男性の姿になった。
「へぇ、驚いたよあの姿がいつもの姿じゃないんだね。」
「まぁね、4mもあると過ごしにくいからな。あの姿は相手を威嚇するための姿だ!」
「ちがうでしょあなた!ただ大きい方がかっこいいから身長を伸ばせる魔法が欲しい!て言って昔練習してたじゃない。」
「うっ、メーちゃんそれだけは言わないでくれ。上司としての威厳がなくなるから。」
「ふふ」
2人の会話を聞いてルナは笑いが堪えきれずいつのまにか、笑い声が漏れていた。
「なにがおかしい!」
「いや、人間よりも2人の方が人間に見えるなぁて、やっぱりあんたについて正解だったかもしれない。」
「あなた、そちらの方の説明を食事をとりながら教えてください。」
「・・・わかった。」
「あなたも一緒に食べましょ。」
「ありがとう、なら遠慮なくいただくよ。」
食事に呼ばれたルナは感謝の言葉を口にし席についた。
食事は魔物の肉や薬草などが出てきた。
食べ始めて少ししたタイミングでルナが口を開いた。
「そろそろ本題に入ろうか。俺はルナ、勇者をやっていたが人間にはろくなやつが居ないと思って魔王側についた。よろしく。」
「なっ!!」
勇者という言葉を聞いた魔王の妻は顔が青くなったが近くにいる魔王がすぐに妻に触れ落ち着かせた。
それを見てルナは大丈夫そうだと思い話を続けた。
「大丈夫裏切ったりはしないよ。」
「本当にですか?」
「うん、本当だよ。なんならあなたのお手伝いをする子を用意してあげることもできるよ。」
「なんか嘘っぽい言い方…」
「さぁ、次はあなたたちのことも教えてよ。あ、それとって。」
急に緊張感がなくなった。
ルナは出された食べ物の口に運んで噛みついた。
「・・・なら私から名乗らせてもらうよ。私は魔王、ソウル・ブレイク・デーモンだ。これからよろしくなルナよ。」
「わ、私はソウルの妻のメイト・ブレイク・デーモンです。」
「ソウルにメイトかーよろしくな。」
テーブル越しにルナは左手を差し出した。
ソウルとは普通に握手をしたが、メイトがあることに気づいた。
「あれ?その腕の印は…」
「ん?あぁこれね。ここに来る前に契約してきたんだ。だけどまだ一度も…」
「違う、そうじゃない。この形からして人を無理やり別の形に変えた感じがするの。」
「あぁそれは…」
ルナはソウルの方を見た。
しかし、ソウルは目の前にあるご飯をバリバリ食べていて話を聞いてくれそうになかった。
(はぁ、使えん上司だな。)
「なにと契約しているか見たいですか?」
「うーん、見てみたい…かな?元はどんなモンスターだったのか、どんな感じの変化をしたのかそれが気になるから。」
「そういうことなら!」
ルナは腕を伸ばし魔力を左手に集中させ魔法陣を起動させようとした。
「こい!俺の使い魔!「・・・」」
しかしなにを起こらなかった。
「こい!俺の使い魔!「・・・」」
試しにもう一度使ってみてもなにも起こらなかった。
「やはりどこかおかしいのでは…」
「う、それはわからない、おい、ソウル!ソウル!」
「ふぉ、ほふあほっほか?(ん、何かあったか?)」
ソウルは口いっぱいに食べ物を詰めていてなにを言っているのかよくわからなかった。
「この魔法陣起動しないんだけど!」
そう言うとソウルは飲み込んでポケットから一つの瓶を取り出した。
「その液を魔法陣に垂らしてみろ。多分発動するから。」
「この液は?魔力が液状化したものか?」
ルナは魔王の方を見て尋ねたがまた食事を取り始めていた。
「はぉ、どんだけ食べるんだよ…。まぁ後で聞くか… さぁメイト改めてやるぞ。」
「は、はい!」
「こい!俺の使い魔。」
ぱちゃ!
ルナの左手に液体がかかり魔法陣が起動した。