表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十三章 怒涛の6歳
294/1657

百九十七話 学園祭6

 さぁ! いよいよ俺の学園祭がスタートするぞ!


 調理が難しいと言うイレギュラーがあったものの、なんとか担当者全員に初日で慣れてもらったので、俺は予定通り2日目全てが自由時間なのだ!


 準備が楽しいとか言うけど、やっぱり頑張った成果は確認したいじゃん?


 ほら、俺ってば企画者な訳だし、学園祭ムードを感じながら他の生徒達がどんな店やってるか知りたいだろ。


 じじじ、獣人喫茶とかあるかもしれない・・・・。


 急ごう。ケモ耳女子が俺を待っている。


「待ちなさい」


「グエッ! ・・・・お姉様、『首元を引っ張る』とか『肩を掴む』ならわかるんですが『首を掴む』のはいかがなものかと」


「一緒に周る約束した私を置いて1人でさっさと行こうとするルークが悪いのよ」


 そう、今日は未だに俺の首から手を離さないアリシア姉と学園祭を堪能するのだ。


 ・・・・そろそろ離してくれません?


 あ、言ったら離してくれた。


 んで、手を繋がれた。


 たぶん今日はずっとこの状態で過ごせって意味だ。



 気にせず説明を続けよう。


 肉切り担当に立候補した人は結構居たんだけど、アリシア姉とヒカリとレナード君の3人にしか出来なかったので、後の2人は交代で作業することになっている。


 フィーネとユキも仕事が忙しいと言っていたけど、何やらアリシア姉に気を使っている節があったので途中合流も無さそうだし、昨日みっちゃんが来ていたから時間があればと思って最近忙しいイブを誘ってみたら、


「だ、だだだだ大丈夫・・・・あ、後でお話聞かせて。

 (ガタガタ!)あっ、落とした! ご、ごめんなさい」


 と物凄い動揺しながら断られた。


 髪留めを落とすってどんな状況なんだよ・・・・。


 ちなみにみっちゃんは出禁の店があるらしく今日は来ないって聞いた。大方見当はついている。



 そんなわけで今から2人で遊ぶぞ!




 昨日より若干減った人混みをかき分けて俺達が最初にやって来たのはお好み焼きの店。


 腹ごしらえって大事やん?


 それに・・・・。


「よう! 来てやったぞ」


「チッ、どうせクレーマーだろ。さっさと焼いてる分を全部買ってどっか行けよ」

「今、5枚ある」

「1つ銅貨3枚だぞ~」


 そこはABDトリオが手伝ってる店だった。


 仲が良いとまでは言えないけど、半年以上同じ教室で勉学に励んでいるクラスメイトの店は取り合えず制覇するつもりなのだ。


 勘違いされそうだから言っておく。コイツ等がお好み焼きを作ったように聞こえるかもしれないけど勧誘の看板を持っているだけで実際に焼いているのは上級生。


 それを自分の手柄の様に話すのは貴族にありがちな事なので、俺は気にしない事にしている。


「これから色々食べるし1枚で十分よね。はいお金」


 俺と同じく、いや俺より酷い対応でエース達の話をガン無視したアリシア姉が最後の値段だけ聞いてレジにお金を渡す。


 数はそれで良いんだけど、俺の知り合いにもうちょっと関心を持って欲しい。


 あ・・・・そう言えばエースって・・・・。



「ア、アリシアさん!? お久しぶりです!」


「・・・・誰?」


「入学式で調子に乗ってた自分を叱ってくれた事、忘れてないです!

 マジ気合入りました! あの時はありがとうございました! そしてスイマセンでした!!」


 一気にテンションを上げたエースが必死に話し掛け始めた。


 コイツは入学式で俺に絡んで来て、それを目撃したアリシア姉から「仲良くしろ」と教育的指導をされたのだ。体罰とも言う。


 普通ならそれで恐怖の対象になるんだけど、誰からも必要とされない才能(性癖?)を開花させ、年上の女性からの暴力に快感を覚えるようになった変態は、恋愛対象としてアリシア姉を見るようになってしまった。


 でもアリシア姉は雑魚の事など覚えていない様子。


 ランキング戦で活躍して覚えてもらえるように頑張れ。いや頑張るな。ドMの兄なんて絶対イヤだ。


「あんまり覚えてないけど喜んでもらえたなら良かったわ。イジメはダメよ?」


「もちろんです! アリシアさんみたいになれるよう頑張って強くなります!」


「ライバルが増えるのは嬉しいから応援するわ。挑戦いつでも待ってるわよ」


「はい!」


 エースからの説明で何となく当時の事を思い出したアリシア姉は先輩らしく激励をした。


 と、ここだけならまぁギリギリ良い話っぽく聞こえる。


 だけどその後、小麦粉がダマになってて、マヨネーズが既製品で、焼き方にムラのある微妙なお好み焼きを食べていたら、こんなアホ共の秘密会議が聞こえてきた。


(なぁ今応援するって、待ってるって。俺の告白かな?)

(そうだよ。『早く私より強くなって結婚して』って意味だよ)

(エース君、恋人持ちか~、うらやま)


 あぁ~、もぉ~、ツッコむのも面倒くさい。


「んじゃ俺達は行くからな。

 一応忠告しておくけどマヨラーに気を付けろ」


 ソース塗れの口元を袖で拭おうとするアリシア姉を止めながら、俺は勧誘をしている3人にアドバイスをした。


 こんなのでもクラスメイトだし、身内の恥を晒すのも嫌だしな。


「「「まよらー?」」」


 マヨネーズに合う料理の代表格『お好み焼き』がこの出来じゃあ絶対クレームつけられる。


 もし間違って客引きしたり、うろついてるヤツに見つかったら大人しくしておけ。


 アリシア姉以上に凶暴で強烈なバカだから。



 学園祭後、ABDトリオがユキを避けるようになったけど理由は知らない。




「やっぱり踏み込みが甘いのよねぇ。戦場じゃ命とりだわ」


「いや、これ劇だから」


 あの後もクラスメイトの店を巡って適度に腹を満たし、俺達は演劇を見るために訓練場へとやって来た。


 そこではアリシア姉の配下であるヨシュアレンジャーの4人が芝居してるんだけど、昨日も見ているアリシア姉は同じところの立ち振る舞いが気になるらしい。


 あ、内容は『何故か突然見ず知らずの勇者の力になりたいと言い出した4人の戦隊が数の暴力でドラゴンを討伐する』というもの。


 これまで棒立ちしていた勇者が最後だけ美味しい所を持っていく何ともリアリティあるストーリーだ。


 なんか知らんけどドラゴンに攫われても1週間以上無事だったお姫様が勇者を気に入って結婚しちゃってるし、ナレーションも「勇者一行の活躍で」とか言ってる。


 所詮どれだけ頑張っても影の存在は人々から忘れ去られる運命なのか・・・・。


「やっぱりドラゴンの動きが微妙よね。攻撃が単調で、魔術も幼稚、あんなに弱いわけ無いのに」


「だからこれ演劇なんだって」


 本物のドラゴンの皮を使ってるからレト達ヨシュアレンジャーは全力で攻撃できるけど、ドラゴンの中の人は客への配慮もしないといけないので明後日の方向に攻撃するしかないのだ。


 ただフィーネの助力によって時折派手な魔術が使えるので飽きはしない。


 見ていて感嘆する場面が多々あったし、子供って事を考えれば十分面白い劇だと思う。


 特にヨシュアレンジャーの3人が非常に良い動きをするのだ。ブルー以外な。


「ってかレト以外の連中強いんじゃないか?

 学生の強さって王都の交流試合しか知らないけど、それと比べても見劣りしないレベルだぞ」


「まぁね! ヨシュアレンジャーで活動中は草抜きやゴミ拾いで足腰、泣いてる子供を喜ばせるために魔術、移動は基本逆立ちって感じでずっと鍛えてるからね! 魔法剣士であるこの私が!!」


 師匠面して自慢するアリシア姉はとても満足そうだ。


 そんな事してるから変な集団だと思われるんだぞ。素直にボランティアしとけよ。


「だからなんでレトがあんなに弱いのか不思議なのよねぇ~。他の皆と同じように強くなるはずでしょ? 才能かしら?」


 いや、たぶんサボってるからだな。


 その場のノリで生きてるヤツだけど、割と口達者ではあるので何だかんだと鍛錬から逃れているのだろう。


 今すぐ役割を戦略担当のグリーンと交代させるべきだ。




 その後もパンチングマシーンで俺が最低点数を更新したり、型抜きでアリシア姉がブチ切れたり、お化け屋敷を無反応で通り抜けたり、と俺達は学園祭を満喫した。


 なんか久しぶりにアリシア姉とこんなに遊んだ気がするな。


 それはアリシア姉も同じだったようだ。


「ヨシュアに遊ぶ場所が無いって言うのもあるでしょうけど、私がダンジョン行ってたり、ルークが女の子にセクハラしてたりするからね」


「誰が犯罪者だ!

 でもこういうお祭りはドンドン増やしていきたいな」


「やり過ぎても飽きるからバランスが大事よ。緩急つけて相手の心を揺さぶるの」


 それは戦闘におけるアドバイスですか? 攻め一辺倒の貴方に言われたくはありませんが。


 でも間違いではないのでこれからのイベント計画が難しくなりそうだ。適当とか、最も適した方法で、って一番難しいよな。


 ところで・・・・ダンジョンってなんぞ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ