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卑弥呼様の破魔矢

「ところで、その卑弥呼様の召喚に関してお教えいただけませんでしょうか?」


 有脩による卑弥呼の説明が終わると空真が言った。


「今、ここにおられる卑弥呼様が卑弥呼様そのものなのでしょうか?

 それとも、そちらのお方を依代として、そのお方の体に召喚した卑弥呼様の魂を移されたのでしょうか?」

「私が作り出した呪術により、時の流れを飛び越え、卑弥呼様自身をこの世に呼び出したのだ」


 おお!

 なら、私はあの謎に満ちた卑弥呼を目の前にしている訳で、なんだか興奮してしまう。


「ぜひ、卑弥呼様のお力を我らの妖狐退治にお貸しいただけませんでしょうか?」


 私は身を乗り出して言った。


「我らには京を守る務めがあり、それはできぬ。

 が、そなたの身柄はこちらで預かろう。

 ここで修業するがよい」

 

 どう答えて言いか分からない提案だ。

 清子様のような力を私も持ちたい。そのためなら、卑弥呼様に教えを乞うと言うのもありではある。

 だけど……。


「まことにありがたいご提案ですが、私だけ妖との戦いから外れる訳にはいきません」


 これも私の本心。


「なにを申す。

 まだ見習い巫女であるのなら、まだ十分な力を持っておらぬのであろう。

 だとすれば、妖との戦いなど危険極まりない。

 ここに残ればよい」

「だったら、余計に残れません。

 私だけ外れて、他の仲間たちだけを危険な戦いに送り込むなんて!」


 そうなのだ。そんな言い方をされたら、ここに残って修行をするなんて選択肢はあり得なくなる。


「よくぞ申した。

 と、言いたいところだが、戦力にならぬルリ殿と共に戦うより、ここで修業を積み、力を得てから戻って来たもらった方がありがたいのだが」


 藤井が言った。

 これも本心だろう。今の私は足手纏い。そう言う事なんだろう。

 弓矢はなんとか、飛ばせるようにはなったけど、破魔の力がある訳ではないのだから。

 あれ?

 さなの飛び道具にも破魔の力は無くない?

 念珠筒は空真の法力に頼っている訳だし!


「土御門様、卑弥呼様。

 例えば、卑弥呼様のお力を宿した破魔矢とかないのでしょうか?」

「いや」

「ありますよ」


 私の問いに、否定的な返事をしかけた有脩の言葉を遮り、卑弥呼様が言った。


「卑弥呼様、あれは……」

「どうして、この方たちにはお分けにならないのですか?

 私はあの巫女見習いに破魔矢を渡し、それで戦いに出向いてもらえばいいと思いますが」


 何やら、二人の間で考えが違うようで、特に卑弥呼様に不満口調だ。

 有脩の言葉を無視して、卑弥呼様は奥に下がり、10本の矢を携えて戻って来た。


「これが私の力が込められた破魔矢です。

 お渡ししますので、これで妖退治に出かけられるがよろしかろう。

 お探しの妖狐は三好長逸に憑りついております」

「ありがとうございます」


 卑弥呼様の力を宿し破魔矢。

 そう思っただけで、なんだか神々しい気が。

 頭上にかかげ、敬いながら、それを私は受け取った。


「一本10貫じゃ。

 使えるのは一度切りじゃ。

 無くなれば、また買いに来なければならぬ。

 しかも、決して安くはない」


 有脩が言った。

 詳しくはないけど、一本80万円くらい?

 はっきり言ってぼったくりっぽい。

 これが私がいた時代の御利益のある壺とか念珠とかだったら、ぼったくり! と言いたいところだけど、卑弥呼様の破魔矢なら、私的には納得してしまう。


「承知いたした。

 銭は松永様に申しあげて、後ほどお届けいたす」


 藤井が言った。松永久秀は太っ腹らしい。


「ええい。ならば、次からは一本50貫じゃ。

 それでも、そこの女子をここに残らせず、連れて行くと申すのか?」

「50貫。

 承知いたしました」


 この二人の争いは何なんですか?

 突然5倍に価格を吊り上げるぼったくり男とそれに張り合う男。

 何かのオークションですか??


 二人のやり取りに唖然としていると、奥から50歳くらいの男性が現れた。


「有脩。何をしておる。

 気づかぬか、妖どもがわが屋敷に近づいてきておる!」

「まことですか!?」

「確かに」


 有脩は信じ切っていないようだけど、空真は感じ取ったようだ。

 場が一気に緊張感に包まれ、各々が得物を持って部屋を飛び出した。

 私も卑弥呼様の破魔矢を手に外に向かう。

 初めて使う卑弥呼様の矢。

 戦いの緊張や恐怖より、その威力を見てみたい気の方が勝っていた。

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