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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十二章 王城生活
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百七十三話 ヨシュアへの帰還

 みっちゃんに乗って高速移動した俺達は、王都セイルーンからヨシュアまで普通なら半日以上の道のりを3時間ほどで到着した。


 その内10分はイブ達の別れと同じく、ドラゴンフルーツの劣化を気にするアルテミスさんの下降に費やしたけど・・・・。


 着地してから気付いたけど別にみっちゃんを待つ必要なんて無いから先に飛び降りてれば良かったんだよな。


 んでもって家族に帰った事を知らせたり、客人を迎える話を事前にするべきだと反省しました。



 ともかく我が家だ!


 1週間振りに帰って来たオルブライト家は、まぁ当然だけど何も変わっていなかった。


「送ってくれてありがとうな、みっちゃん。腕によりをかけて料理するから龍フルーツ菓子楽しみにしてろよ」


「クックック・・・・人生最高の時間が今始まる」


 いや、悪い顔してほくそ笑んでる所悪いんだけど今じゃないから、完成するまで試行錯誤するから。


 あと古龍でも神獣でも『人生』なんですね。



「「「ただいま~」」」


「「「おかえりなさい」」」


 出迎えてくれたフィーネや家族への挨拶も済ませた俺は早速調理に取り掛かる。


 アリシア姉だけはクロと共に修行中のようで家に居なかったけど、会えない事より作った剣を喜んで使っている事の方が嬉しかったね。


 王都からの帰り道でも雑魚相手に魔法無双してたらしいし。


 俺も長旅で疲れているから予定ではお土産を渡して、神様への挨拶もして、1日休んでからって話しだったんだけど・・・・。


 留守番していたエルの話を聞いて龍フルーツジャンキーが発狂したので仕方ないのだ。


「あ、ルーク様おかえりなさい。こっちは何事もありませんでしたよ。

 そうそうゼクト商会の『クレアさん』と言う人が会いに来たんですが、皆さん旅行中だと伝えたら残念そうに帰られました。

 コレ、お土産に貰っちゃいましたよ」


 そう言って冷蔵庫から取り出したのは見たことも無いドラゴンフルーツだった。


「バ・・・・ッ、バカな!? 『パイナップル』に、『イチジク』、こっちは『柿』だと!? これは・・・・何だ!?

 あり得ない! あり得ないぞ!! 私も知らない龍フルーツがこんなにも!!」


 どうやらクレアさんのお土産はドラゴンフルーツマニアなみっちゃんでも思わず叫ぶほどの品々らしい。


 品質もさることながら、問題なのはその希少性。


 ここで「今日は疲れたから調理に取り掛かるのは明日」とか言おうもんなら何をされるかわかったもんじゃない。


「そ、そんなに珍しい物だったんですか? ルナマリアさんが量産するとか言ってまし「なんだと!?」 ・・・・ご、ごめんなさい!」


 しかも今後はロア農場で生産予定なんだとか。


 それを聞いたみっちゃんはさらに声を荒げてエルに食って掛かった。


 エルも怒られてる訳じゃないから謝らなくていい。そのジャンキーはちょっと興奮し過ぎて精神状態が不安定になってるだけだから。



 と言う訳で、新作料理を後回しにすると暴れ出しそうだったので今から作ります。



「まずは試食・・・・おい・・・・・・」


 未知のドラゴンフルーツを俺がどんな味なのか確かめようとすると、既にアルテミスさんが完食してて1つも残っていませんでした。


「ハッ!? 気が付いたら全部食べてしまった・・・・。

 い、いや残そうとは思ってたんだぞ? ただ私も知らない物ばかりだったから、つい」


「『つい』で箱一杯のフルーツを飲み込むんじゃないっ!

 どうすんだよ・・・・? 買って来たやつだけで作るか?」


 一応王都でアルテミスが買った分と、フィーネがヨシュアで用意した分があるにはある。


 ただ今後の事を考えると珍しいドラゴンフルーツの調理方法も確立しておいた方が良いだろう。


 じゃないと彼女の『ドラゴンフルーツを龍フルーツに改名させる』と言うどうでもいい目標は達成できそうにないのだ。


 俺の考えでは新作料理を『龍菓子』と命名して知名度アップを狙ってたんだけど、調理出来ないドラゴンフルーツがあると問題が起きるからな。


 エルに聞いた話じゃ俺達がお土産にもらったこれ等も一部地域ではそれほど珍しい物ではないようだから、そこの人が「オラ達にはこっちの方が一般的だぁ」とか言い出しかねない。



「っ!? ユ、ユキよ! 一生のお願いだ!! その地域から龍フルーツを採ってきてくれ!!!」


 俺の話を聞いたみっちゃんはその光景を想像したのか、まさかの土下座をしてユキに頼み込んだ。


 理由はくだらないけど神獣の土下座。たぶん貴重なシーンです。


「そんなに頼まれたら断れないですけど、場所がわからないんじゃどうしようも無いですよ~」


 流石のユキでも自分の興味のない物のためにあてのない旅をするのは嫌なようで、場所さえわかれば協力すると言っている。


 マヨネーズの時は率先して探してたのにな。


「あ、ルナマリアさんが詳しく聞いてましたよ。

 もしかしたら農場でも育っているかもしれません! あそこは不思議な生産方法ですから普通では考えられない速度で実るかもです!」


「行こう!!」


 素敵な知らせをくれたエルを崇拝するように見つめた後、勢いそのままに俺達をロア農場へと案内させるみっちゃんであった。


 ・・・・その間にお土産渡して来ていい? 俺ついていく必要なくない? なくなくない?



「残念ですが農場では新しい作物は育っていないですよ」


 文字通り飛び出そうとするみっちゃんを止めたのはフィーネの一言だった。


 つい先日農場に行った彼女の話では、たしかにドラゴンフルーツを作ろうとしているらしいけど採れるのはまだまだ先になると言う。


 だからユキがドラゴンフルーツを手に入れた場所だけ聞いて現地まで行くしかないのだとか。


「初めてみっちゃんからお願いされたので行って来ましょうか~」


「頼んだぞ!!」


 アンタが食べなきゃこんな事にはならなかったけどな・・・・。


 なんて事は言わず帰って来たばかりのユキを送り出したのである。




「農場に居るベルフェゴールとルナマリアって知り合いだったりする?」


「ん・・・・まぁ・・・・」


 おや? アルテミスさん、もしかして魔王かエルフの関係者だったりします?


 強者同士、狭い界隈なので実は知り合いってパータンあるかな~と思って聞いてみたら、やけに気になる風に口籠ったみっちゃんはこれ以上何も言わなくなった。


「もし珍しいドラゴンフルーツの量産に成功したら度々来ることになるんだから会っておいた方が良いんじゃないか?」


「・・・・ユキが戻るまで時間が掛かりそうだし行ってくるか」


 今度は俺に同行を求めることなく1人で農場へと向かった。


 その間に俺も自分の用事を済ませる事にしようかな。


 皆にお土産を渡して帰宅の報告だ!

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