表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
四章 スラム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/1659

四十一話 神様リターンズ

「お久しぶりです~」


 目を開けると、やっぱりと言うかアルディア様が居た。


 会えると思っていたので動揺とかは特にない。


「お久しぶりです。俺からすると5年ぶりですね」


 お、今度は最初から声が出るみたいだ。




 アルディア様は今回ちゃんした神託用の衣装に身を包んでいる。

 

 なんか女神の仕事と休日の両方を見てしまったようで若干気まずい。


 どっちのテンションで接すればいいんだろう、迷うわ~。


「前と同じで良いですよ~」


 だから心を読まないでくださいよ。前も注意したでしょ!



 今回は神託を授けるらしいけど、時間があるのでゆっくりしていくように言われた。


 時間がある? 暇なだけだろ。今日はアニメ見なくても良いのか?


 まぁゆっくりしていけと言われればゆっくりするさ。神様と話すの楽しいし。と言うか精神世界にも時間の概念なんてあるんだな。




「やっぱりアルディア様ってユキに似てますよね」


 前々から思っていたが、雰囲気も喋り方も姿も似ている。


「まぁ精霊って私と同じ存在ですからね~。似ているのは当然ですよ~」


 同じ存在って事は、精霊が集まってアルディア様が生まれたのか、アルディア様が精霊を生み出したのか、どっちが先なんだろうな。鶏が先か、卵が先か、みたいな難問だな。


 案外アルディア様も昔は精霊でユキみたいな存在だったのかもしれない。長い年月をかけて神様に昇格したとか。


 俺の予想通りならユキが神様になるのか。


 別に問題ないだろうけど「雲に乗って旅したいんです~」とか言ってずっと地上に降臨してそうだ。それは神様として致命的な気がするから、やっぱり問題あるな。ユキは神様には向いてない。




 俺が精霊と神様の関係性について考え込んでいると、アルディア様から別の話題が提供された。


「この前、ニーナさんに会いましたよ~」


「え? 5歳以外でも会えるんですか?」


 5歳になったヒカリじゃなくて、8歳の(と言うことにしている)ニーナに会ったらしい。少なくとも彼女は5歳ではない。


「私の気分次第です~。ニーナさんにはしっかりと神託を授けましたからね~。フフフ~」


 内容は教えてくれなかった。なんで笑ってんだよ。


 ニーナも言ってくれたらいいのに・・・・帰ったら聞いてみよう。


 わざわざ神様が会いに行くって相当なことだと思うし。




 その後、アニメ話で盛り上がった。


「え! あれリメイクされたんですか!?」

「来季から放送開始ですよ~」


 俺が子供の頃に放送されていたアニメが40年以上経って新作になるらしい。すごく興味ある。


「あ~、やっぱりあのマンガ打ち切りか~」

「アニメ化も失敗しましたからね~」


 円盤が売れなかったらしい。原作も結構グダグダな展開だったから仕方ないか。


「最近は音楽系とか、ほのぼの系のアニメが流行ってますよ~。例えば・・・・」

「俺が死んでからそんな面白そうなアニメが!?」


 ここ数年は面白いアニメが豊富だと言うアルディア様。俺はほのぼの系が大好きだ。


 見たくなるじゃないか・・・・定期的に祈りに来て詳しく聞くか? ありだな。年一、いや半年に一度ぐらいは会いに来よう。




「さてルーク君・・・・呼びづらいですね~」


 ほっとけ。同音が続くと噛みやすいけど、神様ならそれぐらい頑張れよ。


「あなたに新しい能力を授けましょう~」


「ありがとうございます! やっとですね!」


 前回くれれば良かったのに、なんでだろう。



「能力は・・・・・・好きなモノ1つです! なんでもありですよ~」


「は?」


 チートすぎるだろ。


「本当になんでも?」


「なんでもです~。ユキみたいに精霊化とかどうです?」


 ありだな。ユキは毎日が楽しそうだし、俺が精霊になっても絶対に楽しい。



「無限の魔力とか最強の武具はどうでしょう~?」


 素晴らしいな。最強の冒険者として名を馳せるか。



「地球を覗き放題な眼なんてのもありですか~?」


 なるほど、気になるアニメをチェックしたり知識の強化でさらなる無双か。



「いっそ回復魔法で死者蘇生でも~」


 神をも恐れない行為だな。RPGの定番職業の中ならヒーラーが一番好きなんだよな~。


 次々と魅力的な提案をしてくれるアルディア様。



 でも俺の答えは決まっていた。


「能力いらないです」





「それで良いんですか~?」


「現状で困ってることはないですし、能力もらっても仕方ないって言うか・・・・」

 

 一応喜んでみたけど別に必要ないんだよな。


「え~。転生の時はあれだけ能力寄越せって叫んでたじゃないですか~」


 たしかに前回は神様に復讐を考えたほどだ。


 でも特殊能力が無いなら無いで十分生活できてるから問題なかった。


「転移魔法とか便利ですよ~? 魔力強化するだけでも違いますよ~?」


「いえフィーネやユキが居るんで」


 俺に力が無くてもみんなが居る。



 今までなら飛びついたであろう好きな能力をもらえる権利。


 でも考えてみると使い道のない力だった。俺が欲しいのは世界を良くするだけの力だ。


 そしてそれは今でも十分に出来ている。と思う。




「なら魔力を食料に変える力とかいかがでしょう?」


 餓死が無くなる世界か・・・・たしかに必要ではある。


「でも俺が死んだらまた元の困窮した世界ですよね」


 それでは意味が無い。


 ヒカリ達に出会って思い知ったんだ。


 どうやったらみんなが幸せになれるか、必要なのは俺じゃない魔道具だ。



「・・・・本当にいいのですか?」


 なんで真剣な顔してるんですか、止めてくださいよ。今までとの落差が激しくてついていけなくなりそうだ。


「はい」


「後悔はありませんね?」


「はい」


 嘘偽りない本心だ。


 今までのアルディア様はどこへ消えた? すごく神様っぽいんだけど。





「ウフフフフ~。良いですね~。

 思ったよりも成長してるじゃないですか~」


 おバカなアルディア様が帰って来た。


「誰がバカキャラですかーっ!」


 いや、ユキと並んでバカ筆頭でしょうよ。



 それより俺を試していた? 最初に能力を与えなかったことが?


「なんですか成長って?」


「転生する前なら自分で能力を選んでいたでしょう? じっくり考えて役立つ能力を探したはずですよ~」


 俺もそう思っていたけど見抜かれていたらしい。


「それって贅沢な考えなんですよね。能力を使って便利にしたい、活躍したいって。

 そんなこと言う悪い子はウチの子じゃありません! そんなに羨ましいならよその子になりなさい!」


 世界を良くするために送り込まれたはずの俺がその思考だったらしい。


 ってか、あんたん家の子じゃないし。



「でも今のルーク君の思考は『世のため人のため』それって神様っぽいですよ~」


 単純な自己犠牲じゃなくて世界を変えるために努力する精神、か。


 転生する時に俺が思っていたことだけど、出来ていなかったらしい。けどヒカリ達と出会って考えが変わって精神的に成長したって事か。



「もしも俺が飛びついていたら?」


 少し気になったので聞いてみた。


「もちろん魔力は封印で身近な人々は離れていき無能者として貧困に嘆きながら生きて、転生もせずに消滅ですよ~」


 表現が怖いんだよっ! 普通に「能力無し」って言えば良いじゃないですか。



「じゃあ神様の試験は合格ってことですか」


「もちろん合格ですよ~。ハナマルあげます~」


 そう言って額にハナマルを書かれた。


 アルディア様が鏡を出してくれたから見たけど、本当に赤ペンでハナマル書かれてたよ・・・・消えるんだろうなコレ。


 意識が戻ると神殿には額にハナマルを付けたルークが居た。そのハナマルは聖印とされ、そして彼は神から直接能力を授かった聖者として神殿で生涯祈り続けるのだ! みたいな展開は絶対嫌だからな。


 まぁ精神世界の出来事だから肉体には影響ないと思うけどさ。



「じゃ元々あげる予定だった能力を授けますね~」



 あれ? 能力くれるの?


 ハナマル以外に能力ももらえるらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] アルディア世界の精霊は、アルディア神様の影法師 [一言] なるほど、確かにそれは説得力がある
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ