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いじめで酒を飲まされ死亡した僕は異世界へ転生する  作者: ミント
第一章【悲痛な異世界転生】
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第一章1話 【出会い】

 竹城久也たけじょうひさや、年齢15歳、A型。


 幼い頃からなんの取り柄もなく、無能で、根暗で、人付き合いの苦手な彼には友達がいなかった。


 頭の悪い久也は東京都でワースト十位に入る、偏差値が低い高校に進学した。


 偏差値が低いだけあって、奇抜な生徒が目立つ学校だった。そんな学校で根暗な久也は友達が作れずに数ヶ月が過ぎた。


 夏休み初日の昼過ぎ。起床した久也はベットから一歩も動かずに携帯で動画を見ていた。そして2時間ほど触っていた携帯をそっと枕の横に置き、溜息を漏らす。


「はぁ」


 母子家庭のため母が家にほとんど家にいない。その為、一人だと孤独感に胸が苦しめられる。


「つまらないなぁ」


 人生がつまらないのは自分の行動のせいだ。


 そんな事は久也もわかっているし、そんな人生を変えたいと思って行動もしている。ただ結果が全く実らないのだ。その結果が実らない原因も、彼は察していた。


「よっと」


 体を起こしてベットから降り、姿鏡の前に立って自分の全身を見つめる。


 鼻まで隠れるほどの長い髪。


 肉付きが悪く、細すて脆い身体。

  

 そんな身体を見つめ、また溜息を漏らす。


「はぁ、」


 でも今日は外に出よう。そう昨日から決めていた久也は身支度を済ませて家を出た。


 外は夏の蒸し暑い風が吹いていた。午後4時を過ぎた東京の空は雲一つない為、強い日差しが降り注ぐ。


 近くの公園までの道のりを歩くだけでも、冷房のかかった部屋で閉じこもっていた久也にとっては地獄であった。


 やっとの思いで公園に着いた。遊具があまりないこの公園には人があまりおらず、一人で散歩するには丁度良い。久也はベンチに腰掛け、空を見上げる。


「いい天気だなぁ」


 公園に来たからといって、誰かと一緒にいるわけではないので部屋にいる時となにも変わらない。


 そう、思っていた。


「よう。なにしてんだ」


「え、誰?? 」


 首を左右に振りながら周りを探すが、誰もいない。


「違う下だ、下」


「し、下? 」


 視界に入ってきたのはバッタだけだ。


「バッタ? 」


「そう、バッタだ」


「うわぁ! 」


 バッタから聞こえた声に驚く久也。ベンチの下の草むらにいるバッタと少し距離を取る。


「バッタが、、喋っている……」


「そうだ悪いか」


「ううん、そうじゃないよ。あはは」


 久也はバッタ相手に、経験の少ない愛想笑いをする。


「バッタさんは、名前なんていうの? 」


「俺か? 名前なんてねぇよ、お前がつけてくれ」


「えぇ⁉︎  な、名前かぁ」


 そう言いながらバッタは少し遠くへ行ってしまう。


 せっかくできた話し相手に何処かへ行かれては寂しいと思い、追いかける。


「まってよ、」


「なんだ、名前つけてくれるのか? 」


 バッタはそっぽを向きながらそう言った。


「じゃあ、、さとる! 悟にするよ! 」


「悟か。いい名前だな。気に入ったぜ」


「ありがとう悟」


「よし! せっかく良い名前つけてくれたし、いっぱいお話ししようぜ! 」


「うん! 」


 と言いつつも逃げていく悟について行く久也。久也は悟に手を差し伸べると、悟が手に乗っかってきた。


「もう、お話しするんだったら遠くへ行かないでよ」


「ごめんごめん。もう遠くへ行かないよ」


 そう言って久也の事を見つめる悟。


 2人はそれから色んな事を話した。学校で友達ができない事。勉強ができない事。人と話すのが苦手な事。


 沢山話を聞いてもらっているうちに、そのまま家に連れて帰ってしまった。悟も話に夢中になっている為、家に連れて帰っても文句は言わなかった。


 そして、それからの長い夏休みは、久也にとって良い思い出になるのだった。

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