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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
七章 商店街編
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八十話 後日談

 今回俺はずっと料理を作っていて直接は関わっていないので、ユキから聞いた後日談だ。


 お好み焼きを通じて仲良くなったソーマとトリーは、周囲の協力もあり順調に交際をスタートしたらしい。


 告白のセリフは『僕がトリーさんとユチをお好み焼きの生地のように優しく包み込みます。だから一緒に新しい味を生み出して下さい』だったと言う。


 なんとなく下ネタに思えるのは俺が汚れているからだろうか?


 あと、そこまでお好み焼きに入れ込まなくても・・・・嬉しいけど、ちょっと引く。



「結局アツアツなカップルにはデートスポットなんて必要なかったって事だな。

 君さえ居れば何もいらないってやつか、ギリッ!」


 無自覚に歯軋りしてしまったようで音が出た。


 おっと、知り合いなんだから祝福するべきだよな。ははは・・・・・・クソが。


「むしろ遊ぶとお金が必要になるので、相手の部屋に行くことが多いみたいですよ~」


 することがないからベッドの上で遊ぶだと!?


 貧困した世界のはずなのに、いや貧困しているからこそ娯楽を求めて性に大らかになっている。


 これは絶対にデートスポットを作って部屋に誘う口実を潰さなければ。


「それはそれで恋人が増えそうですね。

 デートスポットが完成したら私と一緒に行きましょうね、ルーク様」


 な、なんてことだ・・・・俺に出来ることは直接邪魔するのみだと言うのかっ!


 こちらから娯楽を提供してもデートスポットにされてしまうなんて、どうしたらいいんだ! クソっ!



「幸せを祝うっていう選択肢はないんですね~」


「祝う? 呪うの間違いだろ?」


 知ってるか? 憎しみって生きる力にもなるんだぜ・・・・フフフフフフ。




 それはそうと、素晴らしく順調な2人なのだが1つ困ったことがあるらしい。


 お互いが別の仕事場で住まいは単身の社員寮なので静かに過ごすことが出来ない。ぶっちゃけ『イチャイチャする場所を寄こせ』と言われている。


 今さら新居に移り住んで生活水準を落とすのは嫌だし、ユチも居るので壁の厚い3人暮らしの出来る家が欲しいと要望された。


 まぁ独身だけの社員寮に新婚さんが居れば色々気まずいだろうよ。主に夜の方面で。


「ってか、そんなとこまで進展してたのか・・・・」


 合コンがあったのはつい先日なのに、もう結婚するらしい。早過ぎね?


「交際を始めてから数週間でお互いに問題が無ければ結婚、と言うのは一般的ですよ? むしろあの2人からすれば遅いぐらいです」


 2人とも立派な大人であり、しかも収入が多くて安泰なロア商会従業員。


 娘のユチも周囲と一緒になって歓迎しているので、ソーマとトリーはなおさら結婚に積極的だと言う。


 いつまで生きれるかわからない殺伐とした世界だから、長期間付き合うメリットなんて無いので当然と言えば当然なんだろうけど。



 しかし新しい住居か・・・・。


 ソーマ夫婦用の新しい家を作れば解決なんだけど、将来の事を考えると居住区を作る必要があるか。


 もしくは所帯持ち専用の社員寮。


「寮・・・・寮長・・・・・・そうだっ! 2人に社員寮の寮長してもらったらどうだ!?」


 トリーは料理が作れるし、ソーマだって販売員として店舗運営には関わっていたから寮の運営も問題ないはずだ。


「つまり職場移動をさせると言う事ですか?

 たしかに将来的には家族連れの従業員も増えるでしょうし、専用の住居が必要にはなりますね」


「明日2人に聞いてみましょうか~。今の職場を離れたくないって言うかもしれませんし~」


 そうだな。必要なのは当人達が納得するかって事で、俺達が勝手に決めることじゃない。嫌がるなら近くに新居を建てて、居住区にでもするさ。




 翌日ユキが当事者の3人に確認すると、3人とも大賛成らしい。


 夫婦で寮を切り盛りして、ユチは今と変わらず食堂に住み込みで働くと言う。


「なんだ。ユチも一緒に住むんだと思ってたけど、離ればなれになって良いのか?」


 11歳の少女ユチには両親と一緒に住んでもらう予定だったんだけど。


「むしろ喜んでましたね~。思春期の女の子には色々あるんですよ~」


 もしかしたら新婚の母親に気を使ったのかもな。2人きりでイチャイチャしたい時期だろうし。


 今の職場が気に入ってるから辞めたくないっていうのもあるだろうけど。


「賭けを止めるなんて考えられない! って言ってました~。あれは生まれながらの賭け好きの眼ですよ~」


 あの子の将来が心配になる発言だ・・・・でもそれも含めて職場が気に入ってるって言えるよな?




 とにかく、生粋のギャンブラーとソーマ夫婦が納得したと言う事だ。


「周りの皆さんも賛成でしたが仕事に支障が出ないか心配していました」


「え~? 私、何も言われませんでしたよ~。みんな応援するって言ってました~」


 仕事に関してはユキを頼らない方針なのか、従業員達は別の機会にフィーネに心配事を打ち明けたらしい。


 まぁ「さすが」とだけ言っておこうか。



 従業員達が不安に思っている人手不足に関してだけど、新規雇用するつもりだ。


 実は最近、ロア商会の活躍で豊かになってきたヨシュアに各地から人が流れ込んできていたりする。


 塩、石鹸、冷蔵庫、加工食品、食堂、孤児院、銭湯、農産物など各方面に手を広げているロア商会で働きたいという人が多く、毎日のように従業員が「雇ってもらえる条件は?」と聞かれているらしい。


 単純に生活水準だけ見ても他の領地とは比べ物にならないし、優良な職場だらけなのでヨシュア領の人口が増え続けていた。


「あれ? これって宿屋を作った方がいい?

 ソーマとトリーは2人きりになれる家に住めればいいみたいだし、社員寮より宿屋を先に作るべきか?」


「いえ、社員寮が先でいいと思います。従業員の不満を解消することで、より皆が勤めたい企業になりますから」


「宿屋はたくさんありますからね~。ソーマさんも、トリーさんも同じ職場の人の方が接しやすいでしょうし~」


 だな。


 よし、社員寮を優先させよう!




「フフフ、トリーさんの猫耳はいつも綺麗だね。他の人達が霞んで見えるよ。何か特別な手入れでもしてるの?」


「ルークさんが1人ひとりに合わせた『シャンプー』と『リンス』って言う美容品をくれるのにゃ。そのお陰でいつでもソーマさんに見られても大丈夫な身体なのにゃ」


「流石は獣人博士だね。ルーク君には何かお礼をしないといけないな。

 そうだ! 僕とトリーさんの愛の結晶の子供に合うシャンプーを作らせてあげよう。きっと喜ぶよ」


「気が早いにゃ。でも・・・・いつかは」


「「ふふふふふふふふ」」


「・・・・この2人と一緒に住む? 無理無理無理」


 とある家族の食事風景の中にウンザリした顔をする少女が1人居た。

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