表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
六十二章 千年郷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1571/1659

千三百話 続続々1000年祭3

「わたしは大人。法律でそう決まってる。だからわたしをロリ扱いするのは間違い」


 ヒカリの悪ふざけから始まった姉妹対決に勝利したニーナは、奪われたお面を取り戻し、ホクホク顔で頭に装備。何事もなかったように話を蒸し返してきた。


 そちらが一段落したら触れるつもりだったのかもしれないし、数秒前の自分の行動を思い返してマズイと思って言い訳しているのかもしれないが、兎にも角にもドン引く俺達の意識を逸らすように子供扱いするなと怒り始めた。


「何言ってんだ? 欲しいものを買ってもらえずに駄々をこねる子供なんて目じゃないほど全力でお面を取り戻したお前は、誰がどう見ても子供だが? お面で遊びたがるのも子供だが?」


 たしかに彼女は成人しているが、見た目は小学生だし、精神は遊具を取り戻すために戯れの域を超えた攻撃を仕掛けるようなガキ。


 中も外も子供ならそれはもう子供だ。


 実年齢なんて関係ない。


「ちっちっちっ……さっきルークが言った。童心に帰ったフリして可愛さアピールする女も居るって。わたしがそれ」


「ザケんな。どこの世界に妹を全力で殴って手に入れたアイテムで童心アピールする女が居るんだよ。子供じゃなかったらただの頭おかしいヤツだわ」


 指と一緒に尻尾を揺らす不器用ニャンコ。高鳴る心をなんとか鎮めた俺は、至って冷静に彼女の言い分を否定し、引いている理由について触れた。


 暴力に訴えただけでも十分大人気ないが、勝ち方も優勝賞品(?)のお面に対して正拳突きを放ち、破壊させるわけにはいかないと身を挺して庇ったヒカリを容赦なく殴り飛ばすというもの。


 あまりにも全力。


 あまりにも卑怯。


 断言するが、コイツは勝つことしか考えておらず、ヒカリが庇わなかったらどうなっていたかまで頭が回っていない。


 たまたま通り掛かったプロ野球選手が、何かの気まぐれで路上でキャッチャーミットを構えていなかったら、そしてそこに運よくヒカリが突っ込まなかったら、露店やら建物やらを破壊する弾丸と化していただろう。


「ふぅ……殴られる直前に後ろに飛んで衝撃を殺してなかったら危なかったよ」


 まぁヒカリはヒカリでバトル漫画によくあるダメージ軽減技を炸裂させていたようだが、とにかく何事もなくて良かった。


 野球選手の人もありがとう。今度特製カキ氷を作ってあげるね。


「これはお遊びが過ぎる妹への教育的指導。姉の威厳を保つためにも大事なこと」


 気にしないでくれと苦笑しながら通行人にペコペコ頭を下げるヒカリを他所に、俺への弁解を続けるニーナ。


 そういうところも子供だ。そして意味がわからない。


「可愛さアピールもだけど、自分で言うな。そういう空気を醸し出しとけば良いんだよ。正当化しようと発言すればするほど自覚してるって思われるぞ」


「でも言わないといつまでもロリ扱いされる」


 それはそう。


 人間関係って難しいね。



「まぁ折角広げてもらったし――」


 話題転換を期待したニーナ以外の一同に呆れられるも、脱線大好きルークさんは構わず話を続けた。


「ロリとショタの定義が、年齢・見た目・関係性のどれを重視すべきか議論してる光景はよく目にするけど、対象となる人間のことまで考えてることってまず見ないよな」


「さも当たり前のように話してるけどそんな議論聞いたこともないし、『目にする』『見ない』ってことはルークが参加してるってことだからここじゃなくてその場で指摘するべき問題だし、同意を求められても興味ないとしか言えないよ」


 真っ先に反応したのはヒカリ。いつものようにスラスラと、そしていつも以上に呆れた様子で、ツッコミという名の反論をおこなう。


 まったく……これだから異性の性欲に関心のないニャンコは困る。


 需要と供給を考えたら真っ先に学ぶべきところだろうが。男にモテたければ男が好む服装や性格を、女にモテたければ女が求める容姿や話題を、それぞれに見につける努力をするべきだ。


 ありのままの自分を好きになってもらう?


 そのポリシーは立派だと思うし否定もしないけど、相手に不満なところがあっても絶対に愚痴るなよ。直そうとするなよ。好かれる努力をしないってそういうことだからな。もちろん相手が見つからなくても文句言うな。


 理想の相手は、探すより自らの手で作っていく方が楽だって、いつになったら人類は気付くんだろうな。


 アニメオタクの中から探すよりアニメ好きになってもらった方が絶対楽だろ。その過程で仲良くなれるし、相手のこと知れるから、その後にも繋がりやすいしさ。


「どーでもいいけど、ルーク、前に無知な人を自分の手で染めるのが楽しいとか言ってなかった?」


「くぅぅっ!」


 自分を向上心の塊だと公言していたヒカリに対し、失望を露わにしていると、予想外の反撃を喰らってしまった。油断したぜぃ。


 経験豊富と無垢。


 どちらが良いかなんて決められない。何なら日によって変化する。気分によってどちらも有りになる。


「ヒカリ、邪魔しないで」


「はいはい……」


 致命傷を負いつつも闘争心を失っていない俺と、まだまだ元気な自称ノットロリータのニーナに睨まれたヒカリは、面倒臭そうに主張を取り下げた。


 いつの間にか2対1の構図になっている。


「――って、あれあれ? ユチ達どこ行ったの? もう奢ってもらえないから一緒に行動しない感じ? マジで金の切れ目が縁の切れ目なの?」


 周りにはヒカリとニーナの2人だけ。


 この人混みではぐれてしまったのかと思い、ケモナー力を解放してユチ達の気配を探るも、誰一人として感知出来ない。


 人が多過ぎて能力が使えないのかと首を傾げていると、


「さっきユキちゃんと何か喋ってたから、たぶんルークが祭りそっちのけで遊び始めるのを察して、見つからないように結界でも張ってもらったんじゃないの。残された僅かな時間をそんなことに使いたくないだろうし」


 移動中のBGMにしてくれて構わなかったのだが、その時間すら祭りトークに使いたいということなのだろうか……。


 まぁ良い。流石に俺と会わないように目的地を変更したりはしないはず。もう脱線しないことを誓えば許されるだろう。もちろん王都に居る間だけ。永続は無理。


 というわけでレッツ基準トーク。


「ニーナほどド直球なロリなら、夜に出歩けば警備兵から声を掛けられ、成人向け商品は買えず、冒険者ギルドですら大人の同行を求められるはず。本人が受け入れてるならいいけど、もし不満に思っていて、日に何度も注意されようもんなら爆発してもおかしくはない。というか訴えたら勝てる」


 ぶっちゃけ、こんなの世界を挙げて差別しているようなものだ。『人は見た目』と言っているようなものだ。


 仕方ないこととは言え、笑いのネタに出来ないほど迷惑している人間が居るのも事実。彼等にとってはさぞ生きにくい世の中だろう。


「それがわたし。だからわたしは自分が大人だって言い続けるの」


「でも遊具を取り返すために全力を出したり、目的のブツを壊すような攻撃をしたり、いくらノーダメージだからって妹を心配しないのは子供だ。何なら弟妹想いの子供より子供だ」


「そういう時もある」


 くっ……さっきの性癖話をネタに強請るつもりか。お前がセーフなら自分もセーフだと言うつもりか。神獣も人間も変わらないと言うつもりか。


「仕方ない。お前はロリじゃないってことにしておこう」


「わかればよろしい」


 満足気に胸を張るニーナ。表情にはほとんど変化がないが俺にはわかる。ご満悦だ。これが彼女のニッコリだ。


「だから今後は大人として扱うな」


「……え?」


「何も奢らないし、セクハラしないし、滅多に遊びにも誘わないし、実年齢相応とまではいかなくても普通の生活を送るようになったここ10年ほどの知識と教養は求めるから。出来て当たり前、出来ないなら出来るようになるまで努力する、社会人の生き方を強要するから。やらなかったら怒鳴るから」


「見た目で判断してください。体が成長するまではロリでいさせてください」


 土下座しそうな勢いで頭を下げたニーナは、もしかしたら私生活では人生初かもしれない敬語を用いて、自らの立場を確固たるものにしようとしてきた。


 たぶんもう大きくならないんだろうなぁ。神獣ってそういうところ自由自在っぽいし。願えば叶うのに諦めたんだからそりゃあ試合終了よ。



「ところでその体で子供産め――」


 祭りでテンションが上がっていたのか、ニーナなら何をしても許されると思ったのか、自分でも何故こんなことをしようと思ったのかはわからないが、歩き始めて数秒。


 前々から抱いていた疑問を口にした瞬間、ギシッと耳の奥で何かが歪むような音と共に、凄まじい衝撃が全身を襲った。


(……ここは)


「あ、目が覚めた?」


「今から美少女コンテストで優勝してもらうニャ」


 そして意識を取り戻すと、目の前にユチ達が立っていた。というか取り囲まれていた。あと何故か女物の服を着せられていた。


 ついでに訳のわからないことを言われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ