朝顔の観察日記 CASE.04
昭和I・A
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7がつ21にち
あめ
7がつ22にち
はれ
7がつ23にち
くもり
7がつ24にち
くもり
7がつ25にち
あめ
7がつ26にち
あめ
7がつ27にち
くもり
7がつ28にち
くもり
7がつ29にち
くもり
7がつ30にち
あめ
7がつ31にち
くもり
8がつ1にち
あめ
8がつ2にち
はれ
8がつ3にち
あめ
8がつ4にち
はれ
8がつ5にち
くもり
……以降8月31日迄続いたが、ここに書くのは割愛する。
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この頃はまだ家庭にパソコンもインターネットも無い時代。
新聞も誰の何の為にか昨今は八月三十一日の朝刊に載せている夏休み中の全天気も、この頃はまだ無かった。
故にこの生徒の天気は信用に値するかのように見えるが、他の生徒の天気と微妙にズレていた事でこれがズルだと発覚した。
都道府県という大まかな天気と市町村単位の地域とでは微妙な天気の誤差が生じるものである。
しかし、これに注目すべきはソコではない。
この観察日記には朝顔の事が一切書かれていないのだ。
ここまでやるなら最初からキチンとやれば良いものを、新聞の天気を写す事だけなら数日遅れても新聞が残っていれば出来る。
これは、遊ぶ事を前提に考え恐らくは親にもやっている風に見せかける事に重きを置いていたと分かる。
結果、その後もこの生徒は見せかけにばかり拘り本質を伴わない行為に走るが、周りには恵まれていた。
自身を認めてくれない社会に背を向けるより自身を認めてくれる場所ばかりを転々と歩み出した事で、一様を成している。