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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
二十六章 エルフ王国編Ⅱ

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四百九十八話 かくし芸2

 ユキ・フィーネ・アリシア姉・ヒカリと芸を披露していき、一部を除いて大変素晴らしい盛り上がりを見せるかくし芸大会。


 続いては、ミナマリアさんと最も親睦を深める必要があると言っても過言ではないセイルーン王国第4王女イブの番だ。


「これ、木の実で作った魔道具。どうぞ」


「あ、ありがとう……で、これは何かしら?」


 何も言わずミナマリアさんにドングリ(にしては超デカイけど)を手渡すイブ。


 言葉足らずな彼女の代わりに説明させてもらうと、彼女は食後のちょっとした時間を利用してこれをコマのように回して遊ぶ魔道具を作り出していた。


 俺がトイレに駆け込んだ時、廊下の隅っこでコソコソしていたので声を掛けると、色々教えてくれた。


 実はこれと同じ物を俺も昔作っているので(ロア商会で銅貨5枚で販売中)、自分ならこんな短時間で作れるというアピールも兼ねた俺をリスペクトしたもののようだ。


 何故イブが遊戯内でも遊戯外でも争いしか起きない野蛮な遊具を作っているのか不思議だったけど、その理由を聞いて納得した俺はそのままサラマンダーとの会議に入ったのだった。


「……? これは魔力で回転させる遊具」


 ほらな。


 まさか聞かれると思っていなかったのか若干間がおかしかったけど、そういう少女なので許してあげて欲しい。


「へぇ~」


 その答えに対し、ミナマリアさんは感心したような声を出そうとして失敗。贈り物をされた女王として(というか人として)どうかと思うような落胆の声と共に、実際にコマを回してみようと慣れた手つきで魔力の紐を巻いていく。


 本人の手前遊ばないわけにもいかないのだろう。


「昔からこの里には『コマの実』という溝が入っていて大変巻きやすい木の実がありまして、似たような遊具が存在しているのですよ」


「じゃあそれ出せよ! なんで俺の発明品を流行らせてんだよ!」


「商売とはそういうものです。その実もこの近辺でしか手に入らないので販売するほど数は揃えられませんよ、ふふふふふ」


 と、悪い笑みを浮かべるフィーネ。


 これ、その気になったら絶対手に入ったやつや。


 まぁ俺の方は魔力を込めたら加速させられるし、教育的な意味でも上位互換ですけどね!


 となると当然イブの作ったコマも……。


「違う。魔力を込めれば良い」


「あ、そうなの?」


 やはりそこまで再現していたようで、ミナマリアさんは言わるがままに紐を魔力に戻し、水切りでもするように投げ――、


「込めるだけで良い。5秒後に回り始める」


「や、やるじゃない……」


 思ったより凄い遊具なことにコマの評価を見直したミナマリアさんは、魔力を宿したコマを床へと放った。


 ただ俺は感心するミナマリアさんとは違って下げる方向で見直してしまう。


 対戦モノにおいて勢いってのはとても大切で、『うりゃああああっ』という掛け声と共に盛り上がるものなのだが、イブのコマは回り始めるまで数秒の間があることで『……あ、回った』と一瞬の沈黙が生まれている。


 今がまさにそうだ。


 これは他者と争うコマとして致命的な欠点。欠陥品と言っても良いだろう。


 だから俺はあえて魔力伝導率の良い紐を使うことで魔力を込めた瞬間に回り始めるというコマにした。


 たしかに一歩間違えば回転しているコマが顔面や目を直撃して危ないので安全性はイブに軍配が上がるけど、それを差し置いても盛り上がりって大事だと思うんだよ。



 シュル、シュルシュル。


 などと考えている間にコマはゆっくりと回り始めた。


「「「…………」」」


 そして案の定、微妙な空気になる一同。


 短時間で作ったにしては上出来だよ、と慰めようとした――次の瞬間!


 ヴォォ~~ン。


「なんか出たんだけど!?」


 勢いを増したコマの上に、緑色の妖精……いや、手のひらサイズのエルフ? が現れ、俺達を驚かせた。


「魔力を具現化させる魔道具。意識すれば姿は変えられるけど、無意識ならその人の魔力の色や形が現れる。

 あと少しなら意図的に動かせる。観戦するならコマのぶつかり合いじゃなくて人のぶつかり合いの方が盛り上がるから」


 そんな俺達のリアクションを見て嬉しそうに微笑むイブは、私なりのアレンジを加えてみた、と言いながら随分と戦闘狂寄りの思考で語る。


「これ凄くね!? え、俺達のも出んの?」


「出る」


 映像と魔力分析の分野では俺よりイブの方が先を行っているようだ。それも圧倒的に。


 当然のように皆が試したところ、イブは光の天使、アリシア姉は火竜、ヒカリとニーナは自分に似た猫、フィーネはミナマリアさんと同じく小エルフで、ユキは雪ダルマ。


 で、俺はと言うと……。


「アルディア様?」


 あの短時間ではそこまで作りこめなかったのか、元々具現化の限界なのか、現れたのは俺の知っているボサボサ頭のアルディア様ではなく像にもなっている神様で、像を見たことある人ならわかるかな~ってぐらいのお姿だった。


「なんで神様が出てくるのよ?」


「そだね。ルークなら絶対獣人が出てくると思ったのに」


 これに反応したのは俺が預言者であることを知らないアリシア姉達。


 割と居るみたいだし、そこは隠さなくてもいいだろう。


「俺もミナマリアさんから聞いたばっかりなんだけど、俺って神様から神託授かりやすい『預言者』とかいう人種(?)らしいんだよ」


「予言者? 何アンタ未来予知とか出来るわけ?」


 その辺は俺がもうやったからカットで。


 あと皆の興味がイブのコマから俺に移っちゃってゴメンな。



「ふ~ん、なら将来は神父になれば安泰じゃない」


 話を聞いた少女達の反応は大体こんなもんだった。


 ニーナやミナマリアさんも会ったことあるみたいだし、そんな驚くようなことでもないんだろう。


 あと勝手に将来決めんな。俺にはロア商会で世界を復興するっていう目標がある。


「ヤだよ。たまに神託授かるだけで偉そうな顔すんの。別に有益な情報とかもらえないんだぞ?」


「そうなの? 神様って無意味なこともするのね。暇なのかしら?」


 天罰……はあの性格だから下しそうにないけど、それ言うと怒る人も居るから気を付けろよ。使えない情報与えられた神父さんとか日々悩んでるかもしれない。


 で、それが神殿関係者最大の秘密だったりするんだ。


「ってアリシア姉、“予言”なんて言葉どこで覚えた?」


「は? なんで知らないのよ。神殿で一番偉い人が予言者なんて常識でしょ」


 はいっ、お姉様が今フラグ立てましたー。わたくし、超ド級の強者が現れるの予期しましたー。


 俺はそのいつか訪れる出会いに恐怖しながら生きていくことになる……。



 ちなみに俺からアルディア様の情報を引き出したイブのコマは、フィーネ達みたいな強者が精霊溢れるエルフの里に集合していたから起きたものらしく、普通にやったら色付きのゴチャゴチャした何かが出てくるとのこと。


 本気でどうしようか悩んでいた俺にユキが教えてくれた情報だ。


 その時のセリフや状況をまんま再現するなら。


「面白いですね~。潜在意識にある映像を呼び出すわけですね~。

 私の雪ダルマってさっき皆さんと戦っていた時に使った技の子ですよ~。ほら、目元が特徴的でしょう?」


 新しく生み出した雪ダルマと何が違うのか全くわからないけど、取り合えず安心しても良い……かな?


 って感じ。


 自分で作っておきながらここまでのクオリティになるとは思っていなかったのか、それを聞いたイブも残念そうな顔で悲しんでおられた。


 とにかくこのコマという名の嘘発見器はこの里じゃ色々と危ないのでミナマリアさんに厳重に管理してもらうことにして、


「イブさん、実は私前々からヴァーチャルリアリティというものを作り出そうと思っていまして」


「……?」


 数十年後、もし映像革命が起こった日がいつか聞かれたら俺は今日と答えるだろう。




 なんやかんかあってかくし芸をやる空気じゃなくなったけど、何故か自信満々でやりたいと言うニーナの下、俺達は無理矢理この親睦会を再開させた。


「ニーナに出来るのか?」


「む……失礼。わたしは神獣。すごいこと出来る獣の神様」


 そう言って彼女が披露したのは、


「変☆身っ」


「ヒャッハー!! 神猫様のお出ましだぁぁああああああああああああああっ!!!」


 イブのコマと同じように、精霊溢れるこの場なら自由に大人の姿になれると思ったようで、元に戻った時に魔力が使えないなどのデメリット無しで変身を遂げた。


 見た目はダントツで好みなのだ。幼い頃にラブホに入ろうか本気で悩んだ俺としては歓喜しかない。


 肩や背中が丸出しのドレスもこのお姿なら最高に似合っている。というかエロい。エロ過ぎる。


 ロリボディにピッタリだったのに、身長40cmアップしちゃった日には……もう……っ!


 ボディコンも真っ青な膝上30cmの激ミニ、平坦でありながら平坦ではない突起に目が行ってしまうセクシーコマンドーだっ!


 それに加えて見事な変身ポーズ取ってんだぞ!? 『斜め上にあげた両手を回す』っていうラジオ体操とかに入ってそうなポーズ! そりゃ肩ひもだけで支えられてたドレスはエライことに!!


 エロティカルパレードの真っ最中だっ!!!


「「「……せっ」」」


 ブスッ。


「ギヤァァアアアアアアアアアア!? 目が、目がぁぁぁっ!!!」


 俺が床をのた打ち回ってる間にニーナの演目は終わっていた……。


 何をしたのか誰も教えてくれなかった……。



 だが悲しみに震えている暇はない。


 いよいよ俺の番が回ってきたのだ。

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