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幻覚ではなく
ぼくが石を持ち上げようとした時、奇妙な服装の男が石の中から現れ、「今の状況に気づいたようだな」と言った。
「い、石の中から出てきたのか?
はは まさかな
ああ、まだ酔ってんのかな」
目の前で起こったできごとがあまりにも衝撃的で、ぼくは、酔いのせいの幻覚だと思おうとした。
ぼくは目を閉じ、幻覚が消えていることを願って目を開けた。
だけど、男は消えることなく、ぼくの目の前にいた。
「気が済んだかね? きみは幻覚だと思っているようだが、そうじゃない きみが最初に思った、そのまさかだ」
男は、ぼくの心を見透かしているかのようにそう言った。
ぼくはわけが分からないままだったが、とりあえず話を聞いてみることにした。
話によると、男のいる世界では、光の花の妖精がいなくなって、光の花が咲かなくなったらしい。
つづく