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再序文 ― 十一月の物悲しい夜
チクタク、チクタク――
規則正しく時間を刻む針の音が響く中で。
「さて、さて。これにて幕は閉ざされた。
第一の式は証明されたし。
夢へ誘う夜の使者と、死者の女王を謳う者。
深淵より来たりしものらは、同じく深淵よりのものに討たれたり。
偉大なるかな【赤の女王】。偉大なるかな【時計人間】。
偉大なるかな【這い寄る混沌】。偉大なるかな【機紅の従者】。
全ては予定調和なり。全ては理路整然なり。
ここに新たに導かれし解を、次なる式に代入しよう。
我は数式を築くもの。我は糸を紡ぐもの。
最終定理の証明こそが、我が存在意義なれば。
次なる式を用意しよう。次なる幕を編み上げよう。
それのみが、我が愛の証明なり」
蜘蛛は嗤う。機械は笑う。
時計は時間を刻み続ける。
チクタク、チクタク――




