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異世界へ
どうやら、ぼくは大きな使命を背負ったらしい。
そして、それを拒むことはできない。
しゅうの口調で、それはわかる。
なにが起こってるのかわからないまま、全く知らない世界へ行く。
しゅうとも会ったばかりだ。
とまどいがないわけじゃない。
だけど、自分がヒーローになったような気がして、ぼくはなんだかワクワクしていた
そんな気持ちを見抜いたのか、「ヒーローごっこをしに行くんじゃないことを忘れないでくれたまえ。 危険なことがないとも限らない 気を引き締めて臨んでほしい」と、しゅうは言った。
「わかってるよ」
「ここを通って行くぞ」と言いながら、しゅうが壁にふれると、そこに小さな穴が開いた。
「さっきの石といい、この壁といい、いったいどうなってるんだ? 魔法ってやつか?」
「そんなものは使えない。 時空を少しねじ曲げて、我々の世界への近道を作ってあるんだ。 私が先に入るから、きみも続いてくれたまえ」
中は暗く、吸いこまれるような感覚を、ぼくは覚えた
ぼくは、いつの間にか目をつむっていたらしい。
「着いたぞ」という、しゅうの声に目を開けた。
つづく