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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十二章 王城生活
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百六十話 初めての夜

 寝る部屋を巡って激しい論争が繰り広げられる事なんて無く、単純にイブが俺と寝たいと言い出した。


 そもそも俺達を城に招待したのも一緒に寝るためだった、と言って譲ろうとしない。


「じゃあ・・・・わたしとイブちゃんとルークの3人でここに寝る?」


 イブの願いを叶えるならヒカリの言うように『ここ』、すなわち今俺達が居るイブの部屋で寝るしかないだろう。


 たしかにベッドは子供3人余裕で寝られるキングサイズだし、6歳の男女が一緒に寝たところで何が起こるわけでも無い。


「まぁそうなりますよね~」

「私は構わないぞ」


 ユキとみっちゃんは本当に何でも良いらしく、先ほどからずっと同じ事しか言わない。


 つまり問題となるのは俺の気持ち1つって事だけど・・・・。


「んじゃそうするか」


 美少女とのベッドインを断る理由なんて無いし、誘われたからには即決ですが?




 部屋も決まったのでダラダラ休んでいた俺は、夕食を食べるために王族が集まっていると言う食堂でアーロンさん以外にも挨拶することになった。


 俺達は食べたけど王族の方々はこれかららしいのだ。


 より正確に言えば、今まさに城で行われているパーティの休憩中に食事をとる王族だけの場にお邪魔するって事であり、右を向いても左を向いても煌びやかな衣装を身に纏ったお偉いさんしか居ない。


 イブは出席しなくていいんだろうか?


 俺達客人の相手をしてるから良いんだろうな、きっと。そう言う事にしておこう。


「あ、どうも~。ルーク=オルブライトです」


 どうせ家族になるんだしユキが日頃迷惑掛けてそうなので、なんかもう礼儀とかどうでもいい気がして普通の挨拶をする俺の事を睨む人は誰も居なかった。


 ユキの友達だからこんなもんだろう、って思われたのかもしれない。


 マリーさんやユウナさんは笑っていた。


「え~っと、右から・・・・さん、・・・・さん・・・・・・」


 大会中と言うこともあってほぼ全員が集合していたけど、俺はユキから紹介されてもほとんど覚えられない。


 ってか13人を一気に紹介されて覚えられる人なんて居るの?


 名前間違えたら首を飛ばされる地位の人だし、下手に全員覚えるより数人に絞った方が賢いだろ。


 だから今まで知り合った人以外に新しく『コレットさん』を覚えた。


 イブとマリーさんのお姉ちゃんで、ユウナさんの子供の中では長女になるらしく、王女に相応しいお淑やかさと可憐さ、そして13歳と言う少女特有の色気を醸し出す金髪ロングヘアーなお姉様だ。


 ユウナさんとマリーさんに似ても似つかぬ絶壁、いやさ『ひんぬー』なのもまた魅力的である。たぶん本人に伝えたら怒られるけど。


 フフッ、深い関係の人から覚える! これ基本ね!


「同じくユウナさんの子供で長男さんも居るんですけど名前、覚えてます~?

 将来義理のお兄さんになる人ですよ~」


「・・・・レ、レクサス君?」


「ブッブー、ハズレです~。レックスさんですよ~。

 深い関係の人も覚えられてないじゃないですか~。ルークさんは相変わらず女性ばっかり覚えるハーレム王ですね~」


 返す言葉もありません・・・・。



 皆さんが食事している間、ティーをドリンクしながら世間話に花を咲かせた俺はイブの部屋で寝る事をご両親に伝えた。


 ほら、酔っ払ったオヤジが娘と親睦を深めようと深夜に乱入してくるかもしれないじゃん。その時、隣で知らない男が寝てたら気まずいじゃん。


 まぁ話のタネになりそうだからっていうのもある。


「ほほぉ~、流石は婚約者。相変わらず仲が良いな」


 ガウェインさん、普通~。


 なんて言うか広がらない返答である。


 しかしお母様の反応は俺の想像を超えるものだった。



「ルーク君、イブはまだ子供なんだから無理しちゃダメよ」



 ユウナさん、アンタ何言ってんの!?


 エロか? エロい事をしろって言ってんのか!?


 い、いや・・・・おおおおお、落ち着け・・・・ここで慌てたら逆に不自然だ。


 俺は子供、何も知らない子供・・・・子供・・・・・・子供。


 よし! いける!!


「もちろん寝不足になるまでゲームしたりしませんよ。

 いや~、個人的にはユウナさんの部屋が良かったんですけどね。イブとヒカリの両方から嫉妬されまして、泣く泣く3人で寝ることになったんですよ~」


「「「3人!?」」」


 俺が冗談っぽく本心を語った瞬間、礼儀正しく食事していた大人達がざわつき、『お前マジか?』と驚愕し始めた。


 マリーさんを含め情事に詳しくない子供達はキョトン顔だ。


 あ、あれ? なんか凄いプレイする感じになってる?


「い、いや私も人の事は言えないが・・・・流石にその年でそれは・・・・」


 おっと国王様、それはユウナさんを始めとした3人の奥様方とのアレな話をされているのですか?


 人の事は言えない? 4人で何をしているのか詳しく聞こうじゃないか。


「(ごにょごにょ)・・・・イブのためにも」

「(ボソボソ)・・・・なら引き離して」

「(コソコソ)・・・・訓練を」


 俺が国王様に気を取られている隙に他の大人達が一斉に集まって何か相談していた。


 それも気になるけどお父様、娘の将来のためにも詳しく隅々までお話を!




 結局ガウェインさんは口を割ることなく、奥様達とナニをしているのかわからないままだった。


 それからしばらくマリーさんも参戦してのリバーシ大会、そして入浴時間になったのでイブとヒカリと一緒にお風呂に入ったんだけど・・・・。


 他の人も誘ったらマリーさんは恥ずかしいと言って断り、みっちゃんは風呂が嫌いだと言い、ユキはガウェインさんに呼び出されてどこかへ行ってしまった。


 俺は普段以上に長風呂をしたのに誰も入って来ず、途中でヒカリ達に狙いがバレてまた鳩尾を殴られてしまう。


 そんな散々な入浴時間である。



 風呂から出てイブの部屋に戻ると、おかしな事が起きた。


 そこに居たのは用事を済ませたユキと、魔道リバーシを興味深そうに眺めているみっちゃん。


 それだけなら普通の事だ。


 問題はその直後。


「ユキさん、ウチの料理人達がマヨネーズ料理について意見が欲しいって言うんだけど、ちょっと来てもらえる?」


「マヨマヨ~」


 俺達の前後に入浴したであろう風呂上りのセクシーなユウナさんがユキを呼び出し。


「アルテミス様、ドラゴ・・・・いえ龍フルーツについて研究しようと思うのですが、何から始めればいいでしょうか?」


「ついに動き出したか!」


 みっちゃんにとって長年の夢であるドラゴンフルーツの美味しい食べ方を探したいと言う研究者らしき人物に呼ばれて、みっちゃんも出ていき。


「ユキさんから聞いたがヒカリさんは素晴らしい目をお持ちだとか。是非、我々王国騎士団の訓練を見て欲しいのだが。もちろん実践も踏まえて」


「え? 戦えるの!? ジャンさん居る!?」


「え、えぇ・・・・誰であろうと呼びますので今すぐ来てください」


「行くー!」


 そう言ってヒカリも飛んでいった。


 たぶん訓練場にジャンさんは居ないんだろうけど、休んでいる彼を無理して呼んでまでヒカリを部屋から追い出したいらしい。


 つまり俺はイブと部屋で2人きりの状態になった訳だ。



 最後にコレットさんが来て、


「皆さん遅くなるからイブとルークさんは先に寝ていてください。3人は別に部屋を用意していますので大丈夫です」


 と言い残して扉を閉めた。


「なんか妙だな・・・・誰かが意図的にこの状況を作り出してる感じがする」


「気にしても仕方ない。寝る?」


「・・・・そうだな。明日も早いし寝るか」


 色々と怪しいけど街を散策して疲れたのでイブに誘われるがまま寝ることにした。



 2人でベッドに入った次の瞬間!


「「「ロック!」」」


 ガチャッ!


 おや? 外から数人の声が聞こえた。


 まぁ防犯のためにイブが寝る前にはこうしてるんだろう。トイレに行きたくなった時どうするかは知らない。


「「「フリーズ!」」」


 あれ? ドアノブまで固定します?


 そこまで頑丈にしなくても良いと思うんだけど・・・・。


「「「ウォール!」」」


 あれあれ? 外の景色も一切見えなくなりましたけど?


 窓に土が張り付いて完全な密室になったんだけど夜景が見たくなったらどうすんのさ。


「エアープリズン!」

「ウィンドサークルッ!!」

「ダイヤモンドダストォォォォーーーーッ!!!」


 え? え? そんな何重にも掛けるっ!?


 なんか魔術師達から『朝まで絶対に部屋から出さない』と言う固い意志を感じる。


「まぁ寝るか」

「ルーク君、おやすみ」


 そして防音も完璧になったイブの部屋から一歩も出ることも無く俺は一夜を過ごした。




 翌日、目を覚ますと大量に重ね掛けされた魔術は全て解かれていた。


 みんな大会出席する前で忙しいらしく、夕食みたいに集まる事は出来なかった食堂で俺達は朝食を取っていると、若干無理して一緒に食べていたガウェインさんが俺に話しかけてくる。


「イブとの初夜はどうだった?」


 初夜って・・・・いや間違いなく初めて一緒の寝室で過ごした夜だけどさ。


 もちろん俺はどうもこうもない事を伝える。


「普通に就寝しただけですよ。ヒカリとも結構寝たりしてるので緊張することも無く熟睡でした。まぁ人の匂いがしたんで違和感はありましたけどね」


「その年で浮気かね?」


 王様、睨まないでくれます?


 この年だからだよ。当然何か起こる訳もない。


「ヒカリも否定してくれ」


 俺の隣で清々しい顔をして食事中のヒカリに応援要請する。


 彼女も充実した夜を過ごせたようだ。


「うん。そんなんじゃないよね」


 そうそう。そんなんじゃないよな。


「よく私とも寝ますけど~」


 お、ユキも俺の品行方正っぷりを皆に言ってくれるらしい。


「そんなもんじゃないですよね~」


「「「!?」」」


「ユキ、『も』はいらない。『そんなんじゃない』だろ」


 なんか凄い事してる風に聞こえるじゃんか。



 誤解を解くのに30分近く掛かり、試合開始時間がその分ズレたのは俺のせいじゃないはずだ。

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