朝顔の観察日記、監察対象にされた者の果てに。
あなた達が何を思ったのかは別として、私の……いや、この国の教育機関の間違いにあなた達は気付けたのだろうか?
紹介した観察日記を書いた生徒達の大半は、我が国内においては馬鹿者とされ、はみ出し者として組織的にも疎外される事が多く、中には国家的な嫌がらせを受ける者も居れば、逆にそれをする側に居る者も。
しかし、一年生時にその生徒達の大半は決して馬鹿ではなく、むしろ物知りであった事は間違いないのである。
この観察日記に本来は答え等無い。
なのにコレを成績の点数化する価値として踏まえろと何処からかの指摘により付随させられ、その上でCASE.05とCASE.06の方が他のCASEよりも高得点になるとされていた。
どう考えても生徒ではなく親が書かせた物に得点を与えるそれは、得点ではなく特定の親に対する特典のようだった。
私はこの提出物の読み解き方を違えていると知りつつも恥じる行為に四十年経って尚、教場生活を恥じる事となる。
……これらの観察日記の真意に皆様方は気付けましたか?
これ等は、どれもがみな最初から朝顔の生育結果を知っているからこそ軽んじて省略が可能になっているのです。
つまりは、観察する事を必要としないからこそ書ける答えなのです。
事に、それが如実に現れたのが昭和に多いのは冷夏であった事にある。
梅雨が8月にまでずれ込むような天気に、他の生徒も朝顔の生育に不順が生じていた事から、余りにも基本的に育つ生徒の朝顔の観察日記に疑義が生じる事となったものである。
そのお陰もあって更に斜め上を行く生徒の存在に気付かされた事から、私はこの国の教育自体に疑義を持つようになった。
そして……
CASE.02
CASE.03
CASE.07
この三人を社会が潰している現実に、私はこの国に未来は無いと理解した。