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第9話

「とりあえず、凡骨平原!」


 まずはこの地域を自分のテリトリーとして形作って行く。手に握った骨をクルクルと回しながら思案する、あの激痛が我慢出来るなら霧を骨で散らして叩くのが最高に楽だ、だが俺は骨の身体って訳でもない。なんども死んでいると言いつつも俺がいるからなのか、幸か不幸かウミという少女は休眠状態というのが俺の認識だ。


「だから、変な傷は残せねぇ」


 魔物はこちらに気がついたのか黒霧を少しずつ収束させていく。


「そんなの待つかよ!」


 地面から骨をすり鉢状に生やして黒霧を散らす、距離を取りつつ核を露出させられると思ったがそう上手く事は運ばない。


「こんなのあり!?」


 収束した黒霧は市バスの形を取り、ドライビングテクで避けてきた。そしてそのままこちらを突っ込んでくる。


「非生物系って形に自由度ありすぎだぞ!」


 しかも街路樹に追突するように仕向けても透過してすり抜ける、つまり俺もあの濃度が素人目にみて高すぎる霧の中へ乗車させられあの世へ真っ逆さまってわけだ。


「どうしようもなくね!?」


 そこで少し、息を吸う。


「どうしようもねぇ、罪人の俺が敵から逃げてどうすんだ?俺が逃げたら他の奴がこいつに殺される、そんなん、許せるか!?」


 骨を構える、冷静に気持ちの悪い自己欺瞞を行いながら考えた一か八かの作戦。


「お前は車で、エンジンで動く、なら核はどこだろうなぁ!」


 バスのエンジンは1番後ろにあることがほとんど、なら限界まで惹き付けて後ろに跳ねて核を砕く!


「こいよ!暴れバス」


 律儀に正面へと走ってくる魔物、そしてギリギリで跳躍する!


「凡骨ゥ!!平原!」


 バスのへと地面から生やした骨を勢いよく刺すように一瞬の上空から指示する。


「ゲホッ、排気…ガスが、黒霧…かよ」


 核の露出には成功したが黒霧を少し浴びてしまった、しかしここまで来たら仕方ない。かーっと上がってくる痛みに目眩を覚えながらニヤけたツラでバスを睨む。


「いましたわ!」


 核に赤い銅のような色合いの槍が突き刺さり、魔物は消失した。あまりの突然な敵の消失に俺は拍子抜けする。


「なん、だ?」

「通達!私の座標を参照!現在位置にて野良魔法少女を発見しましたわ!」


 やべぇ!?


「朝倉さん、よろしくお願いしますわ!」


 また知らない妖精が持ったPCから大人の女性の声がする。ビデオ通話のような画面が見えた。


「私たちは魔法少女組合です!あなたのような野良の魔法少女を保護しています。生活は今よりも良くなります、それに治癒系の魔法少女の支援なしに黒霧を浴び続けるのは危険です!ってこれこの子に理解出来るの!?」


 そういえば欠食児とは言わないが腹へり少女のウミ、俺は身体の発育が悪い、てか小さい。いやだな、この体を俺と呼ぶのは。


「朝倉さん!諦めないで!」


 俺はとりあえずお断りしてみる。生きるために魔法少女になった訳では無いのだから、


「野良魔法少女を処分したいってのは分かるが、俺にもやることがある。それが終わりゃここから俺は消える、それまで待っててくれねぇか」


 頼む、ここは飲んでくれ。


「せめて、せめて除去だけでも。黒霧の除去だけでも」

「それなら、あー、妖精にやり方を聞いてる、大丈夫だ」

「へ?嘘ミイ!あれに頼るなんてバカミイ!」


 レイク!?自信満々に言う割になんかおかしくない!?


「ここは、また逃げるしかねぇ!」

「アテナさん!確保を!」


 保護から確保に格下げされてるぅ!


 それはもう必死に逃げ切り、朝日が出る頃、やっとアテナと呼ばれる少女を巻くことに成功した。

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