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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十四章 激闘!? 7歳
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二百四話 召喚獣

 授業で『召喚獣』と聞いて真っ先に思い出したのはマリーさんとケロちゃんの事だった。


 イブから聞いた話ではマリーさんは俺と同じく召喚士の才能がないらしい。


 それでも彼女はケロちゃんを好きな時に呼び出せる。


 ユキが協力したから。


 学校での召喚には失敗したけど、俺だって同じようにしてもらえばマリーさんみたいにケロちゃんとの強制契約も出来るんじゃないかと思ったんだ。


 今の今までやってこなかったのは、もしも成功していたら手間を取らせる必要も無かったから。そして俺ならきっと成功すると過信していたから。


 しかし失敗してしまったので仕方ない。


 触りたくなった召喚してモフモフし放題・・・・。


 まぁ普通やりたくなりますよね。



「と言うわけで召喚獣を呼びたいです」


 俺はフィーネ達に学校での出来事を説明して協力を仰いだ。


 するとケモナー否定派のフィーネが嫌がるかと思いきや、2人とも乗り気になってやってくれると言う。


「まずはどのような失敗だったのか教えてください。魔力不足、魔法陣の記入漏れ、外部からの干渉、イメージ過多、要因は様々ですからね」


「学校でやった契約はどんなのですか~?」


「え~~っと・・・・こんな魔法陣だったよ」


 2人からの質問に対し、一度見ただけでやってもいないヒカリが庭に全く同じ魔法陣を書いてみせた。


 術式を理解すれば簡単らしいけど、そうやって魔法陣を書く人って研究者しか居ないと思う。大抵の人は習った物をそのままなぞるだけで理屈や意味など考えもしないだろう。


 ・・・・俺が自作魔法陣以外はサッパリわからないって事とは無関係だ。


 わかりやすく言うと魔法陣の中でも理系と文系に分かれているようなもんだな。


 魔道具は理系、召喚は文系。


 あ、魔術も文系。だって俺が術式理解出来ないもん。


 だから例え召喚に失敗したとしても俺のせいじゃない。



 そんなどうでもいい言い訳をしているとヒカリが手早く魔法陣を書き終わった。


「あ~、無難なやつですね~。

 専用の呼び出し術式じゃなくて、気に入ったら出て来てね~っていうありがちな魔法陣です~」


「本気で召喚士を目指さない学生なら十分でしょう。適性を見るためにはむしろ素晴らしい魔法陣ですよ」


 それを見てユキ達が何やら納得している。


 なるほど、それなら俺が失敗したのも頷けるな。主人公たるもの在り来たりな召喚獣ではなく、特出した凄い召喚獣じゃないとダメなのだ。


「んじゃ専用術式を教えて。きっとケロちゃんやまだ見ぬホウさんみたいな神獣を呼び出せるはずだから」


 成功した暁には俺のケモナー人生がより充実したものになるだろう。グフフ。


「ルーク様はすでに専用術式で召喚に成功していますよ。私やユキが該当しますね」


「がおー」


 俺が(己の欲望のために)別の魔法陣で再挑戦したいみたいと言うと、フィーネ達が妙なことを言い出した。


 そういえば昔フィーネが契約がどうこう言ってた気がする。


 ユキは知らん。なんだ「がおー」って。一丁前に召喚獣気取りか? ウサギ耳を生やして出直してこい。


 いつも通りユキは無視して話を進めよう。


「フィーネ達って召喚獣だったのか?」


「呼べばどこでも出てくるのは召喚してるって事ですよ~」


「私はユキほど万能ではありませんが、ルーク様のいらっしゃる空間限定で転移できます」


 密室に突然現れる謎が解けた。


 ただ俺のしたい召喚とは少し違うので今は置いておこう。


「召喚獣ってそう言うのじゃないんだよなぁ。

 もっと・・・・こう・・・・さ」


 どう言えば伝わるだろう。


「はっはーん、わかりましたよ~。ルークさんが自力で魔法陣から召喚したいわけですね~?

 それならベルフェゴールさんやルナマリアさんを呼んでみますか~?」


「おっ、いいね~。どうやんの?」


 言葉が見つからず悩んでいた俺に、ユキが「我に任せよ」と自信満々に提案してきた。


 それが俺の求めている召喚かはやってみてのお楽しみって事で、取り合えず召喚してみよう。



 気楽に言った俺はここから地獄を見ることになる。




 フィーネとユキによる召喚魔法陣講座が始まったんだけど、


「そこ書き順が違います~」

「そこはもっと大胆に勢いよく」


 召喚の要となる魔法陣の書き順や『とめ、はね、はらい』に至るまで事細かに指導された。


 ある程度融通の利く魔道具とは違い、召喚の魔法陣は電話番号のようなものなので絶対に間違えることが出来ない、と2人が厳しいのだ。


 決まった魔法陣を人から教わるのは俺に向いてない気がする。


 例えば『飛ぶ』『左右』『発達』を正しい書き順で書ける大人がどれだけ居るだろうか?


 習ったばかりならまだしも、ほとんどの漢字は使えば使うほど自分が書きやすいようにアレンジしてると思う。


 それを全部直されてるようなもんだぞ。


 しかも魔道具開発ではまたアレンジの方を使うってんだから、ややこしい事この上ない。


 自分で法則を見つけ出す魔道具の魔法陣が作っててどれだけ楽しかったかわかったよ。


 召喚獣はこれっきりだ。


 こんな面倒な術式覚えてられるか!




 そんなこんなで後悔しながら数時間に及ぶ超大作が2つ出来上がった。


「で、出来た・・・・やっと終わった・・・・」


 酷使した指や腰は悲鳴を上げているけど、俺には休む暇などない。


 これからが本番なのだ。


 明日は筋肉痛かな・・・・。


「じゃあ供物を置いて召喚してみましょうか~」


「これは相手に贈る物と、回路を繋げてくれた精霊に感謝する意味も兼ねています」


 専用召喚にはイメージなどは不要な代わりに物品が必要になるらしい。


 ベーさんを呼ぶには『アレ』だな。


 ルナマリアは・・・・まぁ何とかなるだろ。



 まずはベーさんの召喚に挑戦だ。


 そっ・・・・。


 俺が魔法陣を書いている間にヒカリに作ってもらったバケツアイスを置いて準備完了。


「怠惰の化身、ベルフェゴールよ! 我が呼び声に応えよ!!」


「アイス~」


 中二病全開でそれっぽい呪文を叫ぶと、魔法陣の中心に置いた供物の下からベーさんが生えてきて、挨拶(?)をするとアイスを黙々と食べ始めた。


 呼ばれた事への驚きとか感動とかは一切無いらしい。


「成功だな」


パチパチパチ。

「良かったですね~」

「素晴らしいです」


 指導してくれたフィーネ達も拍手しながら喜んでいる。


 うん、成功だ。


 例え「アイスあるぞー!」って叫べば普通に転移してきそうな相手だろうと、俺が作った魔法陣から出てきたんだから召喚したと言える。



 バケツ一杯のアイスを完食したベーさんは満足して寝始めたので、これから呼び出すルナマリアに連れて帰ってもらおう。


 次。



 そっ・・・・。


 今度は魔法陣の中心にフィーネの私服を置いてみた。


「豊穣を司るエルフ、ルナマリアよ! 我が呼び声に応えたまえ!!」


 ・・・・。


 ・・・・・・・・おかしいな?


「来ないんだけどなんで?」


「ルナマリアさんには通じてますけど拒否したみたいですね~」


「チッ、着拒とか人間関係悪くするんだぞ!」


 忙しいのかと思い、それから時間を空けて3回ほど試したけど同じように失敗した。


 ほらトイレ中とかだったら呼び出した方が悪いだろ?


 でもユキが言うには本当にただ無視しているだけらしく、俺の気遣いも意味がなかったようだ。


「バーカ、バーカ、便秘エルフー・・・・イタッ!? な、なんだ?」


「農場からネギが飛んできましたね。ルナマリアが投げたのでしょう」


 地獄耳のツンデレさんが(事実かどうかは知らないけど)怒って攻撃してきたらしい。


 話を聞いてたんなら来いよ!



 こうなったら意地でも呼び出してやる・・・・。


 このまま俺が呼び続けても絶対に出てこないだろうけど、だからと言ってここでフィーネを頼るのは二流のする事。


 俺ほどの一流召喚師になると別のやり方をいくらでも思いつくもんさ。


 俺は魔法陣に向って叫んだ。


「フィーネの手料理と、1日デート券をつけようじゃないか!」


「・・・・出てきませんね」


 クッ、欲張りめ!


「ええいっ! もってけ泥棒!! パンツとサラシの下着セット、さらにメイド服一式もつける大盤振る舞いだ!!」


「さっきからうるさいわねぇ。とっとと寄こしなさいよ」


 やっと出てきたルナマリアは不機嫌そうな顔をしながらこちらを見ることなく手を差し出して『早く渡せ』と恐喝してくる。


 ってかそれで良いのかルナマリア。


「ルークさんもそんなのどこから入手したんですか~?」


「え? 使いたいからって言ったら普通にくれたけど?」


「ルナマリアと親しくなっておいて損はないですからね。もちろんルーク様ご自身が楽しまれても構いません」


 楽しむ? 例えばスカートの丈を股下10cmにして下着は履かせず仕事させて動くたびにチラチラ見えるのを楽しむとか、胸元は大胆なVカットを・・・・いや、いっそエプロンだけ着用させて恥じらいながら必死に伸ばして下半身を隠す姿に萌えるのも一興。もちろんケモ耳カチューシャと尻尾のアクセサリーは必需品だろう。


 他にもモグモグしたり、ペロペロしたり、着てみたり、着せてみたりって事?


 そんなの考えた事も無いよ。




 その後、約束通りフィーネ変身セット一式を渡したらルナマリアは嬉しそう受け取り、ベーさんを担いでスキップしながら農場へ帰っていった。


 その帰り際。


「あっ、一応言っておくけどアタシは人間の召喚に応じることが嫌だっただけで便秘じゃないから。毎日快便だから」


 と、腸内環境には自信があると言っていたけど、その発言もどうなんだろう?


 まぁツンデレさんとして俺の発言を否定しようと思ったらそうするしかないのか。


 しかし今回の実験で知り合いの半分ぐらいは魔法陣とか魔道具を用意しなくても呼べば出てくることが判明したな。


 たぶんもう呼ばないけど。

 トイレ事情に触れない物語もよくありますが、私はそんなの許しません。

 ダンジョンに潜れば穴を掘って用を足させますし、エルフだろうと獣人だろうとトイレに入らせます。

 何なら芋でオナラが止まらなくなる話を書こうと思っているぐらいです。

 そのためのR15タグなのだから!

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