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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
四章 スラム

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三十六話 猫とお風呂

フフフ。予約投稿を覚えましたよ。

これ便利ですね。

 ニーナ達が意識を取り戻した翌日。


 俺にはやらなければならない重要な任務があった。


「フィーネ、ユキ。間違いなく3人の怪我は完治してるんだな?」


「はい。無理な運動は出来ませんが、外傷は無くなっています」

「私も保証しますよ~」


 そして俺は朝食を取った後に客間を訪れた。


 昼からリハビリ予定の3人はそれぞれに部屋で休憩している。



「じゃあ3人ともお風呂に入ろうか」



 風呂は『心の洗濯』とも言われる素晴らしいものだ。


 3人をいつまでも汚れたままにしておく訳にはいかないので、綺麗に洗おうと前々から考えたのだ。


 もちろん俺が洗うつもりだ。


 朝食も元気に食べていたし、入浴しても問題ないだろう。



「「「お風呂って何?」」」



 スラムの生活しか知らない猫達が風呂を知らないのは当然の事だった。


 と言うわけで、オルブライト家の誇る異世界技術たっぷりのお風呂場にやってきたルーク達。


 初めて見る風呂に猫達はまちまちの反応をする。



「あんまり体を洗うのは好きじゃないニャ~。どうしても入るニャ?」


 母猫のリリが嫌がっている。やはり猫だから水場は苦手みたいだ。


 とは言え、汚れているのは自覚していたのか服を脱いでいく。


 風呂場を見たリリはすぐに体を洗う場所だと気づいたようだ。

 さすがに長い人生(猫生?)の中で様々な汚れの落とし方を体験しただけはある。堂々としたものだ。



「いやー」


 ニーナは服を脱ぐのすら嫌がり、爪を立てて抵抗される。


 しかしおそらく数年は洗っていないであろう体からは、乙女が漂わしてはならない臭いがする。仕方ないのでリリと協力して脱がして風呂場に放り込んだ。



「おふろ~。おふろ~」

 

 ヒカリは初めての入浴を楽しみにしているのか、パパッと脱ぎ捨てて入っていく。


 彼女はどうも猫っぽくない。俺の勝手な偏見だけど犬っぽい気がする。父親が犬人族とか? さすがにリリに確認はしないけど、猫と犬のハーフなのかもしれないな。




「あー、朝風呂最高。

 ほら大丈夫だろ、じゃ洗うぞ」

 

 初めての経験に恐怖する3人のために、俺がまず入浴手順を説明して湯船に浸かった。これで緊張しないだろう。


 次はいよいよ3人の長年の汚れを石鹸を使って落とす。



「アタシは大丈夫ニャ、背中は流してもらえたら嬉しいニャ」


 さすがに人妻を全身洗う度胸はないので、背中だけ流して早々に退散。


 リリは猫人族だからなのか、エル並みにペタンコだったよ。いやスレンダーな種族と同じレベルのエルがドンマイなのか・・・・。



 問題児に取り掛かる。


 猫人族は頭上の耳と尻尾があるぐらいで見た目は人間と変わらない。手足に魔力を込めると爪が強化されて伸びるぐらいか。特技は『ひっかき』らしい。

 


「観念しろニーナ。綺麗になるまで洗い続けるからな。逃げられないぞ」


「フー!」


 威嚇してくるニーナを捕まえて頭や体を石鹸で泡だらけにする。


 なんか俺に対しては初めて会ったときから色々な感情を剥き出しにしてくるな。


 感情を覚えて普通の生活が送れるようになる日も近いのかもしれない・・・・けどなんでこんなに嫌われてるんだ、俺? 何もしてないんだけど? いや今は触りまくってるけどさ。



 ケモナーたるもの、初めて会う獣人は調べる義務がある。


(フム、頭の上だけに耳があるタイプの人型か)

ギャー


(尻尾は・・・・・・おぉ! 猫と変わらない感触だ。フワフワだけど芯があって・・・・お、やっぱり自分の意志で動かせるんだな)

はなせー


(お尻の付け根から生えてるんだな。尾てい骨の周りも毛深いな)

ひぃっ


(体は痩せてるな、栄養不足だ。たくさん食べてもらおう。少なくともアリシア姉ぐらいには成長しないとな)

ザシュッ



 綺麗にするという大義名分でニーナの全身を触って調べるルーク。


 立派な変態だった。


 さすがに大事な部分は自分で洗わせ、ひっかき傷と噛み傷によって全身がボロボロになったルークは次に移る。



 ヒカリも同じように嫌がって暴れるかと思ったけど、呆気ないほど簡単に綺麗に出来た。


 全くの無抵抗で、むしろルークとの触れ合いと泡の感触を楽しんでいるほどだ。


「お客さん痒いところはありませんか?」

「こっち~」


 自分で頭を動かして掻いて欲しいところに持っていく。


 なんとなくユキに近い雰囲気を感じる子だ。耳を洗うと小刻みにプルプル震えて水気を払っている。可愛い。


 俺は「犬派か猫派か」と質問されれば「愚問だ」と答える。可愛いものに上下なんて存在しない。全てを愛でて、全てを大切にするべきだ。


 『YES ケモナー! NO 区別!』




 我が家の風呂場にはオモチャがある。


 魔力で動く魚型の木製遊具で、尻尾が上下左右にランダムで動いて水面を泳ぐ魔道具だ。お風呂場が楽しくなればと思って作った物だけど、アリシア姉が叩くからよく壊れる。


 ヒカリが喜んでくれるかな~と思って起動してみたら、リリとヒカリが全力で狩りをし始めたので止めた。


 だって魚をジッと見つめて、瞳孔も開いて完全に臨戦態勢なんだもん。獣の本能が刺激されるオモチャだったようだ。


 ニーナは興味が無いフリをしていたけど、魚が方向転換する度に耳がピクピク動いていた。参加したいけど俺が見てるからクールぶっている。

 これが俗にいうクーデレか。




 4人でゆっくりと風呂に浸かって数年分の汚れは無くなった。


「な? お風呂って気持ちいいだろ? 全身綺麗になったじゃん」


「ニャ~。どうも全身を水に入れるって言うのがニャ~」


「・・・・・・」プイッ


「私好き~」


 ニーナは怒っているけど3人とも拒絶するほどではないので、今後も入浴してくれそうなので一安心。


 第一印象で風呂が嫌いになると、汚れた姿で生活してしまうかもしれないからな。




 親睦を深めたところで今後の予定を決める。


「じゃあリリは筋力が戻ったら仕事をしたいと」


「そうニャ。少し歩いたら倒れそうだったニャ。手先は器用だから何かさせて欲しいニャ」


 リリは料理とか出来るのかな?


 出来るなら食堂と孤児院を作りたいから助かるんだけど・・・・建物は大人達が交渉中。



 汚れを落としてハッキリわかったけど綺麗な人だった。


 25歳で家族はヒカリだけ。父親は亡くなっているらしい。

 黒の猫目の茶トラ猫だ。実際は5年近く固まっていたので20歳の見た目だから、母さんが羨ましそうな視線を送っていた。


 さすがに石化したいとは言わなかったけど「女性の夢がここにある。なんなのあのピッチピチな肌は・・・・」とか言っていた。


 リリが気にしてないから良いんだろうけど。




「ニーナは同い年のアリシアと一緒に過ごして色々経験すると良いよ」


 ニーナは生活に必要な知識を学ばないといけない。


 ずっとスラムと山奥で暮らしていた野生児で、一般常識が欠けているから覚えることはいくらでもある。


 学校以外ではずっとアリシア姉と一緒に生活することになった。


「よろしくね! 楽しい事たくさんしましょ!」


「よろしく」


 ニーナは8歳ぐらいの黒猫だ。正確な年齢は不詳なのでアリシアと同じ8歳ということにした。


 風呂上りからずっとこちらを睨んでいる気がする。尻尾や耳を触り過ぎたのかも。


 反省はしない。次も触る。



「ヒカリはメイドになりたいのかい?」


「ルークのメイドするの!」


 ユキに似ているとは思っていたけど、同じようにやっぱり懐かれた。


 ヒカリは5歳の茶トラ猫で、魔力が使えないので近々5歳になるんだろう。病気じゃなければ5歳で絶対に魔力を授かる。


 目覚めた直後ですら元気一杯だったので今後さらに明るい幼女になるだろう。


 実は同い年の知り合いは初めてだったりする。


 まだ入学してないから同世代と話したことがなかったんだ。決してコミュ障とか引きこもりってわけじゃない。近所に同世代の貴族が居なかったから幼馴染が出来なかっただけだ。




 猫耳の母娘達と仲良くなって、同い年の猫耳幼馴染が出来た。


 完全にハーレムになっている気がする。


 神様ありがとう。本当に素晴らしい転生生活だよ。



 俺としては新店舗を彼女たちに任せるつもりだから、まず3人とも走れるぐらいには筋力付けないといけない。

 



 鬼教官フィーネ再び。


「あなた達の魔力は十分あります。しかし動かない期間が長かったので体の方がついて来ていません。必要なのは体力ですので庭をひたすら走ってください」


 治療した時、一緒に魔力についても改善したようだ。


(なんだよ、怪我を治したら強くなるってヤサイ人かよ。君たちはもう医者として世界中を巡ればいいよ)



ダダダダダ!


 3人が走る。体を鍛えようと思っていた俺も一緒に走る。


 俺はニーナより少し上ぐらいの体力だったけど、たぶん数日で追い抜かれるだろう。もしかしたらヒカリにすら負けるかもしれない。


 獣人は身体能力が高いので魔術も身体強化を主に使う。強化しか出来ないと言うべきだな。属性魔術とは相性が悪いらしい。


 ちなみに魔力を使ったニーナとリリは100mを10秒ぐらいで爆走していた。昨日まで死にかけてたのにこの運動能力。



 これで筋力が低下してるって、末恐ろしいわ。

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