第8話
「骸骨!どうしてくれるミイ!完全に名前とか覚えられちゃったミイ!何故か妖精の古株が外に出ててレイクは全く警戒することが出来なくて逃げるのがやっとだったミイ!あと骸骨も絶対捜索されてるミイ」
「悪かった、悪かったって、え?なんつった?」
「完全にあれは野良魔法少女を探す為に普段は隠居してる妖精が出張ってきてるミイ」
「やばいが?それ本当にヤバいが?」
「どうするミイ?」
こうなれば仕方ない。
「とりあえず、今夜は徹夜で練り歩くぞ」
「ミイ!?流石にこの街そんなに治安良くないミイ」
「いや、俺は仮にも魔法少女だぞ、そこらの破落戸には負けんよ」
俺本当に見通し甘すぎ。
「お嬢ちゃん?こんな時間にどうしたのかな?」
おまわりさんには勝てません!
「ちょっ、あの、これでも大人で」
「身分証なにかあります?」
「あー!えっと、今なくて」
「うーん、とりあえず交番でゆっくり話そ?少し春とはいえ肌寒いもんね」
あー、これ完全に子ども扱い〜!補導する構えだァ!
「あのぉー、えっと」
「ん?どうしたの?」
「ばいばい!」
本日2度目の逃走!なんなの?子どもは鬼ごっこしてろっていうお達し?路地を体躯を活かして駆け抜ける。この街やたらと路地が多くて分かりにくいが今は助かる!
「もっと走るミイ!バイクじゃ路地は抜けられないミイ!」
「わーってるぅ!でも足短い!!」
「変身しろミイ!!!」
そうじゃん!っと気づくや否や急いで変身しスーツ姿になる。そのままシレーっとお巡りさんを横切り駅前を通り抜けることに成功した。
「いや、マジでヒヤヒヤしたぞ」
「……息が荒いところだが、携帯開くミイ」
「あん?あー、通知が来てるな」
「どうするミイ?魔物は前兆としてアプリが教えてくれるのが確実ミイ」
「行くぞ、次はもう少し情報をくれ」
「仕方ないミイ、きっと午前中の戦闘なんて目も当てられないものに違いないミイ」
「とりあえず、駅前ロータリーぽい?行くぞ!」
魔法少女に前向きな間はこの贖罪相手の妖精も好意的だ。助かると共に、申し訳なさが募るのだ。
●●
「まず魔物には生物系、非生物系の枠組みがあるミイ」
「おう、さっきのはタコだったわ」
「正直生物系は対処しやすいミイ、心臓や脳の位置に核があるし感覚器官があるミイ。非生物系はほとんど湧かないけど魔力で全範囲を感知してくるから厄介ミイ」
「その湧くってなんだ?」
「知らないミイ、骸骨のが詳しいんじゃないかミイ?」
魔物ってのはあのヤツメウナギに食われた奴か?とりあえず確証がないから黙っておく。
「今回のはどうだ?」
「魔物は最初に誰かを見つけた時に自分の形をまるで思い出すように作っていくミイ」
「それまではあのモヤってわけか」
「レイクは知らないけど組合の魔法少女達はその形成を防ぐ方法を知ってたミイ」
「知りようがないことは無視だ、つぎつぎ」
「……お前がさっさと終わらせるには奇襲して霧の中央の核を割ればいいミイ」
黒霧を吸ってもいいなら、って前提付きだがな。
「だから骸骨にはハードル高いことを言うミイ、完全に個体が確立されてから倒すミイ」
「その難易度は分からん、でもやるしかない」
「行ってこい、ミイ」
俺は、夜の街を今度は魔物を追って駆け出した。