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異世界の魔道具ライフ  作者: 多趣味な平民
一章 オルブライト家
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プロローグ

初投稿です。

よろしくお願いします。

全編通して修正中なので、話数が変だったり、同じような話があったり、各所で違和感を感じるかもしれませんがお許しください。


 俺は……普通の人間だった。


 身長、体重、容姿、何もかも普通。


 都会ではないけど田舎とも言えない土地で、会社員の父と専業主婦の母との間に生まれた。


 幼稚園の時に先生に初恋。

 小学生では悪友とカードゲーム。

 中学生で中二病発症、パソコンを買ってもらいエロ画像探し。

 高校でカラオケにハマり、友人と学校帰りに連日カラオケ。

 大学でアルバイトをしながら運動サークル活動。

 社会人生活は新入社員3人の中で一番の落ちこぼれ。でもクビになるほどではない。


 ホームセンターで接客業だったけど、毎月100時間を超えるサービス残業、睡眠時間は平均5時間、食事時間も電話対応、接客が長引けば食事無し、金を払うからと強引な注文、自己責任でのクレーム、無免許でリフト運転、水道工事、電気工事もさせられた。


 そこで働く人々はとても仲間とは呼べない人達だ。


 責任を押し付ける後輩、仕事をしない同僚、売上を奪い取る上司、売上のみで評価する店長。


 開店と閉店作業は動画を見て遊ぶ上司達を横目に全部1人でやったし、失敗の責任は全て負わされ、成果は全て取られた。


 休日でもクレーム対応に出向き、怪我・病気でも労災も有給も使えず、最低限の有休消化は勉強会で潰れ、30日を超えたら自然消滅していた。破損した商品は弁償、注文ミスは買取り、支給のはずの制服や仕事用品も買った。


 契約書の内容とまるで違う企業。


「自分の成長のため」

「社会人なら当たり前」

「先輩たちの通った道」

「給料払ってるから言うことを聞け」

「大人だから仕方ない」


 もうたくさんだ…………。


 自分が無くなっていくのを感じてしまった。


 『豊かな生活のための仕事』が『仕事のための人生』になってしまっている。



 私生活でも金を貸した友人はギャンブルで借金をして音信不通、近所の人からはマルチ商法に勧誘、当て逃げ、自転車の盗難、置き傘は必ず無くなっていた。


 俺には『他者を蹴落として自分だけが得すればいい』という社会生活は無理だった。


 世界中の全てが俺に責任を押し付けてくると思った。



 結局5年で退社した。


 俺はそれだけの期間をかけて人間不信になる努力をしていたわけだ。


 トドメの一言は「仕事に文句があるなら辞めろ」だった。


 そう……代わりはいくらでも居る。



 俺に守るべき家族でも居れば違ったのかもしれないが、仕事に追われている間にも次々と大切な人は亡くなっていた。


 24歳の時に父が脳梗塞で死去、同時期にペットの猫が寿命、26歳の時に母は交通事故で死去。


 天涯孤独の身となった俺には、唯一の趣味である貯金と両親が残してくれた財産のお陰で1人で生きていく分には困らないだけの金があった。


 27歳で無職……いや働く気の無いニートになった俺は、人間不信ということもあって当然のように引きこもった。


 誰にも会わず自宅でパソコン三昧。


 暇つぶしに運動したり、料理をしたり、小説を投稿したり。とにかく時間だけはあったので趣味を探していた。


 対人関係が苦手で引きこもっている人も多いだろう。仕事を探していないニートも多いだろう。


 そう考えると普通の人生だった…………はず。




 そんな俺の現在。


 53歳 身長170cm 体重63kg。


 相変わらず普通だ。


「趣味と呼ばれるものは大体経験したけど興味を持てるモノは見つけられなかったな~。

 引きこもり始めてから友達も連絡してこなくなったし……。たしかに誘われても断り続けたのも悪かったけど、退社直後とか人間不信MAXだったんだから仕方ないじゃんよ」


 ベッドで横になりながらこの25年ほどを振り返ってみると、これと言って印象的な出来事が無かったという事実が判明した。


 やっぱり人生は普通ではなく、何かしら特別な事をした方が良かったのだろう。


 これは最後の瞬間人生を振り返るというやつだ。


「健康的な生活を送ってきたつもりだったけど、頭痛が酷いから診察したらまさかの末期ガンだよ……俺の人生って後悔しかなかったな~。

 もっと色んな事に挑戦したかった……」


 人生のタイムリミットが決まった瞬間から本気で趣味に没頭していたので、そこからの毎日は充実していた気がする。


 『悲しい』という気持ちより先に出てきたのは『願望』だった。


 もしもこんな生活が送れたら良いのに、という最早叶う事はない目標。


「人生のピークは間違いなく今だな。死ぬ瞬間がピークって、考え方を変えたら喜ぶべき事なのかもしれないけどさ」


 不思議と死ぬのは怖くなかった。


 死とは無。


 今ならわかる。


 俺の人生そのものが無だったのだ。


「父さんと母さんも死ぬ時はこんな気持ちだったのかな……。

 いや、あの2人は人生楽しんでたからそんな事ないか……」



 体の力が抜けていく。



(……もし生まれ変われたら絶対に、絶対に本気で生きよう)



 何も考えられなくなる。



(…………次は面白い人生にできますように)


 最後の瞬間、彼は笑っていた。




 神谷優一かみやゆういち 享年53歳


 性格は非常に温厚、そのため人から傷付けられる事も極端に嫌う。

 敵対する者を憎む事なく、自己犠牲の傾向あり。

 特定の宗教信仰や偏見的な思想なし。

 喫煙、飲酒、ギャンブル、女性関係など依存は無し。

 犯罪歴ほぼ無し、年齢制限のあるアダルトサイトへアクセスなど思春期特有の軽犯罪のみ。

 本人にやる気も能力もあったが運悪く周囲に邪魔され失敗の多かった人物。


 その優しさから他人であっても不幸になるような行動が許せず、自ら不幸を呼び込むこともあった。



 彼の死からこの物語は始まる。

じ、実体験じゃないですよ?

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