エロ本
ドアを少し開け、廊下に誰がいない事を確認すると、セロ達は比較的に銃声が少ない方の廊下側を走って進むと、三人の重装備の警察官が話し合っていた。
「同僚が撃たれた!!救急車はどこだ!?」警察官の服装のセロと髪を強く結んだ状態の星羅と髪をぼさぼさの状態にした鈴鹿と輪ゴムで止めた非常に短いツインテールにした静達は頭部を被弾している警察官を運んでいた。
照明がまだ復旧してないので、顔はよくわからないようだ。
「ところできみたちはなんだ」警察官の一人がたずねた。
「こいつらは、きのう未成年のくせに酒をのんで暴れていたのでさっきまで説教していたんですよ。もう帰すつもりだったのでついでに手伝わせました。」
セロが答えた。
「後は任せろ!俺が運ぶ!」セロを除く三人は警察官と運ぶのを交代した。
「救急車はこっちだ!」
セロと警察官は廊下の奥に向かって走り始めた。
「君たちも付いて来い!」セロは星羅達も付いてくるように言った。
ドアを開けると、数十台の特殊警備者やパトカーや救急車や重装備をした警察官が何十人もいた。
セロ達は救急車に近づき、救急隊員に渡した。
「君たちも怪我はないか!?」救急タ隊員が星羅達に言った。
「け、怪我はないです!」と鈴鹿。
「俺は三人を安全な所まで送る。」セロは警察官に向かって言った。
「分かった。」セロ達はパトカーに乗った。
「ハア~疲れた!」星羅は髪をほどいてゴムを鈴鹿に渡した。
「バレなくてよかった!」鈴鹿は深呼吸をした。
「髪が痛かった!」静は輪ゴムを外した。
(馬鹿で助かった!おまけに照明がなかったから顔がよく見えなかったのだろう。日本の警察に外国人はいねえからな・・・)セロは一呼吸をしながら元々かかっていた車のキーを回し、車を発進させた。
「何処に行くの?」静は聞いた。
「離れた所に移動する。」
「サイレン鳴らしたい!」静は突然、叫んだ。
「はあ!?黙ってろ!!」セロは怒鳴った。
「これからどうなるんだろう?」鈴鹿は聞いた。
「少なくとも、元の世界には絶対に戻れないと思うね。」星羅は笑顔で言った。
「・・・え?展開的に?」
「そうそう。」
「そ、それはドラマや映画の話で・・・」
「ひっとして静ちゃんが一回で人の名前を憶えれるくらい確率で帰れるかもわからないけど」
「ああ!それはゼロだわ!」静は共感した。
「自分で言う!?」鈴鹿は驚いた。
「・・・お前らはいったい何なんだ!?」セロは突然、声を荒げた。
「え?どういう意味?」静は聞き返した。
「そのまんまの意味だ!普通は人が目の前で死んだら、泣きわめいたりション便漏らしたりするはずだ!なのに、お前らはなぜ平然としたられるんだ!?お前ら一体何なんだ!?」
「ああ・・・動画でよくそういうの見ているから。」と星羅。
(動画!?動画見て、平然と人の首を絞めれのか!?)セロは嘘だと思った。
「別に、殺したことあるし、その程度じゃ」
「静ちゃん!!」鈴鹿は怒鳴りながら静の口を手で塞いだ。
「わ、私も静ちゃんも動画で結構見ていたから!!こういうのは平気!」鈴鹿は言った。
「・・・」(嘘だろ・・・あの時、適当に犯罪歴あるって言ったら、本物かよ・・・この年で・・・)セロは考えていると、セロの服かかってある無線が入ってきた。
『えーこちらA区12番隊。31-23で犬の23-68がウカンムリにあった。Gの可能性あり。ニンチャクは不明。繰り返す。31-23で・・・』
「え?犬?ウカンムリ?」静は首を傾げた。
「これが警察の隠語か・・・スマホがあったら解読できるんだけどね。」と星羅。
「23-68、恐らくこの車のナンバープレートだ!」セロは車を止め、引き出しから地図を取り出した。
「どうしてバレたんだろう?」静は首を傾げた。
「もともとの持ち主に車が無って気づかれたんだろうね。」と星羅。
「だとしたら、私たちの変装も・・・」
「ニンチャクが服装の事だと思うけど、近いうちにここも気付かれるだろうね。」
「近くに公園がある。そこのトイレに行こう。」セロ達は車から出た。
イカ臭い悪臭がするトイレに移動した。
「くさい!!」静は鼻をつまみながら叫んだ。
セロは警察官の服装を脱ぎ、水道水で体に付着した返り血を洗い流した。
「親のベッドと同じ匂いがする・・・」星羅は呟きながら黒い本を開いた。
「そ、そうなんだ・・・」鈴鹿は引き気味に言った。
「・・・この本元々半分しか無かったような気が・・・」
「え?そうなの?」
「・・・」(そういえば、私が倒れた直後に反応した・・・)星羅はその場面を振り返った。
「まさか・・・誰か切れるもの持っている人いない?もしくは怪我している人いない?」星羅は鈴鹿と静かに聞いた。
「?持ってないよ。」と鈴鹿。
「ふぁ~眠い!」と静。
「セロさん、何か切れるもの持っていないですか?」
セロはトイレの水道水で嗽をしながら首を横に振った。
(うわ・・・汚!)鈴鹿はセロがトイレの水道水でうがいしているのを見て少し引いた。
「何をする気なの?」静は聞いた。
「血を本に付けてみようと思ってね。」
「だったら、歯で指を切ったら?」と鈴鹿。
「私それ出来ないから手本見せてよ。」星羅は歯で指を切れない事を知っていた。
鈴鹿は指を口の中に入れた。
「・・・」口の中をもごもごさせた後、突然体がぴくっとなった。
「ヴッ!!?」鈴鹿は口を押えながら便所に向かって吐いた。
「汚いマーライオンだね。」と星羅。
「どうしたの!?大丈夫!?」静は駆け寄った。
「静ちゃん、もんじゃ焼き出来たよ!」星羅は笑顔で言った。
「え?」
「だ、大丈夫・・・ちょっとね。」鈴鹿は嘔吐物が付いた顔で静の方を向いた。
「汚い!ちゃんと手と顔を洗ってよね!」静は体を引いた。
「うう・・・酷い・・・」鈴鹿は涙目で蛇口で顔を洗い始めた。
「目の前で警察官が撃ち殺されても動じなかったくせに、ここで吐く?」星羅は首を傾げた。
「それはユーチューブで見慣れているけど・・・いや、さっきこのトイレの蛇口を触った手を口の中に手を入れてしまったから・・・それを思い出したら急に吐き気が・・・」
「・・・」星羅達は無言だった。
「・・・」鈴鹿も無言だった。
「死ね。」星羅は笑顔で言った。
「鈴鹿ちゃんなんか、トイレに流されて下水処理場でうんこと一緒に分解されてしまえー!」静は叫んだ。
「おお、言うね。」と星羅。
「お、お騒がせしてすいませんでした!」鈴鹿は謝罪した。
「・・・ハア~」(これから先こいつらと一緒にいるのか?)セロは深いため息を付いた。
「そうだ!私生理だから!この血を使えば・・・」と静。
「・・・」星羅は無視して口の中に指を入れて歯茎を爪で切った。
「ペッ!」星羅は血の付いた唾液を白紙のページに飛ばしつけた。
「・・・」変化はなかった。
「やっぱりだめか・・・」と血の混じった唾液が浸み込んだ瞬間、広がり始め、文字が出て来た。
「動いた!」
『もっと血をよこせ。』赤色の薄い文字が浮かび上がってきた。
「・・・静ちゃんの出番が来たね。」と星羅。
「いやいやいや、汚いでしょ。」と鈴鹿。
『是非それを!』文字が一審消えて変わった。
「聞こえているんだ・・・」
「汚くないよ!三日に一回は風呂入っているもん!」静は顔を膨らませて言った。
「なるほどね。だから時々、浮浪者の臭いがしたんだね。」と星羅。
「でしょ!」と威張る静。
「威張るところじゃないよ。」と星羅。
『ますます力が高まりそうだ!』
「何なのこいつ?きもいんだけど?」鈴鹿は引いた。
「血が欲しいんだな!!」セロは本を奪い取った。
『さわんな!女体化してやり直してこい!』
「はあ?」
『汚物の塊が俺に触るな!さっきの少女に戻せ!』
セロは戸惑いながら星羅に返した。
『全く!汚物ごときがこの俺に触るとは・・・!』
「ごめんなさいね、後でトイレに流しておきますから。」と星羅。
「・・・」セロは無言になった。
「血を注げば元の世界に帰れるの?」静は聞いた。
『元の世界・・・ああ、ちょうど三人分の生理の血があったら戻れそうだ!』
「・・・本当?」星羅は顔が暗くなった。
「私生理じゃないんだけど・・・」と鈴鹿。
「どうして血が必要なの?」
『新鮮な血が我が魔力を高めるからだ!』
「だったら、生理の血じゃなくてもいいよね?」と星羅。
『いや、その方が魔力が高まる!』
「それ別の力だよね!」鈴鹿は叫んだ。
『因みに、生理の血ではなくても〇汁や尿でも・・・』
「やっぱり嘘だよね!血と関係ないし!」鈴鹿は怒鳴った。
「あまり調子に乗っていると、あなたの言う汚物野郎のパンツの中に入れるよ?」
『止めろ!そんなことをしたら俺は死ぬ!そしたら君たちも帰れないぞ!』
「いいよ、死ね!」星羅は笑顔で言ながらセロに本を渡そうとした。
『ま、待て!俺が悪かった!普通の血でいいです!お願いします!』
「やれやれ・・・」星羅は更に歯茎を爪で切って本に注いだ。
「これで帰れる!」鈴鹿は希望の柾ざしで本を見た。
『よし!これで・・・』本は白紙のページを開いた。
「・・・」
『・・・』
「・・・まだ?」静は聞いた。
『・・・できないな・・・』
「セロさん、うんこしたくないですか?ちょうど拭く紙がここに・・・」星羅は本を渡そうとした。
『ま、まってくれ!!文字を見てくれ!』
「え?」
『遠すぎるんだ!元のワープ位置から!』
「つまり、そのワープした所に行かないといけないの?」
『そういうことだ!』
「はあ~道のりは長いね。」と鈴鹿。
「どうせ失敗して違う所に飛ばされるんでしょうけどね。」星羅は冷めた目で言った。
「・・・近くに駅がある。そこからタクシーに乗って初めてここに来た○○会場に移動しよう。」セロは地図を見ながら言った。
セロは警察官の服装をトイレに捨て、警察を警戒しながら歩き始めた。
「見つかったらどうするの?」静は歩きながら聞いた。
「そいつのパトカーを奪うまでだ!」とセロ。
「あなた何者なの?」鈴鹿は本に聞いた。
『俺は本だと言う事と女の血が大好きだと言う事しか分からない。』
「へえ~もうしゃべらなくていいよ・・・」星羅はゴミを見るような目で本を見た。
『違う違う!表現の誤りだ!魔力を補充するのに必要なんだよ!』
「どうしてこの世界にきたの?」鈴鹿は聞いた。
『さあな?覚えているのは転送魔法を使ったことだけ・・・何故使ったのかは分からない。』
「ただの本ではない事は分かるね。」と鈴鹿。
「うん、こんなにきもい本世界中探してもねいよね。」と星羅。
「そろそろつくから本を隠した方が・・・」と鈴鹿。
『隠すなら女性のパンツの下にっ!?』星羅は本を力強く閉じた。