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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
五章 アクア編

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閑話 水着

 皆さんは『水着』と言う物をご存じだろうか。


 まぁ日本で生活していれば知らない者は居ない『制服』と並んで日本一、二を争う有名な服だと思う。


 水場で着るための服で、古くは1800年代に濡れても透けない服と言う物があったらしく、それより前になると全裸か普段着で水に入っていたと言われている。


 近年では運動や遊泳など目的に合わせて様々水着が存在しており、セパレート・ビキニ・ハイレグ・ブーメラン・スパッツなどなど、その種類はもはや誰も知り得ないほど多い。


 そしてその数ある水着だが、男性なら限界ギリギリの服を着る女性に狂喜乱舞し、女性なら鍛えられた筋肉を持つ男性を見放題な状況にやはり狂喜乱舞する。


 すなわち『水着』とは、人類が欲して止まない理想の服装なのだ。



 そんな人類の英知が集まった服『水着』は当然アルディアにも存在した。


 しかし思い出してもらいたい、アルディアの下着はブルマ。現代と同じ水着であるはずがない。


 ならばブルマで泳ぐのか?


 否だ。もちろん布を巻いたフンドシでもなければ、貝殻ビキニでもない。


 アルディアの水着は言ってみれば『ポンチョ』だ。


 ポンチョで伝わりにくいなら、テルテル坊主の下の部分と言えば理解できるだろうか。顔だけ出して、首から下にスカートを身に付けたようなアレだ。


 海にいる魔獣の中には、伸縮性のある皮が採取可能なヤツがいるらしく、その半透明な皮に布を張り付けて水着の完成である。皮だけだと肌が痛むし、丸見えらしい。


 この水着、体にピッタリ張り付く上にズボン加工なので、どこから見ても中身は見えない残念設計。



 何故、俺が水着の話を突然し出したか?


 そんなの海水浴をするからに決まっているじゃないか!




 昨日の晩。

 夕食を食べ終えた俺は『浜辺があるのに泳がないのは勿体ないじゃないか』と思い立って海水浴を提案しようとした。


 が、その前に確認するべきことがある。


「水着ってあるのか?」


 アクアでも見かけなかったので、もしかしたら存在していないのかもしれない。


「ありますよ。体に張り付く防水の衣類が売られていると思います」


「泳ぐんですか~? 私達も午前中なら空いてますよ~」


 フィーネとユキはロア商会の方で忙しいからな。



「泳ぐ・・・・ニーナ泳げる?」


「やったことない」


「私も」


 ヨシュアは泳げるほど大きな川がないから、結構な人が泳いだこと無いんだろうな。もちろん俺も無いので、この体が沈まないか少し心配だ。


「う・・・・み、水着。最近お腹がちょっと・・・・いえ、まだ大丈夫よね?」


 母さんは己の腹の肉を気にしている。


 これは普通の水着があるのか? だってスタイルを気にするって事はビキニタイプとかだろ?


 俺の想像より文化が進んでいるのかもしれない。エロは強しって事か。




 そんな俺の考えは翌日ぶっ壊された。


 そりゃそうだ。商店街を歩いたにも関わらず、地球と同じような水着は見なかったんだ。


「水着? これ水着? マントじゃん! ポンチョじゃん!!」


 水着売り場にやってきた俺は、フィーネから目の前にあるポンチョが水着だと言われて絶望した。


 たしかにこれなら何度も見ていた。でもこれが水着だったなんて気付くわけがない。


 商店街で水着を選んでいる母さん達を他所に、俺はフィーネに問い詰めた。


「いえ、これが一般的な泳ぐための水着ですよ。ルーク様はどの様な水着を想像されていたのですか?」


 下着もそうだけど、なんでアルディアの肌着って野暮ったいかな~。


 俺は地球の水着を説明してみた。


「なるほど、ほぼ下着ですね。見せるための物ですか・・・・海水浴はそれほど人気がある遊びではないので、難しいかもしれませんね」


 フィーネから魔獣の危険・薄着になるデメリット・泳ぐ意味などを聞かされて納得してしまった。


 海水浴って金持ちの娯楽だもんな。そんな事するぐらいなら貝でも拾うよな。



 俺のビキニ量産計画は当分先になりそうだった。



「どうしよう・・・・このポンチョを着た女性陣を見ても全く、まっっっったくテンション上がらないんだけど。海水浴中止しようかな」


 発案者の俺が中止を宣言しようとすると、アリシア姉から殴られた。


「なんでよっ! 泳ぐ練習できていいじゃない。なに? この水着が気に入らないの?」


 その通りだよ。


 海に来て、女の子がどんな水着で登場するのか楽しみにしてたら、全身フルアーマーで色気もポロリ要素も一切ない、むしろ普段より厚着だった時の気持ちがわかるのか!?


「じゃあルークはどんな水着がいいのよ?」


「これ、ダメ?」


 俺に水着を選んで欲しいのか、ニーナが水色のポンチョを持ってきた。



 丁度いい。俺のビキニ愛について語ろうか。


「まず必要なのは露出だ。普段は見れない部分を惜しげもなく晒し出すことで『へぇアイツこんなにスタイル良かったんだ』『〇〇君の腹筋すごーい』など一盛り上がり。

 次に薄い生地。水場以外なら犯罪になるほどギリギリな服であり、当然見る側としても少なからず邪な期待をしてしまう素晴らしい恰好だ。昔から必ずと言っていいほど盗撮犯が現れるが、それは同時に罪を犯してでも残すべき瞬間がそこにはあると言う事を意味している。

 さらに忘れてはならないのは獣人の存在だ。俺の考えではビキニの下には尻尾を出すための穴が空いてるのではなく、お尻上部にあるU字に尻尾を乗せてベルトでずれない様に固定するタイプ。これにより汎用性が広がり、各種獣人に対応することが・・・・・・しかも・・・・・・・で、あるから・・・・・・・・・」



 おっと、つい熱くなってしまった。


 俺の説明でビキニの素晴らしさが理解してもらえただろう。さぁレッツビキニ!


「「・・・・・・zzzz」」


「寝るなよっ!!」


 どこだ、どこから聞いてなかったんだ。そんなにつまらない話だったか? アルディア初のビキニを着用する権利を上げようと思ってたんだけどな。いや作ってないけどさ。


「ルーク達も早く選びなさい。なんでアリシアとニーナは寝てるの?」


 聞いてくれよ母さん。アリシア姉が俺を殴ったんだ。


 俺がもう一度ビキニについて語り始めようとすると、横からユキが口出しをしてきた。


「ルークさんの気持ち悪い性癖が露呈しただけですよ~」


「またなのね・・・・どうしてこんな子に・・・・・・」


 なんで母さんは悲しそうな顔をして、憐れむような眼で俺を見るの?


 そして俺は大らかなユキにすら気持ち悪いと思われたの?


 そ、そんな事ないよなフィーネ?


「えっ!? あ、は、はい。私はビキニを着てみたいと思いましたよ。

 (ぼそっ)ルーク様と2人きりの時だけなら・・・・」


 くそっ! 天才の発想は誰にも理解されないのか!


 絶対に、絶対にビキニも下着も広めてみせるからなっ! 覚悟しとけ!!




 それから俺達はポンチョ、いや水着を買い、泳ぐために砂浜へとやってきた。


 俺達の目の前には海が広がり、水着を着た老若男女数十人がそれぞれに海水浴を楽しんでいる。


「割と人が居るんだな。さすが夏場の海ってか」


 男性用としてパンツルックが売られていると思ったけど、そんなことはなかったので諦めてポンチョを購入して、今、身に付けている。


「初めて着るけど、なんかピッチリして気持ち悪い・・・・」


 水着の絶妙なフィット感が気に入らないらしく、テンションの低いアリシア姉は真っ赤な水着姿だ。本当に赤が似合うお姉さまだ。


「・・・・子供じゃない・・・・子供じゃない」


 店員から俺と同い年と思われて年少サイズの水着を手渡されたニーナは黒い水着を身に付けて落ち込んでいる。ちなみに尻尾があると言ったら、店員がその場で穴を空けてくれた。


「ね、ねえ。大丈夫よね? 二重腹になってないわよね?」


 体のラインがもろに出る水着なので、普段の贅沢な食生活が一目でわかる恐ろしい服なのだ。大丈夫だよ母さん。アリシア姉とお揃いの赤い水着を着こなせてるって。


「エリーナさん、似合ってますよ~。大丈夫です~」


 ユキが変わる事のない抜群なスタイルを見せつけながら母さんを慰める。水着はもちろん白。でも気に入らなかったのか、自分で雪ダルマのマークを魔術で張り付けていた。


「この中で泳げるのは私とユキだけですか」


 本命フィーネはニーナと同じく黒色の水着だ。いつも緑なので今回もそうだろうな~って思ったけど、黒も好きらしくそっちを購入した。



 と、水着を紹介したわけだけど、スタイルがわかるだけで肌色成分少な目なのでこれ以上話すことがない。


 俺が普通に泳げた事、アリシア姉は息継ぎが出来ずバタ足だけで泳いだ事、ニーナが泳げずネコかきを教えてあげた事ぐらいか。


 俺がつい「日差しは肌の大敵だ」と言ってしまったので、母さんは屋根のある店から一歩も出なかったし、フィーネとユキは普通に海水浴を楽しんでいた。



 今回の海水浴で思った事。


「ビキニを作ろう」

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