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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
九章 女神降臨
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閑話 こんな神との日常会話

 どこかで聞いた事のあるようなタイトルですが気のせいです。


 どうでもいい無駄話を延々続けるお話です。

 前に神様と他愛のない会話をしているって話したことがあったけど、今回はそれを詳しく語ろうと思う。


 神様が『出番増やせ』ってうるさいのだ。


 さて、と言うわけで今日俺はいつも通り神殿にきている。


 俺が神様と会うためにはこの方法しかないらしく、向こうからなら自由に話しかけられるけど、あまり神託を下すのはダメな事みたいだ。


 あの『レベルアップしました。嘘です』とか『暇なのでちょっかい掛けました』って通信は神託扱いなのかよ・・・・。


 ちなみにこれだけ毎週のように通っていると神殿の人々からも顔を覚えられて、信仰深い子供として可愛がられている。たまにシスターからお菓子も貰う。


 ・・・・間違ってはないよな? 神様に会うために神殿に通う行為は『信仰深い』って言えるはずだ。



 今日も今日とて賑わっている神殿内にある長椅子に座って目を瞑る。


 大きな石像の全体が見える中央付近、右から2番目が俺の定位置だ。


 端だと通行人に当たるし、3番目だと邪魔になるから。ほら、相手が1人の場合は端の席になってその人が通行人と接触してしまい、知らない人とは席を空けて座りたいから2人の場合は座れないだろ?




 そんなどうでもいい言い訳をしているといつもの場所に立っていた。


 もう何度目かわからないぐらい通っている空間だ。


「神様~、来ましたよ~」


「ルーク君、いらっしゃ~い。今日は何します~?」


 神様だって慣れたものだ。


 俺達の最近のブームは、神様に1週間分貯め撮りしてもらった地球のアニメをひたすら見るというアニメ鑑賞。


 神様が使ってる録画機器は、まさかの『VHS』。流石に『ベータ』ではなかったけど、そもそもこのご時世にビデオテープって・・・・。


 ご丁寧に3倍ではなく通常録画。おっ金持ちぃ~。


 当然再生機器もビデオデッキ。


 60インチの大型液晶テレビの性能を全く生かせないビデオ。

 地上波は綺麗な映像なんだろうけど、録画したことでザラザラに劣化するビデオ。

 俺の生きてた頃に生産終了したはずのビデオ。

 『巻き戻し』『早送り』が通じないジェネレーションギャップを生み出した原因ビデオ。


 そんなビデオテープで今見てるのは、ヒロインの遺伝子を悪用した科学者によって生み出されたヒロイン似のクローンが次々に殺されているのを知った主人公が立ち上がった、って超能力アニメのクライマックスだ。


 アニメ専門チャンネルと契約してるからちょっと昔のアニメも見放題なんだとか。


 神の力で見放題とかではないらしく、ちゃんと月額を払ってると言う。


「この子、国民的ヒロインとして大人気らしいですよ~」


「ふむ、たしかに・・・・ヒロインとしてテンプレでありながらも絶対的な人気を誇る『ツンデレ』。それを前面に押し出しつつ主役以外の話でもちょくちょく主人公に絡んできているため出番が多い。何より見た目が同じクローンが縞パンと言うのも素晴らしい。こちらは『クーデレ』の需要を完璧に捕えている」


 これで人気が出ない訳が無い。


「ちなみに誰推しですか~?」


 俺か? 俺はクローンの女の子と一緒に居る『猫』推しだ。


 どんなにツライ状況だろうと、自らが傷つこうと、クローンを想って健気に尽くす猫サイコー。これ系のアニメだといつか擬人化してくれるはず。


 でもそんなこと言っても変態扱いされるだけだしな。


「・・・・どちらかと言えばクールなクローンが好きですね」


 ほら建前って大事じゃん?


「まぁルーク君はそうでしょうね~。さすが世界有数のケモナーです~」


 そんな俺の気遣いも神様には効かなかったらしい。


 俺、いつの間にか獣好き人間として世界トップクラスになってた。やったね!




 今後のストーリーが気になる感じで超能力アニメを見終わった俺達。


「そして最近の国民的ヒロインはこの子です~」


 そう言って神様が取り出したのは先ほどまでとは違うビデオテープ。


 中身は俺と同じく異世界に転生した少年の話だった。どうやらこの少年、とある条件で人生をやり直せるらしい。


「人生を何度でもやり直せる? 新しいな~」


 大体の異世界転生モノって無能力とか言っても、なんだかんだとスーパー能力があったり、味方が最強だったりするんだけど、これは完全に話術とトライ&エラーの繰り返しで解決していく物語だった。


 主人公の頑張りだけでなんとかするのだ。


「ハーレムパラダイスで平和に暮らせるルーク君には無縁ですけどね~。

 そんなファンタジーだからこそ世間は憧れるんですよ~」


 そりゃ俺は同じ転生者って立場でも、この少年みたいに『力がない』とか『生活に困っている』ってわけじゃない。もし俺なら何のイベントも起こせず、のたれ死ぬ自信がある。


 このアニメみたいな体験は絶対したくないけど、この世界に来るまでは『もしも』があるなら人生のセーブポイントが欲しいと思ったことは何度もある。


「・・・・あれ? 最初の出会った子がメインヒロインじゃないんですか?」


 物語が進むにつれて主人公は別の女の子と親しくなってきた。最初は敵対していたけど今は主人公に尽くすメイドさんだ。猫耳は・・・・付いていない。メイドって言ったら猫耳だろうがっ!


 おやおや? あと少しで最終話だけどメイドしか出て来なくなったぞ?


「フッフッフ~。何を隠そうこの子こそ国民的ヒロインに選ばれた子なのですよー!」


「な、なんだってー!? 最初に出会った女の子は!? 完全にメインヒロインだったでしょ!?」


 まさかの急展開のまま最終回を迎えた・・・・。


 いや、可愛いと思うけど、最初の子なんだったんだ?


「たぶん今後も続編がアニメ化するので、また一緒に見ましょうよ~。その辺の謎は全てわかるはずですから~」


 なんだかんだ楽しかったし、是非録画をお願いします。


 出来ればブルーレイとかハードディスクとか最新機器で。


「え~? ビデオテープのガチャガチャ感とか、箱型の形態とか好きなんですけど~」


 俺も好きです。


 でも見る側からすれば高画質の方が嬉しいに決まっている。




 『そんなに続きが気になるなら原作見れば?』って思う人も居るかもしれない。


 でもダメらしい。


 アルディアへの物品の持ち込みは固く禁じられているんだとか。当然、この空間でも禁止。


 神様がやってるのかは知らないけど、今見たアニメだってCMやニュース速報は編集で消されていた。それハードディスクに録画してパソコンでやった方が楽ですよ~。


 もしかしたら万が一にもアルディアで再生できない様にわざわざビデオテープにしてる可能性もある。



 と言うわけで俺は我慢するしかないのだ。


 ってか出来るなら最初からやってるわ!


 実際、俺は原作派。原作にしかない雰囲気とか独自解釈が可能な感じが良い。たまにアニメ化されないエピソードとかあるしな。気に入ったアニメがあれば小説や漫画を全巻揃えます。




「この前見た軽音楽部アニメの曲を、こっちの世界でバンド組んで流行らせるのはありですか?」


 ふと気になったので聞いてみた。


 俺が情報の発信源としてアニメやゲームを忠実に再現したら何かしら流行ると思う。


 あくまで俺の知識なので、禁止事項に抵触しないのではないだろうか。


「それくらいなら良いんじゃないですか~? 実際、信仰深い人が私と会った時の話を本にして世界的大ヒットしてたりしてますし~。

 たしか地球でも同じような宗教で聖「おっとそれまでだ」・・・・なんですか~?」


 色々ヤバいからこの話は止めましょう。



 とにかく俺が伝えるのはOKだと言う。


「だったらタメになるアニメとかもっと見たいです! 時計とか料理とか、商品開発とか!」


 間違いなく俺の知識の糧になる。


 結構なアニメオタクな神様ならそんなアニメを知ってるんじゃないだろうか。


「そんなアニメ見たこと無いですよ~。

 『時計』って構造を詳しく説明してるアニメって事ですよね~? 歯車の製造過程とか、秒針の誤差修正とか見てて楽しいですか~?」


 しかしそんな俺の考えは真っ向から全否定された。


 もちろん楽しくない。


 そんな原案持ってきたら速攻で没にするわ。


 同じ理屈で『料理』は派手な演出メインで非現実的だし、リアル思考のは食材が複雑すぎて見つけるまでが大変だと言う。


 言われてみれば俺も昔から「チーズ1つ取ってもどれだけの種類使うんだよ!」とか「ハーブって同じじゃないの?」って思ってたしな。


 『商品開発』なんてもっと駄目だろう。


 ってか自分で言っててなんだけど、商品ってなんだよ。


 ファンタジーアニメなら各種能力で生み出すし、作るにしても『手先の器用なドワーフに教えたら出来た』とか『実はその分野に詳しい人が居る』ってご都合展開しかないだろう。


 結局今ある自分の知識でなんとかするしかないのである。



「アニメって案外、役立たないんですね・・・・」



 ファンタジー世界に居るのに、ファンタジーな情報が一切使えなかった。


 おっかしいな~。前世でアニメ見てた時は「これ使える!」とか中二脳で色々考えてたんだけど、思ってたのと違う。



「娯楽に実用性を求めないでくださいよ~。

 地球でも散々言われてるじゃないですか~。『ゲーム上手くなって意味あるの?』『アニメ詳しくなってどうするの?』って。

 ルーク君、その人達と同じこと言ってますよ~」



 ・・・・・・なんてことだ。あれほど人を見下す行為を嫌悪していたのに、俺がその見下す立場になっているだと!?


 そうだよな!


 役立たなくたっていいじゃないか!


 『楽しい』と思う時間こそが、かけがえの無いものだったはずじゃないか!!


「神様、俺、間違ってました。また面白いアニメやゲーム、頼みます」


「お任せあれ~。近々学校へ通うのに、引きこもり気味なルーク君のために運動したくなるスポ根アニメを探しておきますよ~。漫画だったらリバウンド王がオススメなんですけど、アニメは・・・・」



 なんか神様が悩み始めたので、聞こえてないかもしれないけど一応挨拶だけして俺は神殿へと帰って来た。


 そんなどうでもいい日常。



「こんな話、大丈夫か? 本当に雑談しかしてないぞ?

 毎回こんなんだから語りたくなかったんだ」


この話、決して二次創作や元ネタ批判ではありません。


ルークと神様との日常会話なんです。

同じ趣味の人とする話って楽しいですよね? あれです。

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