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転移したのは異世界ではなく、戦国時代なの? でも化け物がいるんだけど

織田信長による今川義元本陣急襲による桶狭間の勝利、浅井・朝倉に味方する叡山への焼き討ち、そして怨恨による明智光秀による本能寺の変。すべては妖の存在を打ち消すために作られた物語でしかなかった。

今明かされる真の戦国時代の姿。

歴史の流れに沿っていますが、妖との戦いがその中心にありますので、本格的歴史ものをご期待の方には向いていません。

よろしくお願いいたします。

「うっ、うーん」


 そんな唸り声のような声を発しながら、意識を覚醒させた私は目を開けた。

 ぼんやりとした視界に映るのは古めかしい日本家屋の天井?


「気がつかれましたか?」


 私の耳に聞きなれぬ女性の声がした。

 そこに視線を向けると、古めかしい日本家屋に似合う和服、と言っても煌びやかなものではなく、みすぼらしい着物を着た若い女性の姿があった。


「宗厳殿。異国の方が目を覚まされました」


 その女性はどこかに向かって、そう声を張り上げた。


「異国の方ですよね?

 言葉分かりますか?」


 今度は私に視線を向けて、そうたずねてきた。

 異国?

 ここは日本じゃないの?

 いやだって、言葉通じるし。

 布団に寝かされていた体の上半身を起こし、辺りを見渡して見る。

 黒っぽく、くすんだ木の柱。

 少し黄ばんだ感のある紙が貼られた障子。

 壁も床も木で出来た部屋。

 天井の古めかしさにぴったりな日本の古屋っぽい。

 いえ、私は日本人ですよ。と言いかけそうになった時、部屋の外から野太い男の声が聞こえて来た。


「さな、あの女子おなごが目を覚ましたのか?」


 さな? きっと、この女性の名前なんだろう。

 その声と共にどかどかと近づいてくる足音の方向に視線を向けた時、襖が開いた。

 そこに現れたのは、麒麟が○るや戦国時代の大河ドラマに出てきそうな侍姿の中年の男性だった。


「おお、よかった。

 気が付かれたか?」


 はい?

 ここはどこ?

 私は誰?

 大河ドラマのセットの中?

 まずは夢と言う可能性を確かめたくて、自分のほっぺをつねってみる。

 はっきし言って、痛い!

 一体全体、何が起きたのか?

 目を閉じ、思い出してみる。



 高校生の私は帰宅し、鞄を自分の部屋の机の横に置き、疲れを癒そうと制服のままベッドに倒れ込もうとした。

 その時、某テーマパークのタワー・オブ・○ラーのような自由落下するような感覚に引き込まれたのだった。

 視界に映る光景は私の部屋から、真っ黒な闇に変わり、続いて陽光溢れるどこかの外に変わり、怒声やら悲鳴やらが耳に届くようになった。

 辺りにいたのは……。

 思い出した。あの時も、大河ドラマの世界? と思ったのだった。

 刀を振り回す男、錫杖を手にした僧侶、弓矢を放つ女性。

 だけど、彼らが相手にしていたのは、ゲゲゲの○太郎の世界のような化け物たち。

 空にも多くの化け物が漂い、人と化け物たちの戦いが繰り広げられていた。

 そして、誰かが空を覆う化け物たちに向けて放った矢が一瞬にして化け物たちを消し去った。

 何が何やら分からず、ただ茫然と座り込んでいるだけの私に奇妙な容姿をした化け物が迫って来た。

 若い男性が私に走り寄り、手にしていた刀でその化け物を斬り捨てた。

 その時、私の頬に何か温かいものが飛んできた。

 なに?

 そんな事を思いながら頬に付いたものを手で拭い、その正体を確かめるため、拭った掌に視線を向けた。

 少し黒めの赤い液体。

 やっぱ、これは化け物の血?


「いやぁぁぁぁぁ」


 そんな声を上げた後、私の意識は闇に落ちて行った。



 慌てて私は自分の掌に視線を向けた。

 そこに血の痕は無い。

 そして、恐る恐る自分の頬に手を当てる。


「あ、血はちゃんと拭いておきましたよ」


 私の意図を察したさなが言った。


「あ、ありがとうございます」

「言葉は分かるんですね。

 異国の方ですよね?」


 言葉が通じるし、昔の日本に似てはいるけど、昔の日本に化け物がいたなんて、聞いた事はない。

 きっと、ここは異世界。そこに転移だか転生だかをしたに違いない。

 転生や転移した先の言葉がなぜだか分かると言う設定のアニメがある。それと同じ。

 まあ、私的にはアニメとかではなく、今のこれはリアルなんだけど。


「そうです」


 私は言い切った。


「明の方ですか?

 体調が戻れば、行こうとしていた所にお送りしますよ」

「おお、それがよい」


 宗厳と呼ばれた男が言った。

 行こうとしていたとこ?

「特にないです」

 正直な答えだ。


「なら、お戻りになるところまでお送りしますが」


 戻るところ?

 私の元の世界。でも、どうやったら戻れるの?

 思わず、不安で胸が締め付けられ、瞳から涙が溢れ始めた。

 体も小刻みに震えている。


「大丈夫だよ」


 さながそう言って、私を抱きしめてくれた。

 心細さに私はさなの背中に腕を回して、抱きしめながら、泣き声を上げた。


「大丈夫。大丈夫。

 私が味方してあげるから」


 その言葉が心に沁み込んで行く。

 どのくらい泣いただろうか、私の耳に衝撃的な言葉が届いた。


「柳生殿。

 織田殿の使いとして、明智殿が堺の町衆の今井殿を連れて参られました」

「分かった。

 今行く」

 

 柳生?

 織田?

 明智?

 堺の今井?


って、ここは戦国時代の日本?

 化け物がこの時代にいたなんて、聞いた事ないよぅ~。

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