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第6話

 路地に戻った俺は倒れ込んでいた。


「はァ、はァ……!」

「骸骨はバカミイ!?霧は吸うなって言ったミイ!」

「あはっ、無茶に戦えばさっさと死ねるかなって……」

「……ッ!霧の応急処置を教えるミイ」

「なんの、意味が!」

「まだ何の役にもなってないミイ!さっきの魔法で身体のどこかから黒霧で出来た骨を想像して生やすミイ、身体を引き裂いて生えるから痛いけど我慢するミイ、なんてそんな痛そうなこと無理だと思うミイが…」


 上等だ、そう思いながら胸の中心から黒い骨が生えるイメージをする。


「キッ、アッ、キャァァァァァァア!」


 想定してた声ではない音階の声が出たが黒いだけの見慣れ始めた最初に手に出てくる骨が生えてきた。


「ほんとにやるとは思わなかったミイ……」

「うっせぇ」


 骨を消してしまえば胸をジクジクと蝕んでいた痛みが軽くなった。まだ残っている感覚はもちろんあるが骨を作れるほど貯まっていない。


「ありがと、レイク」

「もっと霧を避けて賢く戦うミイ!」


 そう捨て台詞を吐くとクレイはまたどこかへ消えてしまった。


「レイクはお前をいつも監視してるミイ、逃げようとしたらその時は命に変えてでもお前を殺すミイ」

「いいなそれ!頼む!」


 死にきれなければ殺してもらえる、その言葉がどこか支えとなった俺は朗らかに笑った。


「俺はずっと探してたんだ、殺してくれる理不尽を」



 ●●



 あの骸骨は狂っているミイ、普通はあんな量の黒霧を身体に貯めて精神を保てるはずがないミイ。もしも償うって意識だけであそこまで戦うならいつかもっととんでもないことになるミイ。


「でも、そんなの知らないミイ」


 ウミに厳しいこの世界、こんな世界壊れたってクレイにはどうでもい。正義を抱いて魔法少女は生まれる、けれどレイク達妖精は必要だから生み出される。ミイ達に正義など本当はないのだ。


「せいぜい暴れ回ればいいミイ」


 ●●



 あの子、あのままじゃ絶対に死んでしまう。


「よく帰還しました!アテナ!セクメト!」

「セクメトは集中治療室、守りきれなかったわ…」


 私の担当官である女性、朝倉さん。いい人だがその豊満な胸で顔を押しつぶすのはやめて欲しいわ。特に急ぎの時は。


「そんなことより聞いて!」

「はい?」

「野良の魔法少女に遭遇した」


 朝倉さんの顔に緊張が走る。そりゃそうだ、魔法少女という制御の難しい力を持った少女が自分の裁量で戦っているのだから。


「それはどこですか!!」

「うひぃ!?」


 あまりの圧に少し引いてしまった。しかし事態は想像の更に上を行くことを知る。


「魔法少女の力に目覚める子達には強い正義感や押さえつけられた感情の発露というのが定説です、てことはですよ!アテナ!」

「う、うん」

「その子は強すぎる正義感でトラブルを起こしたり、抑圧されるほど辛い環境にいることが確定じゃないですか!」

「!?」


 確かにそうだ、そうなのだ。セクメトを怪我させてしまったことを引きずっていたが、それでも彼女は覚悟を持った魔法少女。だが先程の子は違う。魔法少女としての教育も知識もなく頼れる大人もいない。


「そうだわ!あのスーツ着てた子、手に持った骨のような杖を振り回して大量の黒霧を浴びていたんだった!」

「それちょっと緊急過ぎませんか!」

「しかもその子杖が折れたというのにダウンせず新しい杖を手元に召喚したのよ、おかしいと思わない?」

「ちょっと全体にアナウンスかけます!私も訳分からなくなりそう、どうやって今まで教育機関の調査をくぐり抜けて来たの!?」


 そう言って朝倉さんはトランシーバーのようなゴテゴテした通信機を取り出した。


「組合員全体に通達、数年ぶりに野良の魔法少女が発生!杖の外観は骨、黒霧を大量に浴びたという情報あり。本日のアテナ作戦区域で発見された!絶対に見逃さないで!手が空いてる人は捜索を!魔法少女としての外観はスーツ風との情報あり!」


 お願い、手遅れになる前に見つかって……!



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