表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十四章 激闘!? 7歳
319/1657

二百十六話 初陣

 始業式を迎えて2年生になったけど、『可愛い後輩が出来て嬉しい』なんて優越感に浸ってる場合じゃない。


 この数か月後には『ランキング戦』という恐怖の時間が待っているのだ。


 いや・・・・今の俺にとっては楽しみな時間か・・・・。


 ダンジョンで秘密特訓をして『最強の目』を手に入れた俺にとっては、な。


「ねっ、楽しみだよね!」


「・・・・まぁな」


 本当に楽しみにしているヒカリほどじゃないけど、最近ダンジョンだけでは物足りなくなってきたのでフィーネとユキに頼んで猛特訓してもらっている。


 この意味がわかるよな?


 特訓の成果を見せてやるって言ってるんだよ! (ゴワーーンっ!!)


 そんな鐘の音が俺の脳内に鳴り響く。気分はさながらバトル物の主人公。


「それって初日10分でギブアップしたアレの事?」


「・・・・・・はい」


 だって構ってもらえるのが嬉しかったのか知らないけど、対処できない魔術をバンバン撃ってくる最強組を相手に何をしろと!?


 気が付いたら宙を舞ってる体でどうしろと!?


 痛めつけるだけ痛めつけて「治療しました、はい続きから」なんてどうしろとっ!!?


 普通逃げるだろ?


 雪が多くてダンジョンまでの移動が面倒になったから家で鍛えられないかな~、と思って2人に頼んだら勝手に猛特訓させられただけだし。


 俺は悪くない。悪いのは手加減を忘れたバカ共だ。


 『せめて頭の中だけでも』と思って、強くなった主人公の雰囲気を醸し出してたのにヒカリのせいで台無しだよ。


 ただ盗撮・・・・いや、そこそこ強い連中のバトルシーンを撮影することに成功するぐらいには俺だって目を鍛えているから、それなりに善戦出来るとは思ってる。


 これは楽観じゃなくて事実だろう。



 それじゃあ本番行ってみようか!




 俺はランキング戦の当日になって戸惑っていた。


 学年別で日程が異なるので今日は俺達2年生だけが訓練場に集まってるんだけど、何やら特別な成績の決め方があるらしいのだ。


「今更ですわね・・・・おっほん! 良いでしょう、わたくしが説明いたしますわ!

 今回わたくし達が行うのは学んだことを見せる物、通称『中間』ですわ。ですから学期末に行う方『期末』に向けた予行演習と言えますわね」


 中間テストと期末テストって感じだろうか。


 勉学の成績は両方重要だけど、運動(ってか戦闘能力)の成績はルール無用の全力バトルをする期末の方が重要のようだ。


「交互に力を入れるか一点集中かは人それぞれだろうねぇ。

 ランキング戦は一度でも上位陣に食い込めれば名誉なことだし、勉強は将来役立つだけで名誉とは少し違う、難しい問題さ」


 一番良いのは文武両道。無理なら皆が手を抜く中間のランキング戦でいい成績を収めて、勉強は期末を頑張るとかかな。


 って事を周りも考えるだろうから、逆にしたら上位を取れたりするんだけどさ。


 まぁいくら考えても仕方ない。


 とにかく俺は戦うしかないのだから。



 なんて気楽に考えていたのも束の間。


 訓練場に入った俺はその迫力に圧倒される事になる。


「な、なんで中間なのに皆の目が血走ってるの? もっとほのぼのと楽しくやろうよ」


 訓練場には3つの舞台が用意されて3クラスごちゃ混ぜで抽選した相手と戦うことになっているんだけど、どいつもこいつも抽選前なのにやる気に満ち溢れていた。


 いや、やる気があるのは良いことだ。


 ただし闘志や殺意を持つのは違う。


 これ中間だろ? 手を抜くお遊びだろ?


「何故わたくしの説明の途中で移動してしまいますの!?

 これからが大切なお話でしたのに!」


「あ、まだ続いてたんだ」


 てっきり終わったと思ったから訓練場に入ったんだけど、無視されたと勘違いしたアリスが後から追ってきて、俺に掴みかからんばかりの勢いで怒鳴りつけてきた。


 どうやら彼女はこの熱気の理由を知っているらしい。


「ええ! いいですか!? 言いますわよ!? 言っちゃいますわよっ!? 言ってもよろしいんですのねっ!!?」


「はよ言え」


「ただし中間でも2年生だけは特別でね。

 上級生なら3月に行われた期末で実力がわかるんだけど、それが未知数な2年生は時期がずれ込んで4月に期末をやるようなものなんだよ。言ってみれば2年生に進級した時だけ期末が2連続であるって事かな」


「わたくしのセリフがっ!?」


 今まさに説明を始めようとした矢先、その役目をファイに取られてしまい泣き崩れるアリス。


 どんまい。


 まぁ慰める気もないから無視して話を続けよう。



「つまり全員が初陣だから少しでも目立とうとして必死なわけか」


「それと上級生へのアピールだねぇ。実際、先輩達が一番気になっているのは新しいライバルの登場だから。

 例えばヒカリみたいな子が居たら、ランキング上位者バトルで自分が負かされるかもしれないだろ? そうならないように情報収集に余念がないのさ」


 いや『かも』じゃなくて間違いなく負かされるんだけどさ・・・・。


 だけど納得したわ。ここで如何に良いスタートダッシュを切れるかで今後の学生生活に大きな影響を与えるんだろ。


 逆に俺みたいな平和主義者は、あの壁際で準備運動している落ち着いた連中の所に集まるんだろうな。


 だからさっきから舞台横で「どりゃぁああっ!」とか「きぇぇえええっ!」とか怒号を放っているやる気勢からとっとと離れよう。




 さてそんな話をしていたら抽選時間になった。


 番号が書かれた札を引くだけの簡単なトーナメント方式。


 とは言えヒカリとシィ以外に強い奴なんて知らないし、別クラスに至っては顔と名前が一致しないので知り合い以外なら誰でも良い。


「・・・・ホント誰だよ」


 そんな事を思ってたら聞いたこともない相手と対戦することになった俺は、情報収集のために皆への聞き込みを始めたけど全員知らないと言う。


「気にしても仕方ないな。ファイ、準備運動しとこうぜ~」


「いいよ」


 80人以上が1対1で戦うんだから、舞台が3つあるとは言え出番が来るまで相当時間が掛かる。


 だから今、場内では思い思いの待ち時間を過ごしているのだ。


 準備運動する者、試合を見る者、遊ぶ者、まぁ多いのはこの3パターンだろうか。


 学校に来るまで憂鬱で仕方なかったんだけど、なんだか体育祭みたいなノリで結構楽しいかも。


 いや今から殴られると思うと気は重くなるけど、授業時間に自由行動出来るってこう・・・・テンション上がるよな!



「俺アリシアさんに殴ってもらうし」

「俺も召喚獣と一緒に戦うし」

「エース君、ビィ君、2人ともがんばれ」


「まぁクラスメイトだし皆で頑張ろう。

 エースは将来後悔しないように一刻も早くその性癖を治せ」


 暇なのか俺に絡んできたABDトリオは適当にあしらい、準備運動をして体をほぐしたり、試合を観戦したりして時間を潰す。


 周りに強い連中が居るお陰で学生同士の戦いを見ても凄いとは思わなかったし、特訓の成果でほとんどの攻防を理解することが出来たのは自信に繋がった。


 2年生だから参考にはならないかもしれないけど、入学式での試合は一切理解出来なかった事から考えると成長したと言えるだろう。



「次、1組ルーク=オルブライト君。3組メイリン=ホルコットさん。1番の舞台へどうぞ」


「おっ、俺の番だ。行ってくるよ」


「「「ガンバレ~」」」


 ようやく名前が呼ばれたので舞台に上がると、審判をしていたのは見知った顔の人物。


「ってクリス先生かよ」


 我らが担任クリスティー女教師だった。


 女教師って言えば付加価値がついて結婚相手見つかるかもしれないだろ? 余計なお世話か。


 冗談はこれくらいにして、俺は即座に交代を要求した。


「審判に問題があるので別のステージで戦いたいです。

 アンタ算数の教師じゃん。危なくなっても助けられないじゃん。体育教師か獣人の教師にチェンジで」


「まぁまぁ。たしかに私の担当は算数ですけど、学校での審判資格は持っているので安心して戦ってくださいな」


 ・・・・まぁ危ない目に遭いそうになっても止めてくれると言うなら構わないか。


 よくわからないけどそう言う資格があって、学校の他には高校と大人の試合用の資格があるらしい。


 大人の試合・・・・なんかエロい。


 普通に考えれば世界大会とかそう言う審判用だろうけどさ。



「では試合始め!」


 エロいことを考えてたら俺の初めての試合が始まっていた。


 間違ってないよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ