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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
六章 王都セイルーン編
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七十一話 さらば王都

 そして最終日のパーティも終わりの時間になる。


 これで王都ともおさらばだ。


 長いようで・・・・本当に長かった! イブが居なければ部屋から出てこなかったかもしれない面倒なパーティがようやく終わる。


「本当に帰る? ここで暮らせばいいのに」


「あぁ。ロア商会が忙しいからな」


 引き留めようとするイブを説得して、俺はユキと共に竜車で出発する準備をする。


 そして次にイブと会う時までにスラムを改善しておこうと心に決めた。


 婚約者になってしまった以上はオルブライト家に来ることもあるだろう。その時にスラムの悲惨な状況を見てしまうのは可哀そうだ。


 いくら王族とは言えまだ5歳の少女には関係ない世界だと思う。




「また会いましょうね」


「近々オルブライト子爵へ挨拶に行く必要もあるだろうからな。イブが暮らす家も見ておきたい」


 忙しそうにしていたマリーさんと国王様も最後の挨拶のために顔を出し、親同士で挨拶したいと言う。


「結局婚約者は俺で良いんですか?」


「ルーク君好き。ルーク君じゃないとイヤ」


「当然ありません」


「ユキさんの力を見せつけられて不満などあるはずがないだろう。

 むしろ安全で将来性もあるオルブライト家へ嫁がせることが出来て嬉しいよ」


 最終確認をするけど誰も不満はないらしい。


 さり気なくイブから告白された。


 いや知ってたよ? むしろあの態度で「好きじゃなかった」って言われたら俺、一生女性を信じなくなるわ。


 ユキの凶悪魔術によって周囲を威圧できたのが一番の功績だろう。あの惨状を目撃して喧嘩を売って来るバカはまず居ない。


 ユキが役立っただと!?



「お世話になります」


「いや、婚約者だとしてもまだお世話にはならないだろ」


 最低でも5年後、学校を卒業した頃だろうな。


 イブはボケ体質らしいので、俺がツッコミか・・・・上手にツッコめるか不安だわ~。ほら俺ってクールキャラだし。



「フッフッフ~。全て私のお陰で上手くいきましたね~。感謝してもらいたいです~」


 ユキがお礼の品としてのマヨネーズを要求してくる。


 う、上手くいった? 挙句、感謝・・・・だと? 何を言ってるんだ、このバカは!


「ふざけんなよっ!? お前じゃなくてフィーネだったらもっとスムーズに片付いたわ! 調子に乗るな、この駄メイドがっ!!」


「駄メイドっ!? 心外ですーっ!」


 ユキが「異議ありです~。不満です~。ブーイングです~」って文句を言ってるけど相手にしない。


「フフフ。面白い主従関係ね。やっぱり王宮にもこんな関係が必要かしら?」


「いや、その国は滅びますよ」


 絶対止めた方がいい。主従関係はきっちりするべきだと思う。


 これはユキだからこそ成り立ってる友人関係なんだ。




「ルーク君、元気でね」

「高校は王都へ来ますわよね? また会いましょう」

「ヨシュアか・・・・長期休みに一度行ってみるかな」


「あぁ3バカ・・・・ワン、ニコ、スーリも元気でな」


 友達との別れの挨拶みたいになってる。


 なんか成り行きで仲良くなってしまったけど俺の進路はたぶんヨシュアだ。会いにも来なくていいから。お前ら最初は散々バカにしてたんだぞ? あの時の恨み、忘れてないからな?




「また会いに来て。待ってる」


 もちろん3バカとは違い、イブとは親密な関係になってるから絶対に会いに来るよ。


「あぁ、イブはもっと色々な事に興味を持って心も体も大きくならないと婚約破棄するからな」


 実に将来性のある幼女だからな。自分の理想の嫁になるように、今から教育する『光源氏計画』が出来そうだ。


「っ! 頑張る」


 おう、頑張れ。


「私が会いに来ますから色々お話ししましょう~」


 転移できるユキは、レオ兄に会いにくる時に王宮にも寄って自由に会えるんだよな。相変わらず便利なヤツだ。



「「色々お世話になりました~」」


 こうして俺達は王都を後にした。





 結局なんだかんだで家が一番落ち着くし、所持金も無かったので帰りも寄り道せず真っすぐ帰宅することになった。


 俺の獣人専門店が、パラダイスが・・・・今度は大金を持ってくるからな~。



 俺は脳内で各店舗をマッピングしながらユキに頼みごとをする。過ぎた事より、今は仲良くなった王女様の事だ。


「なぁ先に帰って説明してくれない?」


 もちろんパーティでの出来事を全部。


「ルークさんの婚約者なんですから、ルークさんが話してくださいよ~」


 ですよね~。なんだよ、パーティに参加したら王女と婚約して帰って来ましたとか。


 絶対父さん達は驚くし、詳しい説明を求められる。




「着実にハーレムが出来上がっていってるんだけど、なんでだ?」


 フィーネ・ユキ・ニーナ・ヒカリ・イブ、俺の周りは女性ばっかりだ。


 魔道具を作ってたらハーレムが出来ていた。


「なら男の子の友達作ればいいじゃないですか~。なんで女の子としか仲良くならないんですか~?」


 一応だけど3バカとは知り合いになったじゃないか。ワン、スーリは男だぞ。


「それ、俺のせいじゃないだろ? たしかに何もしてないけど、女の子とだけ仲良くなろうともしてない」


「チッチッチ~。魔道具作りの天才はモテるんですよ~」


 な・・・・なんだって!?


 そうか俺はモテモテだったのか。レオ兄みたいに親衛隊とか居ないし、ワーキャー騒がれないけどハーレムだったのか。


 いや、むしろ自ら動かずとも女性が寄ってくる『ハーレム王』だったのかっ!


「俺ハーレムに憧れてたんだ。たくさんの女の子と幸せに暮らす生活って絶対楽しいよな。みんな仲良くって素晴らしい世界だよな」


「憧れが現実の物になりましたよ~。良かったですね~」


 ユキが「おめでとうございます~」と祝福してくれる。


 

 俺の傍に居るために他の女を全力で排除するヤンデレメイドの『フィーネ』

 空気ブレイカーにして常識ブレイカー、好奇心のためならフリーダムな『ユキ』

 ツン100%で容赦なく攻撃してくる無表情の殺戮者、将来絶望ロリボディの『ニーナ』

 王家の権力伊達じゃない、魔道具一筋、わがままコミュ障王女『イブ』



「こんなハーレムなんて大っっ嫌いだあぁぁーーーーーーーーっっっ!!!!!」



 俺の理想にこんなガッカリ女達は居ないはずなんだ。しかも全員有能で見た目は完璧なのが腹が立つ。


 内面を改善して、力の使い方を間違わなければ凄い人たちではあるんだけど・・・・。


 唯一の心のオアシス『ヒカリ』は最近嫉妬深くなってる気がして、今から将来が不安なんだよ。


 リバーシの件が無ければマリーさんが理想の女性だったんだけど、所詮彼女も残念要員だった・・・・。



「どこかに居ないかなぁ、普通の女の子。やっぱり女は心だよなぁ」


 俺は悟ってしまった。


 容姿は『無いよりは、あったほうが良い』ぐらいのモノだったんだ。大事なのはハート。


「完璧すぎてごめんなさい~。ルークさんにそんな気を使わせていたんですね~」


 ユキが心の底から謝って来た。


「は? 図に乗るな駄メイド。お前は残念要員の筆頭だ。もっと普通を目指して頑張れ」


「なんですとぉーっ!? 『パーフェクトガールのユキさん』って有名なんですよ~?」


 そんなこと誰が言ったんだ? 眼科か脳外科、精神科を受診させろ。




 俺がユキのダメな所を言い続けていると、話題を逸らしたつもりなのかユキが聞いてもいないのにレオ兄の現状報告し出した。


 まだ半分も指摘してないんだけどな~。まぁ乗ってやろう。


 レオ兄と直接会うつもりはないけど、成長具合を聞くのはいいか。


「先日はルークさんがプレゼントしたリバーシとフリスビーで遊びましたよ~」


 試作品のリバーシも持って行かせたんだけど、喜んでもらえてるみたいで何よりだ。


 だけど必ずトラブルを巻き起こすユキが遊びに行って迷惑かけてないか心配だな。


「お前、レオ兄の夢の邪魔してないだろうな?」


「もちろんですよ~。手助けしかしてませんよ~。役に立ってますよ~」


 不安だ。でもレオ兄に会えない以上、本人の証言を信じるしかない。



 こうしてルークの王都旅行は終わった。


 またロア商会と魔道具開発の忙しい日々が始まる。


「その前に入学したら友達いっぱい作りましょうね~」


「はい。前向きに検討させていただきます。善処しようと思います」


 とにかく忙しい日々が始まる。




「どうでした、お爺様。良い人達だったでしょう?」


 マリーが自室で2人の男性に話しかけた。


「ふぉっふぉっふぉ。まさかあれほどイブちゃんがゾッコンLOVEだとは思わんかった。たしかに良い少年じゃったわ」


「急な事で驚きましたよ。まさかパーティに参加されるとは」



 この2人、ユキに話しかけられて『モブ=ショウネン』『オージ』と名乗った2人である。


 モブは近衛騎士『ジャン』、オージは先代国王『アーロン』の変装した姿だった。


 つまりルークの予想は当たっていたのだが、あの場でそれを知っていたのはマリーのみである。



「私だって驚いたわよ。私からの報告を聞くだけだったはずなのに、突然『明日はワシも参加する』とか言い出すんだもの」


「スマン、スマン。愛しのイブちゃんが婚約者として選んだ相手を確認せずにおれんかった! 悪いと思ったから魔導士の手配はワシがしたじゃろ?」


 2人は短時間のみ使える変身魔術を施して周囲からはバレないようにしていた。


「まぁ姿を変える魔道具と魔術をあれだけ重複させても、ユキ殿には一瞬で見破られていましたけどね。

 なんですかあの化け物は。決闘の審判をしましたが挙動が一切読めませんでしたよ」


「それ、ワシも見たかったのぉ~」


 イブの事を心配していたのは祖父であるアーロンも同じだった。


 孫の婚約を知って、居ても立ってもいられなくなった彼は最終日のみ変装してルークを見定めに来たのだ。


「ユキさん、あれは超越者の類じゃろ。ワシのお爺様ならアイリーン様とユキさんの事も知っておったかもしれんが・・・・。まぁ、こちらから手出ししなければ、友好的な関係を築けるはずじゃ。

 それにエルフのフィーネさんとやらが会長をするロア商会。それらを統べるルークと言う少年、イブの婚約者として申し分ない!」


「ではイブの結婚相手は彼で決まりですね」


「うむ! くれぐれも失礼のないようにの!」


 先代とは言え、その権力は未だ健在であり、交友関係も幅広いアーロンによってイブの婚約者が決まったと言う情報は瞬く間に世界中に広がった。


 この報告を受けたイブは大層喜んだそうな。

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