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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
二十六章 エルフ王国編Ⅱ

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四百九十一話 森ガール

「――ってわけで彼女達、俺に会いに来ちゃったんですけど……このまま客人として里に連れて行っても良いっスかね?」


 俺が里に居ることは母さんから、場所や行き方はベーさんから聞き出したというアリシア姉達の事情聴取を終えた俺は、見計らったかのようなタイミングで現れたミナマリア女王陛下に許可を求めると、


「アリシア達はルナマリアもお世話になってるし、イブは精霊王への忠誠を誓う国セイルーンの王女。遅かれ早かれ出会う運命だったのよ」


 と、彼女は嫌な顔一つせず首を縦に振ってくれた。


 そうなるだろうと思いながら頼んだ身としては、突然の訪れたことへの謝罪や人員を割くことへの感謝を込めて礼を言うしかない。


「ありがとうございます。なんかスイマセン」


「ただし彼女達はルークと会うために来たんだから貴方が責任を持ちなさい。それぞれに案内人をつけてもらえるなんて思わないことね」


 あぁ……今すぐ帰りませんか?


 この面子でトラブルを起こさないとか知り合い全員が失笑するわ。もし賭けが出来るなら全財産を起こる方に賭ける。


「クララとか新キャラのフリーザ様とか、何なら俺につけているヘルガをまわすとか、結構手の空いてる人は居ると思うんですよ」


 てっきり個別で担当を付けてくれるものだと思っていた俺は、冷酷無比な女王を凝視して訴えかけた。


 いや……どうやらこの熱い気持ちは声となって俺の口から飛び出したらしく、ミナマリアさんは呆れたような顔で言った。


「別にそれでも良いわよ。でも今回みたいな暴走で被った損害は結局貴方に行くことをお忘れなく」


「…………やっぱいいです。案内人いりません」


「そ。貴方が論理的思考の持ち主で良かったわ」


 爆弾解除をプロ1人で全部引き受けるか、全く知識のない素人に任せるか。ただし素人は自ら爆弾を増やす可能性もあるものとする。


 そんなの時限式でなければプロに任せるに決まっている。プロ。すなわち俺。


 つまりもうすぐトラブルが始まる。




「ホンッット! すいませんでした! 二度とこんなことが起きないように厳しく言いつけておきますので!」


「なんで保護者みたいな言い方なのよ。買われた喧嘩はするに決まってるでしょ」


「『売られた』じゃなくて自分から売って受けてもらえたら喧嘩するだと!? 真っ当なようでいてただ喧嘩がしたいだけじゃん!

 いいから謝りなさい! って避けるなよ!? くっ……ぬっ……!」


「甘いっ、止まって見えるわよ! 修行不足ね!」


「…………フィーネさーん」


「それは反則でしょ!?」


 血気盛んな少女の頭を下げさせようとして失敗したので、フィーネにお願いして無理矢理下げさせ、俺を含めた全員で最後にもう一度迷惑掛けた守衛達に深々と頭を下げ、俺達は大樹を目指して森の中を歩き始めた。


 クロも居ることだし竜車で進めば早いんだけど、全員がこの移動方法を選択したのだから仕方ない。


 アリシア姉達はエルフという強者が育った環境に興味津々だし、ミナマリアさんも「週2でバーベキューは多い」と言っていたので道中で客人歓迎の儀(食材探し)を済ませることにしたらしい。


 たしかに彼女達の性格を理解するのにこれほど相応しいものはないので、俺も自己紹介を兼ねて時間を浪費することに異論はない。


「くっ……このっ……植物の分際で生意気よ! 大人しく殻に仕舞った果実出しなさいよ!」


「ふ~ん、ヘルガちゃんって幼く見えて随分年上なんだね~。そして強いんだね~。ふ~ん……へぇ~……」


「ルーク君、このワンパン君デストロイどう思う? 改善案があれば是非聞きたい」


「……お腹減った。でも雑草を食べるのは神獣としてのプライドが許さない」


 少女達は自由気ままにあっちこっち行く上に自己紹介も名前を言うだけという最低限なものだったけど、御覧の通り俺が語らなくてもどんな人物か一目瞭然だ。


 すなわち今この時間は俺にとって浪費以外の何ものでもない。


「アンタ苦労してるわね……」


「わかる? わかってくれる? そうなんだよ、コイツ等は1人2人なら大したことないけど、3人以上になると暴走し始めて収集つかなくなるんだよ。

 しかも基本的に合わないくせに、ちょくちょく意気投合して結託するから手に負えない」


 大家族の親ってこんな感じなのかなぁ、と物思いにふけりつつ、ルナマリアと苦労人談義に花を咲かせていく。


 実はこれでもユキやフィーネが中立なだけまだマシな状況なんだけどね……。



「ルーク! なに遊んでんの! 4日も暮らしたんなら説明出来るでしょ!」


「この辺、生態系違うから無理。でも基本的に魔力を与えれば食糧手に入る」


「なるほどね! ってなんで開かないのよ!? 私の魔力じゃ足りないっての!?」


 植物におちょくられるアリシア姉やエルフに感心のあるヒカリはどうしようもないので放っておくとして。


「ほら、これでも食べてな」


「……ありがとう」


 腹減りニーナに餌(食べれる果実)を与え、


「実は俺もここで色々面白い技術身につけてる最中なんだよ。

 もしかしたら一緒に学べるかもしれないからそこでゆっくり話そう」


「……ん」


 魔道具談義に入ろうとするイブを宥めた俺は、少女達がここへ来た経緯を詳しく教えてもらうことに。


 最初からやっとけよって話なんだけど、未知への好奇心が抑えきれなくてソワソワしっぱなしの少女達は一度発散させた方が良いのだ。


「俺は特殊な移動方法で時間短縮したけど、普通は1か月掛かる距離らしいじゃないか。お前等どうやったんだ?」


 イブやニーナは知らないけど、少なくともアリシア姉とヒカリは俺がスイちゃんと出会った日の朝、家に居た。


 さらにユキの言葉を信じるならその日の夕方も家で遊んでいる。


 いくら神獣と化したクロの足でも3日でここまで辿り着けるとは到底思えない。


「クロ君が転移した」


「……What?」


「グル~グルル~」

(あ、今ならイケる。時空の狭間に飛び込んだら国境超えてたんですよ~、ははは~)


 フィーネに訳してもらったけどやっぱりわからなかった。


 そしてこの雰囲気的に何かを隠している。


 地面を移動していた竜車を別の場所へ…………ベーさんか?


 最近話題沸騰中の怠惰の魔王様に行き方を聞いたらしいし、最後まで責任を……責任? あの人が? ま、まぁとにかく関わっていてもおかしくはない。


 だとするとクロが隠す理由は以下の何れか。


 1つ、気が付かない内に移動させられていて説明出来ない。

 2つ、ベーさんから秘密にするよう口止めされている、

 3つ、言えばアリシア姉達の不利益になる、または彼女達に知られてはいけない“何か”がある。


(……3っぽいな~)



 なんとなく事情を察した俺は、その推測を確かなものにするべく、さらに詳しい話を聞いていく。


「2人は仕事ホッポリ出して良かったのか?」


 素材調達が仕事のヒカリはエルフの里にしかない素材を取りに行くと言えば何とでもなるし、アリシア姉なんて旅するのが仕事みたいなもんだ。


 しかし王女のイブやウェイトレスのニーナは違う。


「先月ぐらいからルーク君の声が明らかに変わった」


「え~~っと……アリシア姉が帰って来たことが嬉し過ぎてハイテンションな俺に一言物申したくて王女の仕事を放り出してここまで来た?」


「少し違う。でも半分正解。本当は見せたい物があったから会いに来た」


 でも居なかったからアリシア姉達に乗せられて遠路はるばる別の王国まで来たと。


 あの返答から半分まで答えを導き出せた俺は探偵の才能があると思う。あと通話だけで俺の変化に気付くイブもか。


 まぁご両親への連絡はみっちゃんがしてるだろうし、セイルーン王族としてエルフと交流したいというイブ(正確には違うけど)を拒むことは出来ないので(たぶん)、長期滞在も問題ないことにしよう。


「んじゃあニーナは? 食堂の方は大丈夫なのか?」


「ユチと遊んだのにわたしとは遊んでくれないルークは悪い子。悪い子はおしおき……」


「…………で?」


「黙って来た」


 うん、間違いなく3だな。


 実は親公認だけど本人達は秘密の旅行だと思ってるからクロもそれに付き合っていると。


 もしかしたらベーさんが協力したのもその辺が関係しているのかもしれない。




 たまにチョッカイ掛けてくるアリシア姉を相手しながらさらに話を聞いていくと、その中に俺だから気付く秘密があった。


「……それ、みっちゃんに騙されたな」


「「「えっ!?」」」


 それは移動手段として空飛ぶみっちゃんではなくクロを採用したこと。


 たしかに結果的にはベーさんの転移によってクロの方が早かったけど、そんなことヨシュアを発つ前はわかるはずもないので、みっちゃんに頼んでいれば多少なりとも早く移動できたはず。


 にも関わらず何故そちらを選ばなかったのか尋ねると、アリシア姉達は口を揃えて「不貞腐れたから」と言い、誰も疑問を抱いていなかった。


 いつ子供が産まれるかわからないクロを連れ出すなんて鬼の所業はするクセに、そういう所には頭回らないんだよな……。


 俺は驚く少女達への説明を行うべく、呆れる心を仕舞い込んで話を続けた。


「この里は数年に一度っていう低頻度だけどセイルーン王国と交流があるらしいんだ。そして移動手段として安全・快適・早いと三拍子揃った古龍便を使わない手はない。

 だから王族と関わり始めて6年経つみっちゃんは何度もここへ来ていて、片道1か月掛かることも知っていたから今から向かっても無駄だとわかってたんだよ。到着する頃には俺達は帰ってるからな」


「つ、つまり……みっちゃんは……」


「そう! アイツは面倒臭がっただけだ!」


 俺は答えはわかっているけど信じたくないと震える唇で問うイブに真実を突きつけた。


 無駄とわかっていても旅行する気満々の少女達は止められない。


 だから自ら声を掛けれない状況を作り出して断った。


 我ながら完璧な推理!


「みっちゃん……」


「ふ、ふふふ……やってくれるじゃない……っ! あのクソ神獣、帰ったら48時間耐久の修行に付き合わせてくれるわ! もちろん環境整備から回復まで全部アイツ持ちよ!」


「いいね~いいね~。寝ても覚めても戦いだね!」


 ……もし本当に知らなかったらゴメンね。


 どんな名探偵にも間違いはあるのだよ。



「……また、わたしだけ…………ぐすっ」


 君はイブ達と比べたらみっちゃんと交流ないからね。


 怒ったところで何かするわけじゃないし、どうせ帰ったら休暇分タップリ働かされるんだから話に加われないよね。


 今回は友達の少ないニーナの自己責任だ。泣いても友達は増えないんだぞ。

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