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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
十章 学校編
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百二十九話 模擬戦

「グダグダ・・・・だったね・・・・」


 アリシア姉とランキング1位の男子生徒(レナード君と言うらしい)の試合を見終わったヒカリが不満そうに呟いた。


 模範演技と言うぐらいなので派手な試合で盛り上がると思ったらとんだ期待外れな内容だったらしい。


「まぁ、アリシア姉が『アレ』じゃ仕方ないだろうよ」


 それもそのはず。全力で挑もうとしたアリシア姉の腕には魔力を乱す腕輪が付けられ、大剣も没収されたので、得意の剣術と火の魔術を封印された状態で戦わなければならなかったのだ。


 対戦相手の方はちゃんと手加減出来る人物らしくて、その様な手枷は無かった。


 レナード君がロクに魔力で強化することもままならない戦力激減のアリシア姉に対して、避けてくれと言わんばかりのゆっくりとした攻撃を仕掛けた所から試合は始まる。


 普通に考えれば格上でハンデも無いレナード君が圧倒的勝利を収めて終わるだろうし、教師陣もそうなる事を予想していたはずだ。



 しかし彼らはアリシア姉の負けず嫌いさ、そして戦闘能力を見誤っていた。



 腕輪のハンデを一瞬で理解したアリシア姉はいつもの先手必勝の攻撃スタイルを捨てて、攻撃をするレナード君に対してカウンターで戦ったのだ。


 元々『魔力を消耗して身体能力の落ちた状態』を想定して訓練していたらしいアリシア姉は、ハンデなどものともせずに戦えていた。


 しかし流石はランキング1位と言うだけあり、レナード君も初手でそれを見切る。


 そして手加減していては負けると思ったのか新入生歓迎ムードから一遍、明らかに真剣な表情に変わった。



 これだけ聞けばいい試合かもしれないけど、アリシア姉からは仕掛けないし、レナード君も慎重になって中々攻撃しない。


 たまに攻防があったかと思えば、速すぎて理解出来ないわ、遠距離からの魔術攻撃をしない紳士的なレナード君は近距離戦闘しかしないわ。


 さらに『目潰し』『金的』『関節技』をメイン攻撃にしているアリシア姉は攻撃が入らないと判断したら防御一辺倒になるので、まぁ粘る事、粘る事。


 『一応手加減はしているランキング1位』と『ハンデありだけど全力のランキング2位』の戦いは、それはそれは見ていて飽きるグダグダな展開だった。


 結局、明らかに贔屓した審判のジャッジにより敗北したアリシア姉は、


「まだやれるわよっ!」


 と大声で叫びながら戦闘続行を望んでいたけど、教師たちに引きずられて退場させられる事になる。



 そんな試合を見たヒカリの愚痴はもっともだろう。


「だよね! トップ層の壮絶な死合いを見たかったよね~。全部の動作が遅すぎてつまんなかった」


 かと思ったら俺の考えとは少し違ったようだ。


 誰だ! ヒカリを戦闘狂の道に引き込もうとしてる奴は!?


「あれでも十分やりすぎだから・・・・。アリシア姉の剣を没収してなかったら絶対流血騒ぎだぞ」


 素手での試合にも関わらず治療が必要なほど殴り合い、関節技を決めた2人。


 アリシア姉は剣術でのカウンターとかも習得してそうなので、いくら結界でダメージ軽減されるとは言え、あの2人が本気を出したら流血ぐらいするだろう。

 

 そんな試合を見て新入生たちは全員顔を真っ青にしていた。


 そりゃ自分が対戦相手になる事を想像したらそうなるわ。




 俺達が試合についてあれこれ感想を言い合っていると、隣でアリスが震え出した。


 やはり彼女もランキング上位陣の戦闘能力の高さに恐怖した口だろうか?


「ヒカリさん、あの戦いが見えていましたの!?

 わ、わたくし・・・・もしかして落ちこぼれなのでしょうか? あの様な動きについていく自信ありませんわ・・・・」


 俺が思っていたのとはちょっと違うけど、アリスは試合内容が全く理解できなかった事で自分の将来を不安に思い、余裕そうなヒカリの言葉を真に受けて戦々恐々と話しかけてくる。


「いや、ヒカリが特別なだけで誰も理解出来てないから。

 試しに他の新入生に聞いてみろ。誰1人として試合内容を説明出来るやつ居ないから」


 ほ~ら、ヒカリが変な事を言うから気弱なアリスが自信喪失してるじゃないか。


「で、ですわよねっ!

 良かったですわ~。わたくし、領主の娘としてそれなりの成績を収めなければと不安でしたのよ」


 俺の言葉に安心したのかアリスは喜びながら詰め寄ってきた。


「そうだよ。俺達は普通なんだ。あんな化け物がそうそう居てたまるか。

 出来たとしてもあんな殺伐とした戦闘はしたくない」


 あれはとても学生がやっていい試合じゃない。



 という俺達に完全なるトラウマを作った出来事だった。




 そんな散々な入学式も終わり、俺達は離れて座っていたファイ達と合流する。


 その時に聞いてみたらやはりファイ達も試合を理解できなかったらしい。


 ほら、やっぱりヒカリが強すぎるんだよ。


 まぁ誰も得しない話題はさっさと切り替えよう。記憶から消し去りたい時は気持ちも新たに別の話をするに限るな。


 俺にはアリスを紹介して3人の仲を取り持つって重要な任務もある事だ・・・・し?


「お久しぶりですね。先週の新入生交流パーティ以来ですか」


「ええ。あっ、わたくし達はクラスメイトですし敬語は必要ありませんわ」


「わかったよ。ボクにも必要ないからね。今後ともよろしく」


「(コクコク)ですの」


 何故か俺が紹介しなくてもファイ達3人は親し気に会話をしている。


 ・・・・あれ? パーティなんてやったんですか?


 俺の知らないうちに交流会が開催されていたらしく、アリス・ファイ・シィの3人は既に知り合いだと言う。


「わたし聞いたよ? 『パーティ参加する?』って。そしたらルークが面倒だから行かないって断ったの」


 若干俺を責めるような口調で招待状が届いていた事を報告するヒカリ。


 むぅ・・・・気付かぬうちに友達を作る機会を失っていたのか。


 しかも詳しく聞けばその時に友人グループが出来上がっており、今日はそのグループで固まっていたらしい。


 急いで知り合いを作ろうとしていた俺は、そもそもスタートダッシュに失敗していたのだ。


「あれ? その理屈だとアリス達も俺以外の連中と座ってるはずじゃないか?

 パーティ参加して知り合いは大勢居るんだろ?」


 何故ボッチの俺と仲良くしているのかわからない。


 ここで『可哀想だったから』とか言われたら俺は泣く。


「ボクは人の話を聞くのが苦手でね。どうもパーティ参加者とは気が合わなかったのさ。

 アリスとは少し話したけど、彼女は常に人に囲まれていたから自然とボクは離れていたし、ルークの紹介が無かったらこうして一緒に居なかっただろうね」


「わたくしは最初からルークさんと親しくなるつもりでしたのよ? お母様からお話を聞いて面白そうな人だと思いましたので」


 だからツッコミ気質な俺に惹かれたと言うファイと、たまたま俺の隣が空いていてラッキーだと言うアリス。


 シィはファイと一緒なら何でもいいらしい。まぁ少なくともヒカリとは相性が良さそうだ。


 俺としても偶然知り合ったとは思えないほど素敵な友達が出来て嬉しいよ。


 最悪ヒカリとしか喋らない学生生活が待っていたかと思うとゾッとするね。




「折角だし教室を見ていかないかい?」


 と言うファイに賛同した俺達は帰りが遅くなることを親に伝えた。


 入学式早々、仲の良い友達が出来たと聞いた母さんはそりゃ嬉しそうにしてたよ。


「じゃあ私達は私達で交流を深めるわね」

「わたくしの家でお茶会をしましょうか」


 すると親同士でも仲良くしたいと言って大人達は領主邸へと向かった。



 子供だけになった俺達5人は明日から1年間お世話になる教室を見に行くために移動を開始する。


「もちろん私はルーク様について行きますよ」

「フッフッフ~。子守はユキちゃんにお任せです~」


 変なのも2人ついて来たけど。

 あ、危なかったです・・・・。

 2日前の投稿なんですけど危うく間に合わなくなるところでした。


 完全に投稿者サイドの話なんですが、月跨ぎの場合はひと手間必要になるので出来るだけしないようにしてるんです。

 今回の場合は9月になってから投稿しようと思ってましたし、忙しい日なら1回分だけ投稿しておくって方法を取っていますが、それをスッカリ忘れてしまい急いで投稿した次第です。


 遅ればせながらここで裏事情を説明してみました。


 まだまだストックはあるので楽しみにしてくださっている方はご安心を!

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